不倫した元夫は自らを去勢した夫・川良祐輔(かわら ゆうすけ)の愛人がまた別れ話を切り出したため、彼は苦しみのあまり自棄酒を煽り、消化管穿孔で入院した。
死にそうな顔で彼はうわ言を漏らした。「あんなに俺を振り回すのは、あいつだけだ」
そして私の手を握りしめて尋ねた。「詩織、お前も女だろ。どうすれば彼女の機嫌が直るか教えてくれ」
確かに、彼は数え切れないほど浮気を繰り返してきたが、この栗島雨理(くりしま あめり)という女に対しては、これまでの誰よりも強く執着しているようだ。
スマホが震えた。雨理からのメッセージだ。
【奥さん!ご主人の行動にもっと注意を払わないと!
女としてのプライドはないの?二度と私に付きまとわないように言ってほしいわ!】
私は皮肉な笑みを浮かべ、いつものように返信せず放置した。
祐輔が入院して五日目、彼からしつこく電話がかかってきて、苛立ちを露わにして私を問い詰めた。
「入院してるのに、なんで今まで一度も来てくれなかったんだ!
お前にとって、俺は夫じゃないのか?」
私は冷静に答えた。
「私が行ったら、あなたがまた私に惚れ直してしまうと思って」