サンプル、自滅へ一条蓮(いちじょう れん)は、帝都の社交界で名高い「少女狩り」だ。
彼の最上の愉しみは、気高い少女のプライドをへし折り、従順なカナリアに飼い慣らすこと。
界隈の誰もが知っている。私こそが、彼の最高傑作だと。私は名分を求めず、呼び出しには即座に応じ、彼が「長い髪が好きだ」と言えば、三年間一度も髪を切らなかった。
友人が彼に尋ねた。
「今回は本気になったのか?」
蓮はタバコの灰を弾き、気だるげに答えた。
「飼い慣らした犬だよ。俺がいなきゃ、あいつは死ぬ」
だが彼は知らない。私の正体が、業界トップの心理コンサルタント「プロフェッサー S」であることを。
私が彼の傍にいたのは、データ収集のため。そして、ある二億円の依頼を遂行するためだ。
それは、一条蓮の精神異常を証明し、一条グループを破滅させること。