LOGIN美容外科医の佐伯和彦は、十歳年下の青年・千尋と享楽的な関係を楽しんでいたが、ある日、何者かに拉致されて辱めを受ける。その指示を出したのが、千尋の父親であり、長嶺組組長である賢吾だった。 このことをきっかけに、裏の世界へと引きずり込まれた和彦は、長嶺父子の〈オンナ〉として扱われながらも、さまざまな男たちと出会うことで淫奔な性質をあらわにし、次々と関係を持っていく――。
View More「あうっ……」
熱く濡れた舌にべろりと首筋を舐め上げられて、思わず否応なく快感を引きずり出されて和彦は上体を捩り、なんとか抗おうとしたが、南郷はそんな和彦を容赦なく追い詰め、攻め立てる。結局、深い吐息を洩らして、大きなてのひらの中で果てていた。 和彦が吐き出した精をわざわざじっくりと眺めてから、南郷が皮肉げな口調で言う。「溜まっていたわけじゃないんだな、先生。あんまり愛想がいいから、欲求不満なのかと思ったが……、あの長嶺組長に限ってそれはないか」 和彦を射精させたからといってそれで満足する南郷ではなく、今度は自らの欲望を握り、まるで見せつけるように手早く扱いたあと、和彦の腹の上に精を迸らせた。 まるで儀式のように、南郷は自分の精を指で掬い取り、和彦の内奥の入り口をまさぐってきた。南郷はなぜか、和彦の中に己の証を残したがる。それとも、単に汚したいだけなのか。 嫌悪と困惑と怯えを含んだ目で見上げていると、薄い笑みを口元に湛えたまま南郷は内奥に指を挿入した。また指の数を増やされたが、苦しくはなかった。それどころか自ら迎え入れるように淫らな蠕動を始め、和彦はヒクリと下腹部を震わせた。 襞と粘膜を擦り上げるようにして、南郷の精を何度も塗り込められていく。必死に声を堪えようとしていると、それに気づいた南郷に、内奥の浅い部分を強く刺激された。「あっ、ああっ……、あっ、んあっ」「――俺は簡単に、あんたを押さえつけられるし、こうして体を開くこともできる」 南郷が唐突に話し始めるが、執拗な愛撫は止まらない。「いままで何回もあんたに触れてきて、寝込みも襲った。さて、そんな俺の行動に疑問を感じなかったか?」 疑問なら、今この瞬間も感じている。どうして南郷は、危険を冒してまで自分に――長嶺の男たちのオンナに触れてくるのかということだ。しかし南郷が口にしたのは、違う答えだった。「俺がどうして、あんたを犯さないか」 物騒な言葉を言い切った南郷が、内奥から指を引き抜く。和彦が顔を強張らせると、南郷はニヤリと笑った。「先生、あんたを〈まだ〉犯せない。今はこうして触れて、互いに慣れておくだけだ」「…&hellip
粗野な動作で足を広げさせられ、南郷が腰を割り込ませてきながら、ベルトを緩めている気配を感じる。動揺した和彦が足掻くようにベッドを蹴りつけたが、抵抗にすらならず、南郷はスラックスの前を寛げて悠々と腰を密着させてきた。 燃えそうに熱くなった欲望を、怯える和彦の欲望にゆっくりと擦りつけながら、南郷は激しく濡れた音を立てて唇を吸い上げてくる。荒々しく胸元をまさぐられ、てのひらで転がすようにして刺激された突起がおずおずと凝り始めると、抓るように指で挟まれた。 知らず知らずのうちに和彦は呻き声を洩らしていた。南郷という嵐に呑み込まれながら、どうしようもなかった。 唇を離した南郷が上体を起こし、すでに力が抜けてしまった和彦を見下ろしてくる。「あんたの体を見ると、長嶺組長にどう愛されたのか、よくわかる」 南郷の指先が這わされたのは、内腿や足の付け根の際どい部分だった。二日前、賢吾に念入りに愛撫されたばかりで、そのときの狂おしい情欲のうねりを和彦はまだはっきりと覚えている。「あっ、嫌っ……だ」 図々しくも冷静な南郷の指は、和彦の秘められた場所すら容赦なく暴いていく。まだ怯えたままの欲望の形をなぞり、片足を抱え上げられてから秘裂をまさぐられる。「ひっ……」 探り当てられた内奥の入り口を指の腹で擦られて、和彦は声を詰まらせる。南郷は舌舐めずりせんばかりの喜悦の表情を浮かべた。「ああ、あんたの感触だな。一見貞淑そうだが、中はとんでもない淫乱ぶりで、どんな男でも喜々として咥え込む」「痛っ」 濡らすことなく内奥に指が挿入され、引き攣れるような痛みが下肢に走る。和彦は苦痛に顔を歪めるが、かえって南郷の興奮を煽っただけらしく、一本とはいえ太い指を容赦なく蠢かし、付け根まで収めてしまう。そこでまた唇を塞がれて、口腔を舌で犯されながら、内奥も指で犯される。 繊細な襞と粘膜を擦られ、ときおり弱い部分を強く押し上げられて、腰が痺れる。南郷もまた、自分の体の扱いを心得ている一人なのだと、和彦は思い知らされていた。 内奥を掻き回すように巧みな愛撫を与えられているうちに、淫らな肉が否
「もっとサービスしてくれてもいいだろう。俺があんたに触れられない間に、当のあんたはどんどん色艶が増してきている。鷹津がいなくなったことも、御堂のもとで新しい男と知り合ったことも、自分の父親と接触したことも、何もかもが、あんたをオンナとして磨き上げているってことだ。そんな美味そうなあんたの味見をしておかないと」 芝居がかった下卑た物言いが、たまらなく不快だった。和彦は眉をひそめ、必死に視線を逸らし続けたが、かまわず南郷は続けた。「――ここで、鷹津と寝たことがあるだろ」「あなたに、関係ないっ……」「興奮したんじゃないか。人目を避けて会いに来てくれた男と、職場でするセックスは」 次の瞬間、腰を抱き寄せられ、半ば引きずるようにして歩かされる。南郷は、ドアを開けたままにしていた仮眠室を覗き込むと、そこに和彦を連れ込んだ。 足を引っ掛けられて、よろめいて上体をベッドに倒れ込ませる。南郷に乱暴に両足を抱え上げられた拍子に、履いていたスリッパが床の上に落ちた。 南郷も当然のようにベッドに乗り上がり、二人は言葉もなく視線を交わす。静かな室内に、雨音だけが響いた。 獰猛な獣と対峙したようなものだった。視線を逸らした瞬間に、相手が飛びかかってきて、急所に食らいついてくる。そんな恐れを抱きながら和彦は息を潜め、身じろぎすらできずに南郷の出方をうかがう。よりによって、ここ数日の残業続きで、クリニックから出る時間が遅くなっても不自然ではないのだ。外で待機している護衛の男たちが異変に気づく可能性は、限りなく低かった。 南郷の手が頬にかかり、和彦は嫌悪感を露わにする。手を振り払いたいが、そんなことをすれば、どんな痛い目に遭わされるのかと想像してしまう。南郷に対して、いつも和彦の反応は同じだった。普段は男たちによって守られているが、和彦自身は非力で、臆病なのだ。「あんたは、捕えやすい獲物だ。ちょっと痛めつける必要も、大きな声を出す必要すらない。俺に射竦められると、ビクビクしながら体を差し出すしかない」 そう南郷に嘲弄された和彦は屈辱からカッとしたが、何も言えなかった。話しながら南郷の手が頬から首筋へと移動し、思わせぶりに撫でられる。着て
「すぐ側で、あんたの護衛が張っているのに、のこのこと連れ立って歩けるはずがないだろう。長嶺組からは、第二遊撃隊は蛇蝎のごとく嫌われているからな」 さりげなく出た〈蛇蝎〉という言葉に、ピクリと肩が揺れた。「今晩は、俺一人だ」「雨も降っている中、わざわざ一人で、ここに来られたんですか?」 なんのために――。ようやくわずかに平静を取り戻した和彦は、南郷に対する露骨な警戒と敵意を隠そうとはしなかった。もっとも南郷にしてみれば、捕えることもたやすい小動物のささやかな反抗だとしか感じていないだろう。余裕たっぷりの表情と口調を保ったまま、和彦の腕を掴む力は強い。「昨日、長嶺の本宅からマンションに戻ったことは報告を受けている。本宅にいられると、あんたに話があるといくら訴えたところで、体よく追い払われるからな。さっそく出向いてきたというわけだ」「話って……」「あんたが、自分の父親と会ったとき、本当に鷹津の話題が出なかったのか、確かめたかった」「……出なかったと答えたはずです」「いや。さあ、と一言答えただけだ」 足元から寒気が這い上がってくる。威圧的に見下ろしてくる南郷の視線から逃れたいが、壁に押し付けられたうえに腕まで掴まれていると、身じろぎすらできない。「だったら言い直します。鷹津さんの話題なんて出ませんでした。父は……、彼の存在すら知りませんから」 南郷は、ひどく鷹津の存在を気にかけている。正確には、警戒している。総和会の護衛を欺いて和彦を連れ去ったのだから、南郷の立場からすれば無理からぬことだろうが、鷹津が姿を消したことで、警戒心がより強まったようだ。 和彦の言葉を信じたのか、端から聞く気などないのか、南郷はふいに視線を非常階段に通じるドアへと向けた。「――ここの非常階段はいい具合に、通りからも駐車場からも死角になっている。あんたが、監視の目を気にせず男を連れ込むには最適というわけだ」「そんなこと……」「してるだろ? ドアを開けたときのあんたの顔を見たらわかる。待ちかねてい
外から男二人のにぎやかな話し声が聞こえてくる状況で、求められるまま、やむをえず舌を絡め合い、唾液を交わす。引き出された舌を痛いほど吸われると、たまらず和彦は鷹津の肩にすがりついていた。 ますます鷹津の腕の力が強くなり、和彦の中で奇妙な変化が起こっていた。鷹津のことがどうしようもなく嫌いで、嫌悪しているのに、そんな男にねじ伏せられるように口づけを交わしていると、高揚感に襲われ、体の奥深くから強引に官能を引き出される。 官能に形を借りた、サソリの毒かもしれないと、ふとそんな考えが脳裏を過る。鷹津の毒を注入され、体も心も侵されていくのだ。 思わず身じろごう
さすがの賢吾も、和彦の心を煩わせるものすべてを見通すことは不可能らしい。「……最初にぼくを狙って、あんなことをした人間が、どんな顔をして、そんなことを言うんだ」「俺はいい。俺は、許されるんだ」 さすがに図々しい発言だと思って和彦が顔を上げると、待っていたようなタイミングで唇を軽く吸われた。「先生を狙って自分のものにして――見事に、骨抜きにされたんだ。そんな哀れなヤクザを、愛情深い先生なら、たっぷり甘やかしてくれるだろ?」 本当に図々しいと思いながらも、和彦はつい笑みをこぼしてしまう。 自
「不愉快どころか、やけに楽しそうでしたよ、秦さん。いい店を先生に紹介しないと、と張り切ってもいましたし」「ならいいんだ。あの人、職業柄なのか知らないけど、よく気をつかってくれるから。ぼくみたいな人間につき合って、迷惑をかけても悪いしな」 和彦が、長嶺父子のオンナであることは、すでに知られている事実だ。いまさら千尋と甘い会話とキスを交わしていたからといって、他人に喜んで報告するような悪趣味なまねを、秦がする必要もない。 和彦が心配していたのは、そんなことではなく、純粋に今言った通りのことだった。 大きく息を吐き出しながら、中島がマシンをゆっく
「――先生」 呼ばれて、おずおずと振り返ると、そこに真剣な賢吾の顔がある。何か言われたわけでもないのに、和彦は小さく喘いでから賢吾の唇にそっと自分の唇を重ねた。すると、賢吾のもう片方の手に、和彦の柔らかな膨らみは包み込まれる。 「ひっ、あぁっ」 泡で滑る手に柔らかく揉みしだかれ、たまらず和彦は、ビクッ、ビクッと腰を震わせ、背をしならせる。下肢が、甘く溶けてしまいそうだった。 「あとでたっぷり、ここを揉んで悦ばせてやる。最近、弄られるのがよくなってきたみたいだからな。今は、洗うだけだ」 賢吾の的確に動く指は貪欲に、和彦の官能を刺激する