INICIAR SESIÓN美容外科医の佐伯和彦は、十歳年下の青年・千尋と享楽的な関係を楽しんでいたが、ある日、何者かに拉致されて辱めを受ける。その指示を出したのが、千尋の父親であり、長嶺組組長である賢吾だった。 このことをきっかけに、裏の世界へと引きずり込まれた和彦は、長嶺父子の〈オンナ〉として扱われながらも、さまざまな男たちと出会うことで淫奔な性質をあらわにし、次々と関係を持っていく――。
Ver más早く体を離さなければと危機感を抱きながらも、心の大部分では、今味わっている心地よさを手放せないでいた。それは鷹津も同じらしく、再び緩やかに腰を揺らし始めたかと思うと、内奥に収まっている欲望が熱さと硬さを取り戻していく。まだ、興奮しているのだ。「あぁ――……」 和彦が吐息をこぼすと、鷹津がわずかに唇を緩めた。「まだ俺を、欲しがってるな。お前の尻がいやらしく吸い付いて、締まりまくっている。俺のオンナになれて、そんなに嬉しいか」「……うる、さい……」 内奥深くをぐうっと突き上げられて、喉を反らして尾を引く悦びの声を上げる。露わになった和彦の首筋を舐め上げて、鷹津が囁いてきた。「もう一度犯してやる。俺の汗と精液の匂いがこびりつくほど、たっぷりとな」 和彦が感じたのは恐怖でも嫌悪でもなく、狂おしい肉欲の疼きだった。すでに二度も精を放ったというのに、熱いものが出口を求めて、体の奥でドロドロと渦巻いている。 鷹津の舌先に胸の突起を転がされ、激しく濡れた音を立てて吸われてから、歯を立てられる。痕跡を残すなと、もう言えなかった。 蕩けた和彦を見下ろして、鷹津が真剣な表情で肌にてのひらを這わせてくる。〈オンナ〉となった和彦の存在を確かめるかのような手つきに、鷹津が変わったのか、自分が変わったのか、和彦はひどく感じてしまう。「あっ、やめっ――」 力を失った欲望をてのひらに包み込まれ、上擦った声を洩らす。「今の乱れっぷりなら、空になるほど精液を搾り取れそうだな」 淫らで物騒なことを呟きながら、鷹津の手が柔らかな膨らみにかかる。きつく揉みしだかれて、和彦は腰をくねらせて反応しながら、食い千切らんばかりに内奥で脈打つ欲望を締め付ける。すがるように鷹津を見上げると、どこか恍惚としたような笑みを向けられた。「……忌々しいほど、いいオンナだ。お前は。わかっていても、骨抜きになる。……クソむかつく」 次の瞬間、内奥から欲望が引き抜かれ、和彦の体は乱暴にうつ伏せにされて腰を抱え上げ
「――俺も味わいたくなった。お前をオンナにしている男たちの気分を」 快感で鈍くなった頭では、鷹津の言葉の意味を瞬時に理解するのは無理だった。和彦はゆっくりと瞬きを繰り返し、目の前で見たこともない表情を浮かべている男を凝視する。鷹津は、怖いほど真剣な顔をしていた。両目にあったドロドロとした感情の澱は払拭され、純粋な欲情だけを湛えている。 この男は誰だと、和彦は自問する。まるで知らない男が体の奥深くに居座っているようだった。 本能的な怯えから身を捩ろうとしたが、当然できるはずもなく、それどころか内奥を深く突き上げられて快感に身を震わせ、鷹津にすべてを委ねることしかできない。「はあっ、あっ、くうっ……ん」「なあ、俺のオンナになれ」 緩やかな律動とともに、鷹津が掠れた声で囁く。和彦は首を横に振ることも許されず、唇を塞がれる。体が鷹津に満たされ、窒息してしまいそうな危惧を覚える。「ダメ、だ。それは……、そんなこと、知られた、ら……」「長嶺の男たちに八つ裂きにされるか? なら俺が、そいつらを引き剥がしてやる」 無理だと言いたかったが、やはり鷹津は聞く気がないらしく、また口づけを与えられる。和彦から、欲しい返事をもぎ取る気なのだ。 律動が早くなり、和彦は必死に鷹津にしがみつく。下肢から送りこまれる肉の愉悦に、思考力が押し流されてしまいそうだ。そこに鷹津がつけ込む。「そう、深く考えるな。仮にも俺は、刑事だ。お前の生活を支配できる力なんてない。言葉遊びのようなもんだ。俺はただ、お前をオンナと呼んで、愉しみたいだけだ」「……どうして、そんなこと……。いや、ダメだ――」「お前が認めないなら、ずっと続けるぞ。俺はそれでもいいが、外でお前を待ち続けている連中は、さすがに何事かと思うんじゃねーか。電話をかけて様子をうかがってくるか、いきなりここまで上がってくるか。どっちだと思う?」 鷹津がこんなことを言い出した意味を必死に考えようとするが、返事を急かすように鷹津は動き続け、快感に弱い和
鷹津から与えられる痛みは、肉の悦びを引き出すある種の媚薬だ。和彦の体は、そう覚えてしまっている。それを鷹津に悟られたくなくて、つい憎まれ口を叩く。「相変わらず、あんたとのセックスは、痛い……」「痛いのが、イイんだろ。――和彦」 内奥を犯しながら、鷹津の片手が欲望にかかる。痛いと言いながらも、和彦の欲望は萎えることなく反応し、反り返ったまま透明なしずくを滴らせていた。「舐めてやったばかりだから、反応がいい。ここも、舐めてやった」 柔らかな膨らみを指でまさぐられ、内奥に呑み込みつつある鷹津の欲望をきつく締め付ける。鷹津は低く笑い声を洩らして腰を揺すった。「……ここは、舐めてやるより、突っ込まれるほうがイイみたいだな」「うる、さい……」 突き上げられるたびに、耐え難い苦しさが押し寄せてくるが、しかしそれが、鷹津と深く繋がりつつあることを強く意識させられる。 深々と挿入された欲望が、興奮を物語るように力強く脈打ち、和彦の官能を内から刺激してくる。「あっ、ああっ――」 甲高い声を上げると、誘われたように鷹津が顔を覗き込んでくる。寸前に品のない台詞を口にしたばかりとは思えない真摯な表情をしており、和彦は見入ってしまう。唇が重なってきても、素直に受け入れていた。 舌を絡め合いながら、下肢では繋がった部分を擦りつけ合う。和彦は、両手をさまよわせるように鷹津の背に回し、熱くなった肌を撫で回す。悔しいが、鷹津と繋がり、重なっている感触が気持ちよかった。「――……気持ちいいだろ、俺とのセックスは」 口づけの合間に鷹津に囁かれ、快感に酔いつつあった和彦は意地を張ることもできなかった。「ああ……」「俺もだ。クソ忌々しいほど、お前とのセックスはいい」 他に言いようがないのだろうかと思ったが、なんとも鷹津らしいとも思え、意識しないまま和彦は唇を緩める。自分が笑っているのだと気づいたのは、食い入るように見つめてくる鷹津の眼差しによってだった。
すでにもう期待で凝っている胸の突起をきつく吸い上げられ、堪らず甘い声を上げる。勢いづいたように鷹津が執拗に突起を舌先で擦り、軽く歯を立て引っ張り上げる。もう片方の突起も指の腹で転がされたかと思うと、強く指で摘まれる。 濡れた音を立てて鷹津が突起から唇を離すと、唾液で濡れ、真っ赤に色づいていた。その様子に満足したように鷹津はそっと目を細めると、胸の中央に唇を押し当て、肌を吸い上げる。二度、三度と繰り返されたところで和彦は、鷹津の意図を察した。「跡は、つけないでくれ」「毎晩、総和会のジジイに体をチェックされるのか?」「そうじゃないけど……、何があるか、わからない」「相手をする男が多いと大変だな」「……そうだ、大変なんだ」 鷹津の皮肉に素直に応じると、さすがに苦笑で返された。 胸の中央から腹部へと舌先を這わされながら、両足を押し広げられる。途中、ヘソにも舌先を潜り込まされ、和彦は下肢をもじつかせて感じる。しかし、やはり一番敏感に反応してしまうのは、すでに身を起こしかけた欲望をじっくりと舐め上げられたときだった。「んあっ……、あっ、あっ、はあぁっ――」 無意識に、腰を浮かせて愛撫から逃れようとしていたが、しっかりと鷹津に両足を抱え込まれる。 鷹津からの口淫をあまり受けたことのない和彦は、クリニックの仮眠室で、いきなりこの行為に及ばれたことに戸惑う。だが、与えられる感触には素直に反応してしまう。 括れまで口腔に含まれ、唇で締め付けられながら、先端を舌先で弄られる。和彦は吐息をこぼして仰け反る。ためらいつつも片手を伸ばし、鷹津の頭に触れる。きちんと整えられたオールバックの髪型を崩すのはしのびなかったが、先端をきつく吸われて、呆気なく理性が弾け飛ぶ。「あうっ……」 鷹津の髪に指を差し込み、狂おしく掻き乱す。鷹津は制止することはなく、それどころか和彦にさらに乱れてみせろと言わんばかりに、欲望を口腔深くまで呑み込んでしまった。口腔全体で欲望を締め付けられながら、柔らかな膨らみをてのひらできつく揉み込ま
「これが、総和会会長と長嶺組組長が会うということだ。話した内容なんて関係ない。会ったという事実が、重いんだ。……俺が、ここに近づきたがらないのも納得できるだろ?」 車が走り出してすぐに、和彦の手を握った賢吾が、皮肉っぽい口調で言った。完全に気が抜けた和彦は、シートに深く身を預ける。「だったら、会長が長嶺の本宅を訪ねてくることは?」「帰ってくる、という表現のほうが正しいんだろうな。あの家を建てたのはオヤジだ。俺は、長嶺組を継いだと同時に、あの家も継いだ。……まあ、総和会会長の肩書きがある間は、オヤジ
突然のことに声も出せない和彦は、大きく目を見開く。南郷は、手荒な行動とは裏腹に、静かな表情で和彦を見つめていた。 こんなときに限って、マンション前には人はおろか、車すら通りかからない。 南郷の大きく分厚い手が眼前に迫ってくる。絞め殺されるかもしれないと、本気で危機を感じた和彦だが、仮にも総和会に身を置く男がそんなことをするはずもない。 南郷の手は、和彦の首ではなく、両頬にかかった。「これが、長嶺組長のオンナ……」 和彦の顔を覗き込みながら、ぽつりと南郷が呟く。淡々とした声の響きにゾッとして、和彦は手
「……それは、ぼくの実家のことを指しているのですか?」「わしは、難しい話に興味はないよ」 機嫌よさそうに話す守光の表情から、狡猾さは感じられない。しかし、本当に狡猾で、頭が切れる人間は、完璧に自分の本性を隠せるものだ。和彦の父親が、まさにそうだ。 急に警戒心を露にした和彦に向けて、守光はさらに言葉を続ける。「あるのは、長嶺の〈悪ガキ〉二人を骨抜きにしている先生への興味だ」「悪ガキ……」「わしにしてみれば、でかくなったつもりの賢吾はまだ悪ガキのままで、千尋はさらに
長嶺組という看板に守られている和彦は、エレベーターの中で南郷に話しかけられたとき、ひどく不安だった。その理由が、今ならわかる。 長嶺組を恐れない男の前では、自分があまりに無防備で、危険を避けようとする本能が働いたのだ。 力があるのは長嶺組の男たちで、和彦自身ではない。頭ではわかっていても、あまりに周囲の男たちから大事にされ、少し浮かれていたのかもしれない。 「――……やっぱり、ヤクザは怖いな……」 声に出して呟いて、苦々しく唇を歪める。 カーテンを開けたままの窓から夕日が差し込む。眠るには明るすぎる気もするが、もう起き上がるのも