私はこのことわざを別言語へ移すたびに、直訳と意訳の間で揺れる。英語の'The grass is always greener on the other side'へは比較的素直に当てはまるが、フランス語やドイツ語でもほぼ同形で通じるため、翻訳者がそのまま持ってくることが多い。だが「青く見える」という視覚的ニュアンスは、嫉妬や憧れという感情の重みを変える。英語だとやや哲学的で普遍的な皮肉を帯び、フランス語ではロマンチックな切なさに寄ることがある。
興味深いのは、英語圏では『The grass is always greener on the other side』として広まっていること。文化を超えて人間の心理に共通する部分を表しているんですね。実際に芝生の色の違いを比べていたわけではなく、他人の所有物をより良く見てしまう心理現象を巧みに表現したのだと思います。