アニメ翻訳者が『憂う』と向き合う時、まず考えるのはその感情の『層』だ。日本語の一語に込められた複雑さを英語で再現するには、時には文章全体をデザインし直す必要がある。『Violet Evergarden』でタイトルロールが手紙を書くシーンでは、『憂い』を『A quiet sorrow that colors my days』と詩的に展開していた。単語対単語ではなく、感情の雰囲気を転写した好例だ。
英語圏の友達に『憂う』を説明する時、『The weight of caring too deeply』と言ってみたらピンときたようだ。アニメ『March Comes in Like a Lion』で主人公が将棋への思いを『憂う』場面のファンサブでは『To carry the burden of expectation』という創造的な訳があった。直訳に縛られず、重圧感を表現した選択だ。
興味深いのは作品のテーマによって訳語が変わること。SFものなら『To apprehend』が未来への不安を、歴史物なら『To pine for』が失われた時代への慕情をそれぞれ表現できる。『憂う』の翻訳で大切なのは、原作の温度を保ちつつ、英語圏の視聴者にも感情の核心が伝わるバランス。良い翻訳は、異なる言語間で感情の共振を起こすんだよね。