最後に『Never Let Me Go』を挙げる。忘れたくても忘れられないというより、知らされることで生じる苦悩や喪失の感覚を丁寧に描いていて、記憶とアイデンティティがどれだけ密接に結びついているかを考えさせられる。どの作品も一線を越えて過去と対峙する余地を与えてくれるので、読むときには心の準備をしておくといいと思う。
最後に『The Sense of an Ending』を勧める。記憶の信憑性そのものを問い直す作品で、過去の出来事が実は違うかもしれないという不穏さを突き付けられる。人は記憶を都合よく塗り替えてしまう生き物だと気づかされ、忘れたかったことが本当に忘れられていたのかを疑わせる。どの本も痛みを避けるだけでは解決にならないことを教えてくれるタイプで、読み終えた後に自分の内面を整理する時間が必要になる。どれも軽い読書体験ではないけれど、深く救いにつながる一歩を与えてくれる作品だと思う。