戦争や抑圧をテーマにした作品のサウンドトラックは、感情の奥行きを表現するのに秀でたものが多いですね。'シンドラーのリスト'のイタ・パールマンによるヴァイオリン演奏は、ユダヤ人迫害の悲劇を音で描き切っています。特に『Theme from Schindler\'s List』では、弦楽器の震えがまるで人間の慟哭のように聞こえてきます。
もう一つ注目したいのが『パイレーツ・オブ・カリビアン』の裏側にある音楽。海賊たちが植民地支配に抵抗する物語ですが、クラウス・バデルトの作曲した『He\'s a Pirate』は、自由を求めて戦う者たちのエネルギーを圧倒的なブラスセクションで表現しています。低音部のうねりが屈服と反抗の狭間を的確に表現しているんです。
小さな地図を辿るように、頭の中で風景が広がっていく感覚を探している時、僕はまずサウンドトラックの“物語力”を重視する。
『Aladdin』のオリジナル・サウンドトラック(1992)はその代表例だ。アラン・メンケンのメロディは、絨毯の滑るような軽やかさと、知らない世界へ踏み出す胸の高鳴りを両方持っている。特に『A Whole New World』は歌詞と旋律が視覚と結びついて、宙に浮かぶ感覚を直截的に与えてくれる。子どもの頃に聴いたときのワクワク感が、そのまま音の層になって蘇るんだ。
古典的な映画音楽にも宝がある。『The Thief of Baghdad』のオーケストレーションは、古い映画ならではの大きな弧を描くストリングと金管で、砂漠や宮殿を包み込むような壮麗さを出している。現代的なトレーラー系の音楽、例えば『SkyWorld』のようなアルバムからの楽曲は、よりダイナミックで、空を駆ける勢いを強調する。これらを組み合わせて聴くと、絨毯の優雅な滑走と瞬間的な高揚感、両方を味わえる。
民族音楽やエレクトロニカの要素を取り入れた作品もおすすめだ。『The Host of Seraphim』のような空間を作るボーカル・アンビエンスは、浮遊感に神秘性を添えてくれる。プレイリストを作るなら、まずは『Aladdin』で主題を味わい、その後に古典映画音楽の広がり、最後に現代的なトレーラー・ミュージックとアンビエンスをはさむ構成が好きだ。こうして聴くと、絨毯がただのファンタジーの小道具ではなく、音楽で動く“風景”になっていくのを感じられる。