『民衆の歌』といえば、まず思い浮かぶのは『レ・ミゼラブル』のあの力強い合唱シーンですね。この歌の誕生には少し複雑な背景があります。原作小説を書いたヴィクトル・ユーゴーが直接作詞したわけではありません。ミュージカル版の作曲家クロード=ミシェル・シェーンベルクと作詞家アラン・ブーブリルが、ユーゴーの革命描写を基に新たに創作したものです。
興味深いのは、この歌が単なるミュージカルナンバーを超えて、実際の抗議運動で使われるほど社会的影響力を持った点。2012年のウォール街占拠運動では英語版『Do You Hear the People Sing?』が市民の連帯のテーマソングとなりました。歌詞の普遍性は、ユーゴーが描いた人間の尊厳への思いが、現代のクリエイターによって見事に昇華された証と言えるでしょう。