こんな星の光も、私を照らしていた小林叶夜(こばやし かや)は結婚17周年記念日に亡くなった。
重病で昏睡しているとき、彼女はICUの外で夫と息子の会話を聞いた。
「社長、奥様の葬儀が終わったら、水村さんと再び縁を結ばれるおつもりですか?
社長は何年も密かに水村さんを愛し続けました。彼女の家が貧しかったため、自ら支援してウィーンへ留学させ、音楽の夢を追わせました。彼女もまた、社長のためにずっと結婚していません」
夫の川野影夫(かわの かげお)は答えなかったが、息子の川野悠人(かわの はると)が断固として言った。
「僕は父さんが幸せになるのを応援するよ。水村おばさんこそ、父さんが本当に愛する人だ。父さんと水村おばさんは、もう人生の大半を逃してしまったんだ。母さんの最期を見届けたら、責任を果たしたことになるし、これからは自分のことを考えるべきさ」
誰も気づかなかったが、病室の叶夜の目から涙が一粒こぼれ、心電図は一本の直線になった。
死の瞬間になってようやく彼女は悟った。影夫はずっと、水村凪(みずむら なぎ)のことを愛していたのだ。
だからこそ、彼女に一生冷たい態度を取り続けたのだ。
生まれ変わった後、彼女は自分が影夫と結婚して4年目に戻っていることに気づいた。