デュラハンというイメージを求めるなら、まずは『デュラララ!!』を挙げずにはいられません。セルティ・ストゥルルソンという“首なしライダー”が物語の中心的キャラクターとして登場し、ただのモンスター描写にとどまらない人間味や悲哀、都市に根付く孤独感を巧みに描いています。ヘルメット代わりの闇に包まれた頭部や、バイクに乗るスタイル、そして言葉少なさの裏にある強い感情表現──こうした要素が好きなら、セルティのキャラクター造形と作品全体の群像劇的な語り口にぐっと惹かれるはずです。アニメと原作小説・漫画のどちらでも楽しめるので、ビジュアルと設定を両方味わいたい人におすすめです。
首なし(ヘッドレス)という直接的な存在が出てこない作品でも、同じ種の不気味さや哀愁、怪異との接触をテーマにしているものがいくつかあります。雰囲気を重視するなら『モノノ怪』は外せません。あの視覚表現と怪異の語り口は、頭部の不在が持つ象徴性や身体性への恐怖を異様に引き出します。もっと人間寄りで妖怪と絆を描く路線が好みなら『夏目友人帳』を。デュラハンの孤立感や“異界の者として生きる”というテーマに共鳴する場面が多く、静かな感動が味わえます。
ダークでミステリアスな超常ものが好みに合うなら『空の境界』や『地獄少女』もおすすめです。両作ともに人間の負の感情と超自然が結びつく描写が濃く、デュラハン的な倫理や復讐、記憶の問題に通じる深みがあります。もっと新しめで怪物をバトルとドラマで描く作品なら『怪物事変』が親しみやすく、怪異の暮らしぶりや社会との摩擦を描く点でデュラハンものが好きな読者に刺さると思います。
直接的に“デュラハン”をフィーチャーした作品は少ないものの、都市怪奇や妖怪、首にまつわるモチーフを掘り下げる作品群を辿れば、似た感触の良作にたどり着けます。個人的にはまず『デュラララ!!』でセルティの存在感を味わってから、上で挙げた作品で雰囲気の幅を広げる流れがいちばん満足度が高かったです。どれも作風が違うので、気分に合わせて選んでみてください。