頭部の造形をどうするかがデュラハンコスの肝だと思う。首がないというビジュアルを確立するためには、まず「持ち歩く首(頭)」と、着ている側の首元の見せ方、この二つを両立させる必要がある。私は以前、発泡ウレタンやEVAフォームで軽い頭部プロップを作ってみたが、重さとバランスには常に気を使った。軽量化のために内部は中空にし、外装は紙粘土や布を重ねて質感を出すと扱いやすい。目に光らせたい場合は小型のLEDを仕込むと不気味さが増すし、スピーカーユニットを入れて声を出すと写真映えもする。
首元の表現は工夫次第で印象が大きく変わる。布やハーフマスクで首周りを覆って首が“ない”ように見せる方法が手軽だが、よりリアルに見せたいならシリコーンやラテックスのスランプスタンプで切断面のプロステティックを作る手もある。私が試した裏技は、高い襟のジャケットとカラー(作りものの鎖骨パネル)を組み合わせ、襟の内側に黒い布を入れて奥行きを出すものだ。首の内側を暗く保てば、頭が無い空間の錯覚が生まれる。
衣装や小道具は世界観で選ぶのが楽しい。クラシックな騎士風ならロングコートや革のブーツ、ベルト、金具付きのグローブが合うし、もっと
妖しい雰囲気に寄せるなら破れたマントや古いランタン、チェーンの小物を足すと味が出る。武器としては斧や大きな鎌、あるいは背負えるホビー馬の頭(スティック馬を骸骨風に加工)を持たせるのが王道だが、会場での取り扱いを考えた軽量化と先端の安全処理は必須。金属っぽい質感は塗装やドライブラシで表現可能なので、重くしなくていい部分はフォーム素材を活用すると疲れにくい。
写真や動きの演出も重要なので、可動式の頭部(撮影用に外せる)や、頭を抱えるポーズが決まるような肩掛けハーネスを作るのがおすすめだ。マグネットやベルクロで簡単に着脱できるようにすれば、移動や食事のときも楽になる。メイクは血や肉感を強調するか、無表情で無機質な骨の雰囲気にするかで路線が分かれるが、どちらにせよ襟周りと頭部の色味を合わせると完成度が高く見える。私自身は見た目の演出を重視して、布と塗装で古ぼけた質感を出す方法を多用している。
最後に、実用面の注意点を一つ。視界や発声、体温管理を犠牲にしすぎないこと。息苦しくなるマスクや視界が狭い装備は長時間の着用に向かないので、換気や休憩、着脱のしやすさを常に優先する。コスプレは見た目だけでなく動けることも大事だと考えているので、安全で写真映えする“首なし”表現を目指してみてほしい。