肖像画を眺めるといつも、表情や服飾の細部がその時代の政治的メッセージを帯びていることに気づかされる。
例えばフィリップ・ド・シャンパーニュの作品で知られる'Portrait of Louis XIII'では、鎧や光の当て方、十字勲章のあしらいが単なる装飾を超えて意味を持っている。若く見える顔立ちに厳格な姿勢を与え、王が戦う君主であり同時に神に仕える守護者であるという二重イメージを同時に提示しているのだ。背景の抑えられた色調や整えられた髪型は、落ち着きと統治の安定を視覚化する装置になっている。
こうした肖像は単に似顔絵ではなく、王権の正統性を補強するための戦略だったと考えている。宮廷内外で繰り返し見せることで、国家統治の語りが視覚的に強化され、リシュリューらの政策と結びつく強い象徴となっていたのを、絵を通じて実感する。