小説のルシールは、表と裏の表情の差が際立ってて面白い。公の場では完璧な貴族然としてるくせに、親しい者には辛辣なジョークを連発する二面性がある。特に印象的なのが、第7巻の深夜の書斎シーンで、一人で古い絵本を読んで涙ぐんでたエピソード。あの場面で初めて、堅物のイメージとは違う内面が垣間見えた気がする。
魔法使いとしての力量もさることながら、彼の真価はむしろ『劣等感の昇華』にあるのかも。ライバルであるレオン騎士団長への複雑な感情が、成長の原動力になってるあたり、作者のキャラクター設計が光るね。最終巻近くでようやく本心を打ち明けるシーンは、何度読んでも胸が熱くなるよ。