最近のオーディオブック市場で『僕』一人称の作品が急増しているのは興味深い現象だ。特に『また、同じ夢を見ていた』のナレーションは、少年の繊細な心理描写と声優の演技が絶妙に融合し、リスナーを物語世界に没入させる。
ライトノベル系だと『ぼっち・ざ・ろっく!』のオーディオブック版が、内向的な主人公の等身大の独白を臨場感たっぷりに再現している。日常の些細な出来事に対する心の揺れが、耳元で囁かれるように表現されるのが特徴で、通勤中に聴いていると自分も主人公と同期しているような錯覚に陥る。
海外作品では『The Curious Incident of the Dog in the Night-Time』が、自閉症スペクトラムの少年視点で展開されるユニークな作品。英語版だが日本語訳のオーディオブックも、主人公の特殊な認知パターンが音声ならではのテンポで再現されていて、文字では伝わりにくかったニュアンスが浮かび上がってくる。