作家が異世界の舞台を具体的に設計する手順は何ですか？

舞台を感情の器として捉えるやり方も効果的だ。私のやり方は、まず物語が読者にどんな感覚を残したいかをはっきりさせることから始まる。暗く湿った恐怖感を主題にするのか、広がりや希望を感じさせるのかで光の扱い、色彩感、都市の開かれ具合が変わる。感情が設計の出発点になると、人々の行動原理や社会構造も自然に決まってくる。

続けてルールの設計に取りかかる。魔法や技術が存在する場合、それらの長所と制約、学習のコストを明文化しておく。ルールは物語に緊張を与える道具だと考えているから、曖昧なままにしない。次に経済や権力構造を簡潔にモデル化する。誰が資源を握っているのか、税や移民がどのように機能しているのかを想像すると、物語上の対立や同盟が生まれやすくなる。

視覚的なイメージ作りも忘れない。建築様式や服飾、食文化といった日常のディテールを決めると、それに伴う道具や儀礼、言い回しが出てきて世界が立体化する。『ソードアート・オンライン』のような仮想空間作品を参考にすると、ルールがユーザー（登場人物）視点でどう解釈されるかを意識する重要性がよく分かる。私はこうして感情、ルール、社会、イメージの順で舞台を組み上げていく。完成した舞台が物語のドラマを支えてくれると満足感が高い。

細部をチェックリスト化して進めると作業が捗る。僕はまず七つの項目を短くまとめ、それぞれについて最低一つの決めごとを作る：地形と気候、資源と経済、政治構造、宗教と伝承、技術・魔法のルール、日常生活の習慣、主要NPCの利害関係。これを並行して埋めていくと矛盾が見つけやすく、修正も早い。

次に重要なのはスケール感の統一だ。国レベルの政策と村の習俗が齟齬を起こさないように、小さな場面を書いて検証することを習慣にしている。会話や所作で世界のルールが自然に示されるか、読者に説明臭さが出ないかをチェックするのがコツだ。生態や食物連鎖の具体例を詰めると、世界のリアリティがぐっと上がるので、『ダンジョン飯』のような作品から生態設計の発想を学ぶと良い。

最後は実戦テスト。短い場面を書いて、その世界で普通に起こる出来事を走らせる。物語に必要な摩擦が生まれているか、不自然な便宜がないかを確かめてから本格的にプロットを進める。この方法で無理のない舞台を作れると感じている。

地図を描くところから入ると、まず自分の世界がどんな“問い”を持っているかを決めたくなる。僕はいつも物語の主題や対立軸から出発する。どんな争いが起きるのか、誰が勝ち負けを決めるのか——その答えが地形や気候、資源分布、移動の難易度に直結するからだ。最初の段階ではざっくりとしたスケール感を定めて、大まかな山脈や河川、海の配置を決める。これが後の文化や交易路、戦略的拠点を生む骨格になる。

次に生態系と文化を並行して設計する。どんな作物が育つか、どんな獣が暮らすかで人々の生活様式は変わる。魔法や超常ルールを導入するならば、エネルギー源や代償、学習の難易度を明確にしておく。法律や経済圏、宗教的伝承といった「見えないインフラ」ほど矛盾が生じやすいから、各要素が互いにどう影響し合うかをメモに残す習慣を付けている。地名や言語の音調も、文化の移動や征服の履歴を如実に反映させる手がかりになる。

最後にプロットとのすり合わせをする段階では、実際に登場人物がその世界で何をして、何を感じるかを細かく書き出す。設定を説明するためだけの要素は省き、場面で活きるディテールを優先する。参考にするなら『指輪物語』のように、地理と歴史と言語が互いに補強し合って世界観に深みを与える例が役立つ。僕はこうして設計と執筆を何度も行き来しながら、世界を磨き上げていく。完成した世界が物語を自然に導いてくれる瞬間がいちばん嬉しい。