僕は議論での「
論破」をキャラクターの魅力に取り込むとき、まず感情の層を忘れないようにしている。単に相手を論理的に打ち負かすだけでは空虚になりがちだからだ。
場面を設計するときは、勝負の前後で人物がどのように変わるかを描く。論破されることで自尊心を砕かれ、そこから立ち直る過程を見せれば、勝者の冷静さや残酷さが一層際立つ。逆に、あえて負け役に共感を与える言葉や背景を差し込むと、勝利の味が苦くなり、読者に深い印象を残せる。
具体的なテクニックとしては、論理の「伏線」を前半に散りばめること、相手の「信念」を的確に言語化させること、そして決定打は常に人物の価値観に直結させること。例えば『ダンガンロンパ』の討論シーンのように、テンポを切り替えて会話をゲーム的に組み立てると、勝敗の一瞬が光る。勝ち方を多様にして──知性で圧倒する、感情で揺さぶる、皮肉で突き落とす──キャラクターの色を出していくのが僕のやり方だ。