驚くほど印象的なキャスティングでした。公式発表によると、
スライムキングの声は山寺宏一さんが担当すると発表されています。山寺さんは長年にわたり幅広い役柄を演じ分けてきたベテランで、コミカルな表現から重厚な演技まで自在にこなすことで知られています。今回のキャスティングは意外性と期待感を同時に生むもので、キャラクターの大きさや愛嬌、そして王としての存在感をどう声で表現するかが注目点になっています。
演技の見どころはまずその声の幅広さ。山寺さんは低音域で重厚な“王”の響きを出しつつ、高めのトーンでスライムらしい柔らかさやユーモアも同居させられる数少ない声優の一人です。とくに台詞の抑揚や間(ま)の取り方が味わい深く、王としての威厳を保ちつつ観客に親しみを感じさせるバランスが抜群。戦闘時には重厚な咆哮や迫力のある叫びで場面を引き締め、日常のコミカルな場面では粘り気のある声質を活かしてゆるっとした可愛さを演出する、といった振れ幅が楽しめます。
もうひとつの聴きどころは表情の付け方の細かさ。スライムという非人間キャラは表情が限られるぶん、声でどれだけ感情や思考のニュアンスを伝えられるかが勝負です。山寺さんは微妙な音の濁らせ方や息の入れ方、語尾のちょっとした伸ばし方で、驚き・怒り・照れ・威圧などを的確に差し込んできます。そういう細部が積み重なって、単なる“ボス敵”ではなく愛着の湧くキャラクター像が出来上がっているのが素晴らしいところです。
個人的に感心したのは、演出との噛み合わせのよさ。効果音やBGM、他キャラの掛け合いとぶつからないように声を調整したり、シーンの空気感に合わせて声のトーンを瞬時に切り替えられる点から、経験値の高さを感じました。全体としては、山寺さんがスライムキングに“王としての重み”と“スライムらしい可愛らしさ”という相反する要素を両立させており、そのギャップがこのキャラクターの最大の魅力を引き出しています。演技の細部を耳で追うと、何度でも発見があって楽しいです。