地元の人は居酒屋 八戸で何を注文しますか？

ホヤは八戸の居酒屋で欠かせない肴の一つだ。初めて食べた人はその強烈な香りに驚くけれど、地元ではこれを旨いと笑いながら平らげる光景をよく見かける。私の周りでは、刺身で出てくる新鮮な生ホヤを酢味噌やポン酢でさっぱりと食べるのが定番で、濃い味のお酒にも負けない存在感があるから重宝されている。

季節によっては『いちご煮』という郷土の潮汁がメニューに載ることもある。ウニとアワビの澄んだ出汁が効いた一品で、特別感がある日はこれを軽くつまみつつ、ビールや地元の酎ハイで流す常連さんが多い。私もそういう日は少し贅沢をして、ホヤで一杯、いちご煮でほっと一息、という流れを楽しむ。

地元の人たちは大げさに食べ方を説明しないけれど、自然と合う飲み物と合わせて、旬のものを少しずつ頼むのが普通だ。匂いの個性は強いけれど、慣れるとクセになるホヤの存在感に、私は何度も救われている。

八戸の居酒屋ではまず『八戸前沖さば』を頼む人が多い。地元では脂の乗った鯖を軽く酢で締めた〆鯖が鉄板で、香り高い酢と生姜、刻みネギでさっぱり食べるのが定番だ。皿に並ぶとすぐに手が伸びるし、何を頼むか迷ったらまずこの一品を注文する友だちが多いのを見てきた。私も、しめ鯖に箸を入れた瞬間のねっとりとした食感と、口の中でほどける脂が好きで、必ず頼んでしまう。

刺身以外だと、炭火で香ばしく焼いた鯖の塩焼きや、皮目を軽く炙った炙り鯖も人気だ。地元の酒を少しずつ傾けながら、切り身ごとに味の違いを確かめるのが小さな楽しみになっている。ここでよく聞くのが『地元の酒で』という一言で、私は『陸奥八仙』をちびちびやりながら、鯖を肴に会話が弾む時間が好きだ。

あと、注文の仕方も特徴的で、皿をいくつかシェアして少しずつ食べるのが八戸流。大皿をみんなで囲んで、好きなものを摘まむ――そんなリズムが自然と生まれる。鯖はその中心にあることが多く、居酒屋の定番というよりは、地元の誇りみたいな存在になっていると感じる。

酒場では軽めのつまみを何品か頼むのが心地よい。私がよく選ぶのは『いかめんち』で、刻んだイカと野菜を混ぜて揚げたひと口サイズのさつま揚げ風おかずだ。衣がカリッとしていて中はふんわり、噛むたびにイカの旨味が広がるから、ビールや焼酎のつまみにぴったりだと感じる。

もう一つの推しは『貝焼き味噌』で、小さな鉄鍋で味噌とバター、葱や貝を軽く煮込んで出す料理だ。味噌の香ばしさと貝の旨味が混じり合って、箸が止まらなくなる。熱々を少しずつ取り分けながら、飲み物をちびちびやるのが私の定番スタイルだ。

居酒屋での注文は堅苦しくなく、気軽に店員さんに『おすすめちょうだい』と任せる常連も多い。地元の雰囲気を楽しみつつ、こうした庶民的な料理をつまむ時間が、僕には一番しっくりくる。