救急搬送された脳卒中が疑われる患者に対して私が優先する初期検査と対応は、時間を意識した『速さ』と確実さの両立です。まず搬送直後はABC(気道・呼吸・循環)の確認を行い、必要なら気道確保や酸素投与を行います。並行して意識レベル、瞳孔、運動左右差などをざっと評価し、発症時刻または最後に正常だった時刻(last known well)を可能な限り明確にします。低血糖は脳卒中症状を模倣することがあるので、指先血糖は現場でも病院でも真っ先に測ります。私は現場で迅速に点滴確保をし、心電図を取り、バイタルを継続してモニターします。
救急外来で何度も説明してきたことが、そのまま答えになります。
僕はまず『いつから症状があったか』を最優先で確認します。脳梗塞では「最後に元気だった時間(last known well)」が治療方針を左右するので、それが明確であるか否かで使える選択肢が変わります。一般的には発症から4.5時間以内であれば静脈内血栓溶解療法(tPA)が適応になることが多く、早ければ早いほど効果的です。
次に、画像検査と血液検査を迅速に行い、急性期血栓回収(機械的血栓除去療法)の可否を判断します。従来は6時間以内が中心でしたが、画像で救済可能なペナンブラ(まだ救える脳領域)が確認できれば6〜24時間まで適用が広がる場合があります。現場ではドア・トゥ・イメージングを20分以内、ドア・トゥ・ニードルを60分以内にすることを目標に動いています。家族にはとにかく『発症時間を正確に伝えてください』とお願いするのが、最も実践的で効果のある説明です。