獣医師は犬 ピーナツによるアレルギー症状をどう診断しますか？

動物病院で実際に診察するときの流れを思い浮かべながら話すよ。

まずは詳しい既往歴を聞き取ることから始める。いつ症状が出たか、どんなおやつや食品を食べたか、家で使っているフードやトリーツの成分表示、外出先で何か口にした可能性がないかを根掘り葉掘り訊く。皮膚症状（かゆみ、発赤、じゅくじゅく、脱毛）、消化器症状（嘔吐、下痢）、呼吸器症状（呼吸困難、咳）などを分類して重症度を判断するのが私の常套手段だ。

検査は段階的に行う。まずは皮膚の細胞診や寄生虫検査、便検査、血液検査で感染や内臓疾患を除外する。次に食物アレルギーの確定には除去食試験が最も信頼できる手段で、通常8〜12週間の限定成分または加水分解タンパクの食事を行い、症状が改善すれば経口負荷試験で再現性を確かめる。血清特異的IgE検査や皮内テストは補助的で、特に食物アレルギーに関しては偽陽性・偽陰性があり得ると説明する。

緊急対応が必要な場合は輸液や抗ヒスタミン、ステロイド、状況によってはアドレナリン投与を優先する。最終的には飼い主と共同で原因食材の除去、ラベル確認の習慣化、再発時の対応プランを作成しておしまいにすることが多い。現場では冷静さと丁寧な聞き取りが何より役に立ったと感じている。

ある時、知り合いの飼い主が急に犬の顔が腫れてパニックになった話を聞いた場面が忘れられない。急性のアレルギー反応は見た目で分かることも多いし、僕はそのケースから学んだことを今でも診療に活かしている。最初に行うのは呼吸状態や循環のチェックで、呼吸困難やショックの兆候があれば即時対応。現場での迅速な判断が命を救う。

落ち着いたら詳しい食事歴を聞く。ピーナッツバターやピーナッツを含むおやつ、調理時の誤食など、どの経路で接触したかが診断の鍵になる。救急を要さないケースでは、作業的に血液検査や便検査、皮膚検査を進めて他の原因を除外する。ここで大切なのは“除外”のプロセスで、アトピーや寄生虫、感染症が見逃されないようにすることだ。

最終的な確定には除去食と経口負荷が必要になることが多い。血液中の特異的IgEや皮内試験は参考情報にとどめ、食事試験で再現するかを見て判断する。緊急時の対応、飼い主への教育、そして再発防止策の三本柱が揃って初めて安心できる診断になるというのが僕の実感だ。

治療成功例や失敗例を頭の中で比べながら話すと、ピーナッツによるアレルギーの診断法が具体的に見えてくる。典型的には皮膚のかゆみや慢性的な耳炎、あるいは消化器症状が主訴で来院することが多く、まずはそのパターンを見極めることに注力する。どの段階でも直ちに治療が必要かどうかの判断を怠らないようにしている。

鑑別診断としては、ノミアレルギー、接触性皮膚炎、細菌や真菌感染、内分泌疾患などを順番に除外する。これらをクリアした上で、8〜12週間の限定食による除去試験を行い、症状の改善が確認できれば獣医師の管理下で再摂取試験を実施する。血液や皮膚検査は補助情報として扱い、食事試験の結果を重視することが多い。

飼い主には隠れた原料への注意や、家族や来客が与えるおやつにも気をつけるように伝える。診断は丁寧さと時間を要するプロセスだが、着実に進めれば原因特定と再発予防が十分可能だと感じている。

診察室に座って、じっくり話を聞くことを重視している立場から説明するよ。飼い主の話からピーナッツ製品の摂取歴が疑わしい場合は、時間的因果関係を特に重視する。たとえば食後すぐに顔や唇が腫れた、全身にじんましんが出た、あるいは嘔吐や下痢が続いたといった急性反応はIgE媒介の可能性が高く、迅速な対応が必要になる。

慢性的に皮膚炎や耳の炎症、頻繁な嘔吐や下痢が見られる場合は食事性アレルギーの疑いで、まずは寄生虫や細菌・真菌の感染、環境アレルギーといった別の原因を否定する検査を進める。血液検査や皮膚の細胞診、糞便検査で一次的な原因を除外した上で、除去食による治療試行を行うのが私のやり方だ。

除去食で症状が改善したら、獣医師管理下での経口負荷試験でピーナッツが真の犯人かどうかを確認する。自己判断での再挑戦は危険だから、必ず獣医師の指示に従うように飼い主には強く伝える。検査結果だけに頼らず、臨床像と食事試験の結果を総合的に判断することが重要だと感じる。

有限の時間の中で素早く見極める必要がある場面を想定して書く。まず重症度に応じたトリアージを行い、生命危機がある場合は救命処置（酸素投与、静脈確保、アドレナリン等）を優先するのが私の基本的な流儀だ。安定しているなら、徹底的な問診で食事やおやつの履歴、家庭内での可能性の高い接触源を洗い出す。

続いて行うのは基礎的検査だ。血液検査で全身状態を把握し、皮膚の細胞診や耳垢、糞便検査で感染や寄生虫を確認する。これらで異常がなければ、除去食試験を実施し、改善が見られたら管理下での挑戦試験でピーナッツの関与を検証する。皮内テストや血清抗体検査は補助的に使うが、食物アレルギー診断の“ゴールドスタンダード”は除去と再挑戦であることを強調する。

最後に、飼い主には成分表の確認方法や代替トリーツの提案、緊急時の対応手順を伝えて終了する。診断は手間がかかるが、その分だけ確実に安全性を高められると信じている。