睦言という言葉、最近ある歴史小説で目にしたのがきっかけで興味を
持ちました。語源辞典を調べてみると、この言葉はもともと『睦み合う言葉』という意味で、平安貴族の間で生まれた表現のようです。当時は
夜伽の際の会話や、恋人同士の甘い言葉のやり取りを指して使われていました。
時代が下るにつれ、その意味は拡張されていきます。中世には単に親しい者同士の会話全般を指すようになり、必ずしも恋愛に限定されなくなったようです。江戸時代の洒落本や人情本には、町人たちの日常会話を『睦言』と表現している例も見られます。
現代では古風な響きを持つ言葉ですが、日本語の歴史を考える上で、人間関係の変化を映す興味深い事例と言えるでしょう。