線一本で印象が変わる瞬間を、いつも面白く感じている。インクやペンの入り抜き、筆圧のコントロールだけでキャラの性格やテンポが伝わるから、線の扱いは
玄人ほどこだわる部分だ。スピード感のあるフォースショートニングやダイナミックなアクションを描くときは、一本の流れを大切にして下描きから線の意図を作り込む。
個人的には、敢えて線を残すか消すかで表情が変わるのを楽しんでいる。線を残すなら輪郭と内側の主要ラインだけに絞る。消すなら色と値だけで形を伝える。『スパイダーマン』のポーズ模写で試したのは、線を最小にして陰影だけで重心を示す手法だ。これで画面の余白が活き、視線の集中が生まれる。
また、線の質感はブラシ設定や描き方で簡単に変えられるので、好みの道具をいくつか持っておくと表現の幅が広がる。試作を重ねるうちに自分の“線語彙”が育っていくから、焦らず遊んでほしい。