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長い人生で、君と愛だけが

長い人生で、君と愛だけが

By:  聞くなCompleted
Language: Japanese
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七年間、立場がないまま雨宮央人と共に過ごしてきたが、雪野穂香は後悔していなかった。 周囲から「金づるにすがる安い女」と罵られても、彼女はやはり後悔しなかった。 央人の昔の恋人が、二人のベッド写真を彼女に送りつけてきたときでさえ、穂香は後悔する気になれなかった。 だが、雪野家が危機に陥り、両親が病に倒れたとき、央人はその恋人を抱きしめたまま、冷ややかに見ている瞬間、穂香は初めて後悔した。 七年という時間は、結局彼女の一方的な思い込みにすぎなかった。 自分では尽くしているつもりでも、結局は他人の幸せのために尽力していただけだった。 心が完全に折れた彼女は、自ら別れを告げ、九条家との政略結婚を選んだ。 こうして央人が虚ろな家に戻ったとき、穂香はすでに京市の九条夫人となっていた。 誰も想像しなかった。利益だけで結ばれたはずのその結婚が、彼女にとっての救いの始まりになるとは。

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Chapter 1

第1話

「雪野なんて、大した女じゃないよ。ああいう自分からすり寄ってくるタイプ、一番安っぽい」

「そうそう。もしあの女がいなかったら、雨宮さんはとっくに美玖を嫁にもらってたよ」

「ほら、未来の雨宮奥様に先に一杯」

「だめだよ、美玖はお酒飲めない」

雨宮央人(あまみや ひさと)の声は、雪野穂香(ゆきの ほのか)が聞いたことのないほど優しくて、気遣いに満ちている。

「わ、俺空気読めなかった。じゃあ自分で一杯いっとく」

穂香は個室の外に立ち、室内からの笑い声に顔を焼かれるような思いだ。

けれど、今日はどうしても央人に伝えなければならないことがある。彼女は胸の痛みを押さえ込み、勇気を振り絞ってドアをノックした。

ドアが開いた瞬間、賑やかだった個室はしんと静まり返った。

視界の中心に座っているのは、穂香の婚約者、央人だ。

しかし彼の腕の中には女の子が抱かれている。その子は驚くほど綺麗で、明るくて、自信に満ちている。

穂香は知っている。彼女は央人が少年の頃から忘れられなかった初恋、大冢美玖(おおつか みく)だ。

「穂香、来たんだね。こっち座って」

美玖はすぐに央人の腕から抜け出し、穂香に歩み寄る。「さっきみんな、ちょっとふざけてただけ。聞こえちゃってたら気にしないでね」

穂香が美玖を見つめると、彼女の目には反省の色など微塵もなく、あるのは、勝ち誇った色だけ。

けれど穂香には怒っている余裕がない。彼女は央人に向き直り、すがりつくように呼んだ。「央人」

央人は穂香を見た瞬間、一瞬だけ後ろめたさを覚えた。しかし美玖が彼の腕を振り解いたとき、その目にはもう苛立ちしかない。

「美玖、戻ってきて。彼女のことは気にするな」彼は傍らの席を軽く叩き、美玖に戻るよう合図した。

央人は再び美玖の肩を抱き寄せて、軽く口づけしてから、ようやく不機嫌そうに穂香を見た。「何の用」

「央人、お父さんとお母さんが入院してるの。お願い、今までのことを思い出して、助けて」

雪野家は最近誰かに狙われているようで、いくつもの大きな取引を失った。父・雪野大助(ゆきの おおすけ)も母・雪野紀子(ゆきの のりこ)も、急なストレスで倒れ、入院してしまった。

今は資金繰りに行き詰まり、穂香には家業を支える力などなかった。両親の治療費さえ払えない。

彼女は央人に助けを求めるしかなかった。雨宮家からいくらかの資金を借り受け、この難局を乗り切れる。

央人の表情は変わらない。ただ冷たく言った。「それで、そんな態度で頼みに来たわけ」

穂香は驚きの表情で央人を見つめた。「央人、どういう意味?」

「ここで一時間跪けば、考えてやってもいい」

穂香の体は激しく揺れた。けれど病院のベッドに横たわる両親の姿が浮かぶと、彼女はゆっくり膝をついた。

「そこに跪くな。目障り」

央人の言葉は悪魔の囁きのようだ。穂香は隅へ歩み寄り、重々しく膝をついた。

彼女が従順に従う姿を見て、央人は冷笑した。周りの人々に向かって言う。「何ぼーっとしてるんだよ。続けろ」

これまで声を潜めていた人々は、すぐに元のふざけたざわめきへ戻った。

「さすが雨宮さん。雪野ってほんと言うこと聞くんだな」

隅に跪く穂香は、人々の嘲笑を聞きながら、唇を噛みしめて血の味を感じるほどだった。

彼女は央人を見つめ、自分がまるで笑い物のように思えた。

二人の出会いは、央人が穂香を救ったことから始まった。

病院で最初に見たのは央人の姿で、彼の優しい世話にすぐに心を奪われた。

それ以来、穂香は央人を愛するようになった。

央人が私生児という立場で雨宮家で冷遇されていることを知ると、穂香は彼と結婚し、雪野家の地位を利用して、央人を助けようと決意した。

両親は最初は反対したが、穂香の泣きわめきに根負けし、同意せざるを得なかった。

央人は雪野家で跪いて、両親に、成功した日に正式に婚姻届を提出すると誓いを立てた。

彼はまた穂香に盛大な結婚式を約束した。

「穂香、後悔はさせない。婚姻届を提出した後は、お前を世界で一番幸せにする。錦市を震わせるほどの結婚式を挙げる」

こうして穂香は雨宮家に住むことになったが、央人とはまだ婚姻届を提出していなかった。

あっという間に七年が過ぎ、央人はついに雨宮家の後継者となった。

穂香が夢がついに叶うと思った時、美玖は戻ってきた。
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