深い色彩が象徴的に使われる物語を探しているなら、まず挙げたいのが『The Blue Flower』だ。これはペネロペ・フィッツジェラルドがノヴァリスの生涯と「青い花」という象徴を巧みに織り込んだ小説で、
紺青という色が理想や渇望、不在の象徴として働く様子が胸に残る。
読みながら、色が単なる描写を超えて人物の内面や時代感を作り出していく過程に何度も心を動かされた。私には特に、言葉の間に漂う青のイメージが、登場人物の追い求める希望と重なって見えた。
静かで知的な作品が好きな人にぴったりだし、色の持つ複層的な意味をゆっくり味わいたいときに手に取りたくなる一冊だと思う。