僕は物語の“余白”が好きなので、世界観で惹きつけられる作品を多めに選んだ。まずは幻想的な迷宮を紡ぐ『Piranesi』、時代の人々の息づかいを丁寧に描いた『Hamnet』、ゴシックとサスペンスが絶妙に混ざる『Mexican Gothic』を推す。さらに、アイデンティティと世代を巡る問いを投げる『The Vanishing Half』、機械の眼差しから人間を問う『Klara and the Sun』を入れている。
ライトだが深みのある読み物としては『The Midnight Library』、群像劇の熱量を感じる『Deacon King Kong』、先住民族の歴史と個人の物語が交差する『The Night Watchman』もおすすめだ。旅と再生をテーマにした『The Lincoln Highway』、時空を超える繊細な物語『Sea of Tranquility』で締めくくる構成にした。どれも編集部の目利きに納得しやすい一冊だと思う。
ミステリアスな構造と人物の崩壊を描く『The Glass Hotel』、都市そのものが主人公のように立ち上がる『The City We Became』、パンデミックと共鳴する詩的なSF『How High We Go in the Dark』をまず勧める。倫理的ジレンマをスリリングに扱う『The Echo Wife』や、家族史と国家史を重ね合わせる雄大な『The Love Songs of W.E.B. Du Bois』も忘れがたい。
社会の偏見やアイデンティティを鋭く掘る『Interior Chinatown』、軽快な家族ドラマの『Malibu Rising』、読後に考えさせられる構成の『The Plot』、ホラーと文化の交差点に立つ『The Only Good Indians』、そして巧妙なサスペンス『The Paris Apartment』で締めた。読む順番を少し変えれば、また別の味わいになるはずだ。
80年代の電子的な煌めきに惹かれるなら、まずはシンセやメロディの質感を楽しめる曲を中心に組んでみるといい。僕は若い頃に友人からテープを借りて聴いた経験があって、そのときの胸の高鳴りを今でもプレイリストに反映させている。
リストの核にしたいのは、'Take On Me'(a-ha)の疾走感と高音の美しさ、'Sweet Dreams (Are Made of This)'(Eurythmics)の冷たくも中毒性のあるリフ、そして'Just Can't Get Enough'(Depeche Mode)のポップなシンセが織りなす幸福感。ここに'Don't You Want Me'(The Human League)の物語性を加えると、曲ごとに違う表情が楽しめる。
最後に落ち着いた流れを作るために'Everybody Wants to Rule the World'(Tears for Fears)の余韻を置くとバランスが良くなる。プレイリストは曲順で聴き手の旅路をガイドできるから、始まりは明るめ、途中で深いシンセ曲を挟み、終盤で風通しのいいナンバーにするのがおすすめだ。こうして自分の記憶と感情を呼び覚ます選曲が完成すると思う。