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手元にある編纂物を参照すると、官修の正史はまず外せない資料だ。
僕は人物伝を読むときに'宋史'の本文や列伝を必ず確認する。編纂の目的や編者の立場による脚色があるので、事績の羅列だけでなく注釈や異本を比較する癖をつけている。官史は役職名や年次の記載が整っている一方で、失敗や不利な事績を削ったり美化したりすることがあるからだ。
また、朝廷からの奏状や御史台の記録、地方官の上申(もし残っていれば)も突き合わせて、できるだけ当時に近い一次情報を拾うよう心がけている。こうした比較が人物像の信頼性を高めてくれると感じている。
現場でよく参照するのは地方の実物資料だ。僕は調査時に地域別の記録を重視していて、特に地方誌や族譜は人物の系譜や地元での評判を補う点で助かっている。これらは官修史に載らない細かな情報を含むことがある。
ただし地方誌や族譜は編纂者や編集時期の意図が強く出る場合があるので、信憑性を確認するために碑文や現存する行政文書、他地域の記録と照合することを勧める。こうした地元史料を中心に据えると、人物像の細部が豊かになると思う。
若干分析的に考えると、後世にまとめられた史書ほど検討が必要だと感じている。僕は特に編纂時期が異なる史料を跨いで読むことで、記述の変化や伝承化の兆候を見つけるのが好きだ。
例えば'明史'のような後代の編年・列伝系史書は豊富な資料を集約していることが多いが、編者側の政策判断や道徳規範が反映されやすい。だから、同時代の地方文書や個人の家記、また地方官の記録と突き合わせて検証する。異なる出典群を並べることで、どの記述が一次に近いか、どこが後補かが見えてくる。
最終的には、一次記録(刻石、墓誌、当年の奏折など)に優先順位を置きつつ、正史や後世史料は補助線として使うのが実務的だと考えている。
古文献を掘ると、まず編年で辿れる大きな史料に当たるのが手堅い入り口だと感じる。
僕は調べ物をするとき、まず編年体で展開される'資治通鑑'を参照する。編年体だから出来事の前後関係がつかみやすく、人物の行動や複数の出来事を比較しやすい点が助かる。だが編者の視点や編纂時代の政治的背景も入ってくるので、そのまま鵜呑みにはしない。
次に墓誌銘や碑文の類いを探す。個別の人物については、墓誌や碑文が一次資料として非常に貴重で、没年・位階・家族関係など一次情報を補強してくれる。出典を突き合わせて、伝承と死没記録のズレをチェックする作業が鍵になる。