-54 国境を越えたビッグイベント-
今朝のリベンジを心に誓いながら光は自宅の家庭菜園でサラダに使うレタスやキュウリといったシャキシャキで瑞々しい野菜を収穫していた。
ドッキリのお詫びとしてネスタが朝ごはんを作ってくれるそうなので横に添えようと張り切って採っている時、ふといつも使っているゴマダレが切れている事を思い出した。
散歩がてらゲオルのお店に向かう、横には彼氏となったナルリス。光に歩幅を合わせて歩いてくれているので自然と笑みがこぼれた。その光景を陰から利通が眺めている。
利通「羨ましいな・・・、恋人か・・・。」
林田「心配しなくてもいずれは良い人が現れるさ、ただ俺みたいな失敗はするなよ。」
ネスタ「誰が失敗だって?」
林田「か・・・、母ちゃん、違うんだって。」
林田警部が奥さんから大き目の雷と拳骨を喰らわされている頃、付き合いたてのカップルは街の中に差し掛かろうとしていた。ただ、先程から違和感を感じる。
改めて道路が舗装しなおされ、平らにならされている。ゆっくり歩いていると数人のリッチが分担して道路を舗装し直していて、その中にゲオルもいた。
ゲオル「ふう・・・、道幅も申し分ないはずなのでここはこんなもんで大丈夫ですかね。確か・・・、この辺りに地下のトンネルを掘るらしいのですが、そこは大工さん達の腕の見せ所ですかね。おや、光さんとナル君では無いですか、おはようございます。」
光・ナルリス「おはようございます、ゲオルさん。」
ゲオル「あら、お2人揃って昨日の今日で早速おデートですか?」
光「あはははは・・・・まぁ、ね。」
リッチには何もかもお見通しらしい、今朝の事を話題にしないでくれたら助かるのだが。
ただ気になる事は、どうしてリッチが数人集まって道路の舗装を直していたのかという事だ。
何かを思い出し察したかの様にナルリスが声を掛けた。
ナルリス「もしかして『アレ』の時期ですか?」
ゲオル「そうなんですよ、この後別の人たちが街中に柵や観客席、あと関係者席などを設置する様になってるんです。」
光「ナルリス、『アレ』って何?」
ゲオル「おやおや、もうお互いを名前で呼ぶようになっているんですね。」
光「それより何なんですか?」
ゲオル「おっと失礼。毎年ネフェテルサ、ダンラルタ、そしてバルファイの3国を1つのコースとして繋いでのカーレースが行われるんです