-90 解体の最中-
牛筋煮込みご飯を振舞う御厨の横でネスタは内ヒラ肉の脂を丁寧に剥がし取り赤身肉をブロック状に切っていくと、手の空いたヤンチが特製のスパイスに漬け込み1面1面表面を数十秒ずつ焼いていった。
表面を焼き上げたブロック肉の粗熱を取り、林田警部拘りの冷蔵庫に入れる。ブロック肉を冷蔵している間に特製のソースを作る。フライパンに残った肉汁や脂をベースに赤ワインを加え煮詰めてアルコールを飛ばした後粗熱を取ってこれも冷蔵庫で冷やしていく。
結愛「出来上がりが楽しみですね、赤ワインは・・・、あれ?」
結愛が持って来ていた赤ワインが全て無くなってしまっているので辺りを見回すと、先程の新郎新婦が何故か呑み比べを始めその中で結愛のワインまで呑んでしまっていた。
結愛「うっ・・・、1本50万円したのに・・・。」
光明「どんだけ高いワインだよ・・・、と言うよりどこにそんな金があったんだよ。」
結愛「さてと・・・、少し席を外します・・・。」
嫌な予感がした結愛はそそくさに『瞬間移動』で何処かに逃げてしまった。
光明「あっ・・・、最近家で安めの第3のビールばっかり吞んでると思ったらあんなに大きな買い物をしていたんだな。へそくりでもしてたのか?」
噂をしていると結愛が大きめの袋を持って戻って来た、袋の中身は全て赤ワイン。
結愛「はぁ・・・、はぁ・・・、予約注文していて正解でしたよ。これなかなか手に入れるのが難しいワインなんです。」
光明「そんなワインを何本も・・・、俺の嫁って一体・・・。」
頭を抱える光明を横目に冷蔵庫からネスタが出来立てのローストビーフを運んできて特製のソースと共に振舞った。ワインを全員に配ると皆噛みしめる様にゆっくり呑んでいった、勿論ローストビーフにぴったりだ。
御厨が先程のお釜からご飯を丼によそい、ちぎったレタスをふんわりと散らしてその上に薄切りにした肉を薔薇の花の形にすると上に刻み海苔を飾り見事な丼へと変身させた。
横には小皿に入った温泉卵が添えられている。それを見た林田警部と光が駆け寄って丼を掴み一気にかき込んだ。口いっぱいに入った料理を味わいながら2人は感動の涙を流している。
林田・光「美味すぎる・・・、こんな贅沢な丼初めて。あ、ハモりましたね。」
まさか「あ、ハモりましたね。」まで被るまでとはと全員唖然としている、御厨は2人に温泉