玉座には既に王様が腰を下ろしている。
王様の隣には、大臣らしき男が手を後ろに組んで立っている。 真っ赤な絨毯の上を進むと、ランデルが膝をついて屈んだ。ここで、勇太お休み作戦その一『無法の歩み』を見せる。
王様に向かって歩き続けるだけなのだが、嫌でも注目を浴びることになる。 それによって俺の発言に力を持たせるのだ。「おうしゃ……」
※王さ……「ランデルより報告があります! モロンダルの坑道にて四天王の一人、狂乱の一角獣ライトニングビーストをユートルディス殿が討ち取りました!」
……おい。
このジジイ、邪魔しやがって! まあ、まだ作戦は山程ある。 勇太お休み作戦そのニ『波状攻撃』を繰り出すことにしよう。 誰かの言葉に続けて話すことで、相手の聞く意識を持続させるという作戦だ。「あにょ……」
※あの……「どの面を下げて戻って来た! 余の言葉を忘れたとは言わせんぞ、ランデル! 貴様の忠誠心、そして王国一と言われた剣の腕を信じた余の顔に泥を塗りおって!」
……いやいや。
俺にも喋らせて欲しいんだが。王様がブチギレているから、落ち着くまで少し待った方がいいかもしれない。
今まで見た人の中で一番怖いかもしれない。 物凄い剣幕だ。 あまりの迫力に、びっくりして俺も片膝をついてしまった。「も、もちろん覚えております。しかし、ネフィスアルバ討伐の為にジークウッドの街に立ち寄りましたところ、ユートルディス殿が四天王の一人、炎眼の死神アルテグラジーナと結婚すると言い出しまして……」
……は?
このハゲ、我が身可愛さに俺を売りやがったんだが。 全責任を俺に押し付ける気だ。 結婚はアルから言い出した事であって、