Chapter: 第58話 そしてSNSの方では、星野美優と涼介のことで大炎上して賑わっていた。 あれだけ騒ぎを大きくしたのだ。今では春美と幸村に対する同情の声が多く、もう表舞台には立てないだろう。 それに星野美優は、星野家から『養子縁組解消』することになった。血も繋がっておらず、罪を犯した。裁判の末、正式に手続きが承諾された。 これで『星野』の苗字を名乗れず、これからは『中森美優』として生きることになる。もちろん、財産の相続は出来ない。無期懲役だから、どのみち意味はないが。結局は彼女の自業自得。 それだけではない。春美の本当の両親だった星野総一郎・智美夫妻は離婚することになった。 星野総一郎は、必死に償いをしたいと願い出たが、彼女はそれを却下した。 長年苦しめられ、傷ついたこと。春美を捨てるはめになった張本人で、しかも実の娘を間違えるなどあってはならないことだ。現に、そのせいで春美は危険な目にあった。 星野智美は、それがなにより許すことが出来なかった。星野総一郎は渋ってはいたが、彼女の強い意思に従うことに。 せめての罪滅ぼしだろう。財産を半分と別荘を譲ることで合意。星野智美は今後も別荘で自宅療養を続けることに。新たな人生を歩むことになるだろう。 星野智美は、春美に「会いたいと思ったら、いつでも会いに来て。どんなところに居ても、私はあなたのことを大切に思っているわ。私の可愛い子」と言ってくれた。 優しく微笑みながら頬を撫でてくれた。春美はそれを受け入れる。 変わらずに加賀野家の養女のまま。いくら本当の両親が見つかったとしても、今の生活を変える気はなかった。それを聞いて加賀野家の義両親は安心してくれた。 星野家の財産は今後どうするか決めるつもりだ。 そして春美は幸村と結婚する。自分達の望みで小さな結婚式にしたが、たくさんの人達に祝福されて、幸せを感じることが出来た。やっと、復讐を果たすことに成功する。 なによりも、自分を取り戻すことが嬉しかった。 それから数年後。 春美は大女優として芸能界で大成功する。テレビ局で行われたアカデミー賞。 そこで春美が出演女優賞など総なめした。あの事件から春美は、必死に努力をして、この地位に昇る。 司会者は「この受賞の喜びを誰に伝えますか?」と聞いた。「そうですね。ファンの皆様、関係者の皆様など多く人に支えられてきましたが、
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-02-06
Chapter: 第57話 どうしようと狼狽えるが、すぐに記憶を探っていく。そうだ、スマホだと思い出す。 幸村の上着から彼のスマホを取り出すと、彼のパスワードを入れる。見て、記憶していたので、すぐの解除が出来た。 幸村の両親に連絡をして来てもらった。先に到着した幸村の父親にサインをしてもらい、何とかギリギリ手術を始めることが出来た。 後で到着した幸村の母親と加賀野家の義両親と一緒に終わるまで待つことに。 泣きじゃくる春美に心配しながらも、義両親は幸村の両親に事情を説明してくれた。責められると思ったが、彼の両親は優しい人達で理解してくれた。 むしろ「あの子らしい。それに、仕事人間で心配していたが、ちゃんと大切な人を見つけることが出来たようで良かった」と、言ってくれるほど。 こういう両親だからこそ、彼は紳士的に育ったのだろう。 その後。刺されたところが背中だったのが幸いしたのと、本人が持ち直してくれたので、無事に手術が終わることが出来た。 しばらくの間は入院になったが、助かったと分かり、春美はホッと一安心する。 幸村が目を覚ましたのは次の日の朝方だった。春美は心配して、ずっと付き添っていた。「幸村社長。目を覚ましましたか!?」「……ああ、ここは病院?」「はい。背中を刺されたせいで病院に運ばれて、そのまま手術を」「……そうか。いたたっ……」 幸村は心配する春美をよそに起き上がろうとする。慌てて止める。「まだ、起き上がるのは無理ですよ!? 寝ていて下さい」「ハハッ……でも、君が無事で本当に良かった」 苦笑いしながらも、春美が無事だったことに喜ぶ幸村。それを聞いて春美の目尻に涙が溢れてくる。「……本当に心配したんですよ? 私のために怪我までして……」「君が無事なら、それでいいんだ」「……でも私のせいです。私が彼女を挑発しなかったら、こんなことには……本当に申し訳ありませんでした」 涙を流しながら頭を下げる。そうしたら幸村は、春美の手を握る。「惚れた女性は命がけで守るものだ。だから、君を守れてことに対しては後悔していないよ。むしろ誇りだ」 ニコッと微笑む彼は、とても優しく、あたたかい人だと思った。春美の胸がギュッと締めつけられて苦しい。傍に居たい。「私……まだ返事を言っていませんでしたよね?」 今なら言える気がする。しかし幸村は、それを止める。「もう
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-02-06
Chapter: 第56話「……それでも間違ったことはするものではないわ。お願いだから……自首して」「ハッ? 偽善者ぶらないでよ? そもそも、騙される方が悪いんじゃない。美優はきっかけを作っただけ。それをコイツらが勝手に信じて、騙されたってだけ。美優だけのせいにしないで」 星野美優の言葉に一理ある。涼介と星野総一郎が騙されて、愚かなことをしなければ防げられたことだ。「……そうね」「大体知られたからって、何だって言うの? 今、美優がここで死んだら、あんた達だって、ただでは済まないわよ? 美優のファンが騒ぐし、株価にも影響があるかもね?」 そう言いながら、また隙を見て果物ナイフを取り出した。今度は自分の方に向けてくる。「何を考えているの!?」「美優!?」 春美と涼介は驚く。まさか今度は自殺をする気? 星野美優は、ハハッと笑う。「どうせ、もう後はない。だったら、このまま自分が死んで……あんたらを道ずれにしてやる。死んだ人間が出れば、世間はあんた達に批判をするわ。何も知らないくせに、やり過ぎだって。どうせ世間の連中は、どちらでもいいのよ。ただ批判したいだけ」「だからと言って……こんなことしないで」「うるさい。偽善者ぶるなって,言っているでしょ!? どうせ、どうなっているか知らないんだから」「……いいえ、知っているわ」「……えっ?」「リビングの小型監視カメラを仕込んでおいたの。あなた達が騒ぐだろうと思って、証拠を残すために。この監視カメラは、全国のネットに繋がっているわ。ちなみに、それを流してくれているのは、私の義両親よ。近くで様子を伺っているわ。もしかしたら、すでに警察の通報してくれたかもね? もう……終わりよ。星野美優」 実は大暴れをするか、後で捏造するのを防ぐために春美は加賀野家の義両親に頼んでおいた。もちろん、星野家にも許可をもらっている。 だから、いくら騒いだところで世間はそれを見ている。まぎれもない真実を。「……そんな」 星野美優はショックで崩れ落ちる。勢いが削がれたのだろう。星野美優だけではない涼介と中森京香も崩れ落ちていた。 その時だった。遠くの方から、パトカーのサイレン音が鳴り響いた。救急車も。どうやら義両親が呼んでくれたようだ。 しばらくして、警察官が到着。自信喪失した星野美優と涼介、中森京香は逮捕された。 パトカーに連れて行かれる。そし
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-02-03
Chapter: 第55話 けして忘れることも、許すことは一生出来ない。自分過去を振り返る春美。 今日のように鮮明に覚えている。瞬間記憶能力(カメラアイ)を持つ春美にとって、忘れることも出来ない記憶なのだ。「……春美。本当に悪かった」「謝らないで、気持ち悪い。私は許す気はない。それに、もう婚約破棄だって終わっている。あなたに残っているのは……後悔と罪を犯した代償よ!」 絶対に償わせる。それが死ぬよりも恐ろしい復讐なのだから。「……どういう意味だ?」 驚く涼介に春美はフフッと笑った。「今回の件も含めて、あなたを告訴するわ。お腹の子を許可なく、無理やりおろされたこと。暴行罪と名誉棄損。それだけではないわ。星野美優、中森京香。あんた達も告訴する。そうそう、あなたが過去に起こした事故もすでに調査済みよ。警察に連絡したら逮捕は間違いないわね。生きて出られるとは思わないことね?」 星野美優と中森京香は特に罪は重い。誘拐と人身売買まで手に染めようとした。 それに事故も引き起こして、人をひき殺している。殺人容疑で逮捕が出来る。偽装罪と不正行為。どれを取っても許されるはずはない。 ショックと後悔で崩れ落ちるように座り込む涼介と違って、星野美優は肩を震わせて怒りをあらわにしていた。 その時だった。急に星野美優は駆け出して、キッチンの方に向かっていく。 驚く一同だったが、星野美優は構わずにキッチンから包丁を取り出した。「ちょっと、何をする気!?」「うるさい、うるさい。どうして美優の邪魔ばかりするの? あんたさえ、居なかったら星野家は私のモノだったのに」 興奮状態の彼女は包丁をこちらに向けてくる。このままでは危険だ。「私のモノって……最初からあなたのモノではなかったはずよ!? あんた達、親子が、勝手に奪い取ろうとしていただけじゃない」「違うの。絶対に違う。全部美優のモノなの。星野家も、神崎芸能プロダクションから女優の名誉まで全てが美優のために用意されるべきなの!?」 ダンダンと何度も足踏みをしながら、訴えかけてくる星野美優。 何を言っているのだろうか? これでは駄々をこねている幼児のようだ。散々甘やかされて、自分の腕を思い通りにしてきたのだろう。 それが無理だと分かると癇癪を起こしていた。「……とにかく、包丁をおろして。危ないから」 春美は慌てて止めようとするが、星野
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-02-03
Chapter: 第54話「そんな……じゃあ、俺がやってきたのは何だったんだ!?」 初恋の人が出会ったら感謝を伝えたかった。今度は守れるように。なのに、現実はあまりにも残酷だ。自らの手でボロボロに壊してしまった。 ヤバいと思った星野美優は必死に涼介の腕を掴んだ。「涼介さん、騙されないで。あの女が、あんなのAIを使って録音したのよ。美優がそんなことするわけがないじゃない」 しかし涼介をそれを無視して、大きく腕を振り払った。星野美優は勢いで尻もちをついてしまったが、それでも足にしがみつく。「ねぇ、お願い。美優を信じて。あれは、間違いなの。家を追い出されるのが怖くて、やったことで本心じゃない。あなたを愛しているの」「今まで散々俺に噓をついてきたな!? そのせいで俺は大恥をかいたんだ。お前のせいで……俺は」「でも、あなたは美優を愛してくれたじゃない!? 許してくれたら反省する。もう、この人達とかかわらないようにするから」 ここまでくると2人とも醜いものだ。春美は呆れて、ものが言えなかった。 愛していた婚約者は、ここまで哀れだと思わなかった。殺したいほど憎んだ星野美優も、今は哀れに救いを求めている。 はぁ~と、春美はため息を吐くと自分の腕を組んだ。「まだ噓を言うのなら、実の母親から無理やり居場所を聞いて、星の痣を彫った美容整形に確かめればいいわ。もしかしたら、記録が残っているかもね?」 何年前だから残っているかは分からないが、脅すには丁度いいだろう。 ビクッと肩を震わせる星野美優を振りほどいて、涼介は春美のところに向かってきた。「春美。全て間違いだったことは認める。すまなかった。二度と同じような過ちはしないから、最後のチャンスをくれ」 春美の両腕を掴みながら必死に許してほしいと言ってきた。イラッとした春美はそれを振り払う。「嫌よ。あなたは、私にしてきたこと忘れたの? そんな男をどうして、許さないといけないのよ?」「どうしてだ? お前は俺を愛していただろう? 相手を間違えただけで、前から俺は春美のことを愛していたんだ。ようやく、それが分かったんだ。だから……あんなに惹かれていた」 何を言っているのだろうか?「愛していた? 間違えた上で、ようやく分かった?? あんた……本気で言っているの?」 勝手に自己判断で納得しないでほしい。そのせいで、どれほど絶望を味わい、苦
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-02-03
Chapter: 第53話「強情にも口を割る気はないようだが、全て調べはついている。彼女が昔、赤ん坊だった春美を誘拐して人身売買をしようとしたこと。自分の娘を星野家の後継者にするために、偽装して名乗らせたこと。複数の男と関係を持っていたことまで」 星野総一郎の言葉にどんどんと顔色が変わる中森京香と星野美優。「そんなの噓よ。それに証拠がないわ!? 私達が企んだと言う証拠を見せなさいよ」 それでも認めようとはしない中森由香。往生際が悪い。 証拠を見せろと騒ぎだした。「証拠なら、あるわよ」「……えっ?」 ドアが開くと、入ってきたのは星野智美だった。車椅子ではなく、歩いて登場。 それには星野美優も驚いていた。ずっと車椅子生活で話すこともままならなかったのに。「……あんた!?」「お久しぶりね? 中森さん。何年ぶりかしら?」「どうして……あんたは、精神的におかしくなったはず……」「それは、あなた達から娘を守るためよ。私の娘なら赤色の星の痣があるはずよ」 星野智美の言葉に星野美優はフンッと笑う。「そんな美優もついているわ」 そう言って、首筋の星の痣をワザと、見せてきた。「……それだけだと思った?」「えっ?」「私は施設に預ける時に、ロケットペンダントも一緒に渡したはずよ。中には私と赤ん坊だった娘の写真が貼ってあるはずよ」「……噓っ!?」 そんなこと知らなかった星野美優の顔は一瞬で真っ青になっていく。「ちなみに私は持っているわよ。このロケットペンダントのことよね? 中の写真も間違いなく、本物だったわ」 そう言って、春美はロケットペンダントのことを見せた。これこそ、春美が本物だと言う証拠になるだろう。「これだけが証拠ではないわ。これを聞いても、違うと言える?」 春美はボイスレコーダーの電源ボタンを押した。録音の声は星野美優だった。『あんた達って、親子揃ってバカだよね? 私達親子の策略にまんまとハマって、男を盗られるなんて。いいこと教えてあげようか? あんたの娘は赤ん坊の時に誘拐されて、臓器の一部として売られるはずだったのよ? ハハッ~でも、あなたが余計なことしたせいで話がダメになっちゃったけど。でも、そのお陰で美優が星野家の娘として入り込めた。本当、バカ~』 キャハハッと大笑いしながら手を叩く星野美優。 星野智美が正気を失っていると分かってやっている行動だっ
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-11-15
Chapter: 番外編②・第三話。 美奈子は「ただ」の意味が分からなかった。好みはあるから可愛いとだけなら分かるけど。八神はフフッと笑う。「泣いている姿を見ていた時は守ってあげたいと思ったし、相手のことを悪く言わないところとか、好印象を抱いた。それを含めて可愛いなって。人って、何かのきっけで好きになったりするから。分からないものだよね。今だって、友人思いの君のことを純粋で可愛いと思っているしさ」「はっ? 意味分からない!?」 亜季のいいところは、美奈子は十分理解しているつもりだ。八神が彼女に惹かれる部分があっても仕方がないと思っている。 しかし、どうして。そこで自分が可愛いと思うのだろうか? 美奈子は顔を耳まで真っ赤にして動揺してしまう。可愛げのない発言をしてしまった。言われ慣れていないので心臓がドキドキと高鳴ってしまう。 そうしたら八神はハハッと大笑いする。「耳まで真っ赤だよ? なんてね……驚いた?」「はっ? もしかして、からかったの!? 信じられない」 せっかく少し同情したのに、台無しだ。 やっぱりチャラい。あと性格が悪い気がする。美奈子はムスッとしてしまう。 八神はハハッと笑いながら、涙を拭った。「ごめん、ごめん。からかい過ぎた。でも……君に純粋なのは本当だよ。友人のことで、そこまで怒れる人はなかなか居ないと思う。上辺ばかりの女性と違って、純粋で優しいと思うよ」「えっ……そんなことは」 やはり言われ慣れていない。だからか、余計に体が熱く火照ってしまう。 例え冗談だとしても心臓に悪い。「だからと言って、からかわないで下さい。私は恋愛でも、手を抜きたくないんです」「いやだなぁ~俺だって、手を抜くつもりはないよ。いつだって本気だし」「どうだか!」 あー言えば、こう言う。なんだかお互いに言いたいことをぶつけているような気がする。まるで喧嘩友達のように。 おかしいと美奈子は思っていた。 イケメンを見ると、キャーキャー言う方だ。どちらかと言えばミーハー。それなのに、イケメンのはずの八神には素になってしまっている。 すると、八神はハハッと笑う。「なんだか、いいね。こういうの。俺に媚びとか売ってこないし。素で話せる人って、なかなか居なかったんだよね」「……確かに、友人とか居なさそう」「うわ~酷いな」 そう言い合いながらも、いつの間にか、お酒の席が賑やかにな
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-04-12
Chapter: 番外編②・第二話。(落ち着け……自分。相手は軽い男よ。彼の好きなタイプは亜季みたいな子だし) 自分を落ち着かせるために、心で言い聞かす。 八神の好きなタイプは亜季みたいな素直な子みたいだ。真面目で一途な。「もしかして、俺のこと……警戒しています?」「えっ!? そ、そんなことないけど……」 そうしたら八神は美奈子にそんなことを聞いてきた。心の声が聞こえてしまったのかと思って、美奈子は焦る。警戒しない方が無理もないが。すると八神はハハッと笑ってきた。「ハハッ……警戒しているのがバレバレですよ? でも、仕方がない。俺、亜季にしつこく迫っていたから」 どうやら自覚はあるらしい。 余計なことを言うから、亜季は気にして櫻井課長を別れを切り出してしまったのだ。 結局のところは、合コンで会った、青柳って人に助言をしてもらったお陰で、上手くいっただけで。その間は落ち込み過ぎて美奈子は相当心配していた。 だから八神のしたことは、余計なおせっかいだと思っている。「……そうですよ。しかも余計なことまで言うし。そのお陰で亜季は、凄く泣いて落ち込んでいたんですよ」 美奈子は、彼の発言に少しムッとする。簡単に言っているからだ。 八神は、美奈子の発言に苦笑いをしていた。「そうだね……ごめん。でも、俺も真剣だったんだよ。別に彼女を傷つけるつもりはんかった。でも、苦しんでいる彼女を見ていたら……言うしかなかった。落ち込ませるような奴より俺にしたらいいのにって」「それが、余計なおせっかいなんです!」 美奈子は、ドンッとカウンター席のテーブルを思いっきり叩いた。周りは驚いた顔をしていたが。 彼は何も分かっていない。亜季は本当はそんなことは望んでいなかった。亜季が言っていた青柳っていう人の方が理解をしている。 そうしたら八神は、とても悲しそうな表情をする。「……そうだね。俺は……彼女を傷つけた。確かに、おせっかいだったかもしれないね」 今にも泣きそうだ。「あ、あの……ごめんなさい。言い過ぎました」 思わず言い過ぎてしまった。彼だって本気だったかもしれないのに。 自分も人のことが言えないだろう。そうしたら八神は苦笑いする。「気にしないで。俺は……昔から誤解されやすいから。女遊びが激しいとか、性格がチャラいとかさ。ただ一途なだけなのにね」 美奈子は言葉を失う。 彼は、本当に亜季
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-04-11
Chapter: 番外編②・美奈子視点。 玉田美奈子(たまだ みなこ)は昼下がりに会社の窓から見える景色を見ながら、ため息を吐いていた。 真夏の日差しは眩しくて、とにかく暑い。(今頃、亜季は何をしているのかしら?) 同期で友人の松井亜季(まつい あき)が櫻井課長を追いかけて、海外に行ってから半年が経った。 色々あった二人だったが、結ばれて結婚した。今では彼女のお腹には子供が宿しているとか。 最初は心配していた美奈子だったが、上手くやっていると聞いてホッと胸を撫で下ろしていた。しかし同時に羨ましく思う自分も居た。 彼氏が欲しい。そう思っていても、なかなか気になる相手が現れなかった。 合コンに積極的に行ったり、友人に紹介してもらってこともあったが、どれもピンッとこない。結局、すぐに別れてしまう。 多分そこまで好きではなかったか、恋愛に向いていないのかもしれない。 明るいが気が強い。そして、はっきりとした性格。飛びぬけて美人でもない。 そのせいか、友人止まりになってしまうこともしばしば。 亜季みたいにちょっと危なっかしいが、大人しく。真面目な性格だったり、後輩の澤村梨香みたいな少しぶりっ子な可愛い女性だったら、また違ったのかもしれないが。(あ~どこかに居ないかしら? カッコ良くて、エリートの一途な男性は) 高望みだと分かっていても、フッとそんなことを考えてしまう。 美奈子も28歳になる。そろそろ結婚しろと両親がうるさい。しかし相手が居ないと始まらない。また合コンで行くしかないかと思った。 そう思いながら、パソコンのキーボードを打って仕事を再開させる。 (今日は一人で飲みに行こっと) 仕事を定時に終わらせて、最近見つけたバーに向かった。駅から少し歩いたところにある。 ビルの地下にあるバーなのだが薄暗い店内だが、ジャズの曲が流れていてお洒落だ。 物腰の柔らかい年配のバーテンダーがいろんなカクテルを作ってくれる。 美奈子は、カウンター席に座って、お任せでカクテルを頼む。少し、その年配のバーテンダーと話していると、カラッと音を立ててドアが開いた。 誰が来たのかと振り向くと、その人物に驚いた。入ってきたのは、八神冬哉(やがみ とうや)だったからだ。 彼は、我が社の海外営業部で働いているエリート社員。顔立ちもいいのでモテる。 しかし彼は、亜季の猛アプローチしていた過去を持つ。
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-04-11
Chapter: 番外編①・第八話。 どうやら彼女の両親は離婚していたようだ。 青柳のところは両親が忙しかったので、祖父母が代わりに面倒を見てくれることが多かった。そのせいか、考え方が少し年寄りみたいだと言われることはあったが。「俺は両親が共働きだったせいか、祖父母に育てられた。だから夫婦のことは分からない。だが……あの夫婦は、確かに暖かかった」 俺にはないものを持っている。そう青柳は感じていた。 もしかしたら、どこか羨ましかったのかもしれない。「私は、そういう夫婦になりたかったんです。だから、基紀……元カレに言われ時に、違うなと思ったのだと思います。別れが言えたのも……それが影響したのかも。自分に自信がないのもありますが」 モジモジしながらも話す彩美。それを聞いて青柳は彼女なりの信念があるのだろうと感じた。 どうしても譲れないもの。それは自分にもあるように。 店長がビールが入ったジョッキーを持ってきたので一口飲んだ。「いいのではないか? それが君の信念だ。譲りたくないものがあれが、譲らなくてもいい。俺は……いいと思うぞ」「あ。ありがとうございます」 彩美は頬を赤く染めながらもビールを飲んでいた。 そういうところが真っ直ぐなのかもしれない。青柳は彼女に好印象を持つ。 その後。食事を済ませて、お店を出る。お礼だからと、彩美が奢る形で。「ご馳走様。本当に良かったのか? 奢ってもらって」「はい、お礼のつもりで誘ったので、大丈夫です。あ、あの……それよりもメッセージアプリのⅠDを聞いてもいいですか?」「えっ?」 青柳は彩美の言葉に驚いてしまった。まさかメッセージアプリのⅠDを聞いてくるとは思わなかったからだ。「あ、あの……ダメでしょうか?」「あ、いや……別に、いいけど」「本当ですか!?」 嬉しそうな顔をする彩美。その表情を見た時、青柳は嫌な気持ちにはならなかった。 それよりもドクッと確かに心臓の鼓動が速くなったのを感じた。 その後。青柳と彩美の交流は続いていた。 もちろん教習所の生徒と教官の関係制としてもだが。それ以外でもメッセージを送り合ったり、会う回数が増えていく。「青柳さ~ん」「ああ、おはよう」 日曜日に彩美と会う約束をする。彼女が観たがっていた映画を観に行く予定だ。 隣で歩く彼女が当たり前になっていくのを感じる青柳。自然と手をつなぐことも慣れて
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-04-11
Chapter: 番外編①・第七話。「人の価値は相手に決めてもらうものではない。俺も無口で不愛想とか言われることもあるが、それが自分だから変える気はない。君も、そのくだらない相手の意見ばかり聞いて、どうする。教習所でミスをしても、めげずに通ってくる勇気と一生懸命な君のほうが、何よりも価値があると思うぞ」 青柳は自分は間違ったことは言っていないと思っている。言葉はキツいが、それが本心だった。 彩美は大人しい性格ではあるが、真面目で一生懸命だ。失敗しても、必ず予習をしてくるし、嫌なことは嫌だと言える勇気はある。 ちょっと危なっかしいところも、人の見方によっては守りたくなる分類だろう。 そう考えると、青柳は少しずつだが彼女の存在が大きくなっていくのが分かった。 それは……あの亜季に似ているからかもしれないが。 すると彩美は何か考え事をしていた。そして青柳を見るとモジモジとしている。「……私、変われるでしょうか? もっと価値のある人間に」「……さあな。それも俺が決めることではない。しかし、俺は……あんたみたいな性格の人間は嫌いじゃない」 これも本心だった。 彩美はそれを聞いて。モジモジとしながら、ほんのりと頬を赤く染めていた。その意味は分からなかったが。 コーヒーを飲んで、その帰り際。「それでは」と言って、帰ろうとする。すると彩美が声をかけてきた。「あ、あの……お礼をさせて下さい。い、一緒にご飯とかどうですか?」 途中で嚙んではいたが彼女の方から食事のお誘いがくる。まさか誘われるとは思わなかったので青柳は驚いてしまった。「あの……ダメですか?」「あ、いや。構わないけど……」 彼女とは教官と生徒としての関係だ。あまりプライベートでは会うべきではないのだが、どうしてか断わる理由が見つからなかった。 そうこうしているうちに一緒に食事をすることになってしまった。 向かった先は駅から少し離れた場所にある小料理屋。落ち着いた雰囲気のある、お店だ。ここに入るのは初めてだが。 中には入ると店長らしき人が出迎えてくれた。しかし青柳の顔を見ると驚いた顔をされる。どうしたのだろう? と思っていたら「あ、すまない。知り合いの顔に似ていたから」「えっ?」 知り合いの顔に似ていると聞かれたのは初めてではない。まさか?「その方って、櫻井さんですか?」「おや、知っているのかい?」 青柳が
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-04-10
Chapter: 番外編①・第六話。 青柳が亜季と合コンの後に再開した時に、何故か泣かしてしまった。 もちろん、そんなつもりはない。だから動揺してしまう。「す、すまない、泣かせるつもりはなかったのだが」「あ、いいえ。違うんです。安心したら涙が……すみません。すぐに涙を引っ込ませますので」「いや……別に、無理に引っ込めなくても」 青柳は慌ててカバンからハンカチを取り出して、差し出した。「これを」「あ、ありがとうございます」 彩美は申し訳なさそうにハンカチを受け取った。それでも、なかなか泣き止まないので、仕方がなく近くの喫茶店に入ることに。 ここも光景も同じ経験していた。 彼女はオレンジジュースを頼み、青柳はコーヒーを注文する。しばらくしたら彩美は落ち着いてきたようだった。「……落ち着いたか?」「はい。お見苦しいところをお見せして、すみませんでした」「……こういうところも似ているかもな」「えっ?」「いや……こちらの話だ。それよりも、あの男性は彼氏だったのか? 別れを切り出していたが」 青柳は亜季を重ねつつも、彩美にさっきのことを尋ねた。そうしたらビクッと肩を震わした。「……悪い。聞いたら、まずかったか?」「あ、いいえ。そんなことはありません。あの人は……元カレです。以前付き合っていたのですが……お恥ずかしながら浮気をされてしまって。別れても、しつこくやり直そうと言われています」 どうやら元カレで間違いなさそうだ。浮気をしておいて、関係を続けたいとは勝手な話だ。「なるほどな。で? 君は、あの男に本当に未練はないのか?」「えっ……?」 さっきの態度だと、別れたそうにしていたが。 しかし以前のことがある。ちゃんと割り切れるかが問題だろう。 そうしたら言葉に詰まらせる彩美。 青柳は店員が持ってきたコーヒーに口をつける。「実際に別れたと思っているなら、それでいい。だが、まだ未練があって、やり直したいと思っているなら話は別だ。相手に分かってほしいは、通用する相手はないと思うが?」 恋愛とはよく分からない青柳だったが、これだけは分かる。あの男は自分勝手だと。 人より観察眼はある方だ。だから余計に思ってしまう。 亜季と櫻井課長みたいに純粋に相手を想い合っているとは思えなかった。あえて聞いたのは、確かめたかった。 彩美はスカートの裾をギュッと握り締める。「…
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-04-10
Chapter: 番外編・第18話。「そうか……なら一つ聞いていいか? 本当の世界の私はどうなっているんだ? エルザは、その事を知っているのか?」「……いいや、誰にも話してはいない。元の世界でも父上は生き返っている。他の次元から来た、もう1人の貴様がな」「……そうか。エルザが悲しませなかったのなら、なんでもいいよ。私はこの世界で私として生きて行こう。もちろんエルザには内密するつもりだ」 エルザには心配や不安にさせたくない。結果として自分が生き返ったのなら、事実は墓まで持って行こう。彼女が笑っていられるように。 その言葉にクリスは静かに笑う。2人だけの秘密になった。 そしてレイヴァンは順調に回復して、エルザが目覚めるのを待つ。 目覚めてからもレイヴァンとクリスの即位式があったり、エルザとの結婚式があったりと大忙しだった。でも無事にエルザを妻として迎える事ができて良かったと思う。 この世界のエルザも美しく、聡明でレイヴァンが彼女に恋に落ちるのは一瞬だった。絶対に幸せにしようと心に誓う。 挙式も無事に終わり二ヶ月後。エルザのお腹も5ヶ月になった頃。 家族だけでサファード公爵家が所有する山でピクニックを出かける。まさか、そこでクリスティーナがマナを使い時間を早め、早産にさせるとは夢にも思わなかったが。 陣痛に苦しむエルザに、どうしたらいいか分からず戸惑うレイヴァンだった。メアリー夫人が助言をしてくれたお陰で、取り上げることに成功する。 初めての経験で狼狽えたりしたが、無事にレイヴァン自身で取り上げる事ができたのは一生の思い出になるだろう。 そして同じぐらい印象深かったのは、レイヴァン達の前世だろう。まさか、自分が先祖である皇帝の生まれ変わりだったとは。 クリスもエルザの先祖・メアリー夫人とその当時、憑依していたサファード公爵との間に産まれた公子だった。 エルザもメアリー夫人の魂を半分にした存在で、特別な女性だと後で知る。 つまりは、偶然ようで奇跡的に集まったメンバーだったのだ。 レイヴァンの先祖であるリアム前皇帝もメアリー夫人に片思いしており、生まれ変わりである自分がエルザに恋をするのは必然的だったのだろう。まさに運命。 他にも、もう1つ運命が。クリスは前世で妻で、女騎士であったリーゼロッテが、カルバーナ侯爵家の令嬢として生まれ変わったのだ。これもまた運命と言えよう。 た
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-06-22
Chapter: 番外編・第17話。 レイヴァンとエルザ。息子になったクリス。少しずつ家族としての時間を作り、本当の意味の決戦に備えた。息子とは喧嘩ばかりだが。 そして決戦は、クリスが一歳過ぎた頃。マナが溜まった事や彼女自身が決心が固くなったのがきっかけだった。場所は皇宮のお披露目パーティーで。 しかし、それは思ったよりも深刻の事態になった。レイナを断罪するまでは、予定通りだった。マナで大きくなったクリスがレイナがやった罪を一つずつ暴いていく。 新人侍女のハンナを使い、サファード公爵家の『虹色のダイヤ』のペンダント盗ませ、暗殺の罪を着せようとしたこと。レイヴァンを始め、多くの男性や周りを『魅了』で操り洗脳していたこと。そして聖皇庁と手を組んだこと。 全て暴露されてもレイナは謝罪どころか強気だった。『増幅』させる魔法石を持っていたからだ。だがクリスにはそれは効かなかった。 そして結局『時を操る』能力でレイナの本来過ぎてしまった年に戻し、元の居た世界に帰らせる事に成功する。最後は見るからにも形がないほど年寄りになっていたが。 あんなに美しいと言われていた彼女も元の世界で年寄りとして生きて行くのだろう。 容姿に絶対的な自信があったレイナには、この現実に耐えられないだろうか。それが神が下した罰。レイナ自身にはピッタリだったに違いない。 そして最後は聖皇だけとなった。元々の元凶だ。 しかし聖皇は『増幅』させる魔法石を手に取ると我々を攻撃しようとしてきた。正気の沙汰ではない。しかし運悪くクリスのマナが切れてしまう。 元の幼い赤ん坊に戻ってしまった息子を必死に庇おうとするエルザ。 「危ない!?」 そう思ったら自然と飛び出してエルザとクリスを守ろうとする。攻撃がレイヴァンの背中に当たる。激痛はするが、怖さとかは無かった。 むしろ、これで良かったのだと思った。自分は酷い罪を犯した。 大切な彼女を傷つけて婚約破棄を告げてしまった。それは、絶対に許される事ではない。いや……自分自身がどうしても許せなかった。 だから、罰を受けるならこれでいい。大切な彼女を本当の意味で守れたんだ。それだけでも自分自身が救われるだろう。倒れた後はエルザが泣いて叫んでいた。(泣かないで……私は君の笑顔が好きなのだから) 冷たくなっていく身体。意識も朦朧になっていく。これが死ぬってことらしい。(あぁ、結局夢で終
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-06-22
Chapter: 番外編・第16話。(どうしてなんだ?) と、思っていると、何処からかクスクスと笑い声が聞こえてくる。 そこに現れたのはエルザによく似た女性。年上で品のある綺麗な人だった。女性は驚いているレイヴァン達に近寄り、話しかけてきた。「フフッ……クリス様が父親が変わるかもしれないからと、クリスティーナ様に情報を教えなかったので父親として認識していないのでしょう。時期に認識すると思いますわ」(はっ? あいつは、自分の父親の事を教えてないだと!?)その言葉にショックを受けるレイヴァン。「親だと……認識させていない? あの野郎は」 ボソッと怒りを露わにしていると、女性はそれを見てクスクスとさらに笑っていた。「あの……あなた様は?」「あ、申し遅れました。私はメアリー・サファード公爵夫人でございます。メアリー夫人とお呼び下さい。未来の皇帝陛下と皇妃様にご挨拶を申し上げます」 ドレスの裾を上げて綺麗なお辞儀をしてくる。エルザに似ているせいかレイヴァンの心臓はドキドキと高鳴った。それに、不思議と懐かしく感じる。(しかしメアリー・サファード公爵夫人だと!? だとしたらエルザのご先祖で、初代の時の神からご加護を貰った人物ではないか) レイヴァンは驚いてしまう。エルザも。 するとクリスティーナは嬉しそうに「ばあば」と呼んでいた。メアリー夫人はニコッと微笑むとクリスティーナを抱き上げた。「急にお呼び出ししてごめんなさい。クリスティーナ様ったら、少し目を離した隙に居なくなってしまって。でも、お会い出来て嬉しかったですわ」「あの……メアリー夫人って、サファード一族の最初のご加護を受けた方ですよね? そして私のご先祖様」「えぇ……そうよ。私がクロノス様から神のご加護を頂いたの。『時を操る』能力を。そして代々その力が受け継がれてきたわ。でも、最初は男女関係なく、血を受け継がれていれば能力は誰でも扱えたのよ」 衝撃の事実を聞かされる。まさかサファード一族のご先祖で、時の神・クロノスのご加護を最初に受け継いだ夫人だったとは。「それは誠なのか?」「はい、誠でございます。現に私がサファード公爵夫人として嫁ぎ、息子と娘を産みましたが二人共もその能力を受け継ぎましたわ」 男性でも、その能力は受け継ぐとは知らなかった。しかし、よく考えたら息子のクリスも能力を受け継いでいる。息子は門番だから
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Chapter: 番外編・第15話。 こんな山奥の何もないところに送り込まれたんだ。婚約破棄の事もあるが、せめて彼女が喜びそうなモノを贈りたかった。大事な時期だし。 もちろん、それに関してはクリスに小言を言われる。まだ危険な状態の時に無暗に優しくするな。注文の際に気づかれたら、どうするのだと。 デザイナーに注文する際にはレイナにも別のデザインで、ドレスを作るように頼んである。これでカモフラージュはできるはずだ。「口止めをしておいたから大丈夫だ。それに今は妊娠で不安な時期なんだから、できるだけ気を遣ってあげないと。ストレスで流産したら、どうするんだ?」『私はそこまでやわではない』「いや、やわとかの問題じゃなくて……」 結局、何を言っても文句を言ってもくるので、無視して自分のできる範囲で気遣うことに。もちろんレイナ達に気づかれないように特に注意を払いながら。 そして7ヶ月頃が過ぎた頃。今日出産するとクリス本人から知らせがきた。 レイヴァンは、とにかく彼女が居る別邸に急いだ。やっとだ。やっと本当の事が打ち明けられる。今まで苦労して隠してきた事が実る。 彼女がそれに対して許してくれるか分からないが、それでも精一杯謝罪しよう。 なによりも、早く行って彼女のそばについていてあげたいとレイヴァンは思った。 魔法石を使い、邸宅に着くと急いで中に入って行く。そして、やっと声だけではなく、本体のクリスに会うことに。 本来なら待ち望んだ息子の誕生に喜ぶ事なのだが、何故だが見た瞬間は憎らしさが、先に出てしまった。だって、目が会った瞬間に鼻で笑われたからだ。「……やっと産まれたか。クリス。遅いぞ」 だから憎らしさを込めて思わず、そう言ってしまった。 その後はクリスの毒舌が出て喧嘩になりかけたが、エルザに事情を説明する。 エルザは戸惑っていたが理解力が速いのか、すぐに納得してくれた。そして、改めての謝罪はサファード公爵家の当主と夫人・エルザの両親が来た時にすることに。 理解をしてくれても、許してくれないと思っていた。悪夢のように嫌われても仕方がない。でもエルザは自分を許してくれた。 憎まれ口を叩く息子を注意し、ハッキリと「レイヴァン様。私はあなたを許します」と、言ってくれたのだ。 その瞬間、救われたと思った。やっと……あの長い苦しみから解放される。 そう思ったら自然と涙が溢れてきた。
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Chapter: 番外編・第14話。(痛い……でも心がもっと痛い) どうしようもなく、心が砕けそうで涙溢れて、呼吸するのもままならず蹲る。体はガタガタと震えあがっている。 ひゅーひゅーと呼吸が乱れていると、クリスの声が聞こえてきた。『馬鹿め。自分で知っておきながら、過呼吸になるとは。本当に死にたいのか?』 フッと呼吸が楽になる。どうやらクリスが治してくれたようだ。ゼーゼーと荒い呼吸を整えながらレイヴァンは声を必死に出す。「こ、これで……本当にいいんだな?」『あぁ、上等だ。これでとりあえず環境は整えられる。心配しなくても、私が無事に産まれれば上手くいく』 ニヤニヤと笑うように、そう言ってくるクリス。疑問を抱くも、少しずつ冷静になってくる。 そういえばエルザは無事に到着しただろうか? ライリーに別邸に連れて行くように頼んでおいたが。ショックのあまり、泣き崩れていないか心配になるレイヴァン。まだ大事な時期だ。『それよりも母上の心配をしたら、どうだ? さっき無事に別邸に着いたが、倒れてしまったぞ』「はっ? それを早く言え。こんな事をしている場合ではない。エルザのもとに急いで行かないと」 レイヴァンは慌てて立ち上がる。しかしクリスがそれを制止してきた。『馬鹿者。今、父上が言ったら怪しまれるだけだ。心配しなくても命に別条ない。ただクリスティーナの仕業だ』「えっ? クリスティーナが?」 クリスティーナは、クリスの妹で次期時の神の後継者。本来ならレイヴァンとエルザに産まれるはずの女の子の名だ。『まったく。仕方がないから連れ戻してくる。いいな? 行くなら3日後ぐらいにしろ。人の目があるからな』「えっ? ちょっと……待ってくれ」 クリスは言うだけ言ったら、そのまま行ってしまったのか声が聞こえなくなった。(スティーナが、どうしたと言うのだろうか? あ、いや、それよりもエルザが) レイヴァンは狼狽えていると、バタバタと誰かが入ってきた。「殿下。凄い音がしましたが、大丈夫ですか!?」入ってきたのはクレソンと他の騎士達数人だった。「あ、いや……何でもない」「殿下。怪我をしているではありませんか!? 早く医者を」「早く止血をしないと」 クレソンはハンカチを出すと、そばに近づき急いで止血を。他の騎士達には救急箱と医師を呼ぶように指示を出していた。これでエルザのところに行けなくなっ
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Chapter: 番外編・第13話。 それから2年が経つ。季節が何度か変わり、レイヴァンとエルザの関係は相変わらず。 しかし最大の問題である卒業シーズンになる。待っているのは婚約破棄だった。 レイヴァンは卒業パーティーでエルザに濡れ衣を着せて婚約破棄をし、彼女を追放しないといけない。まさに胃が痛むような思いだ。 そのせいで、1度目の胃潰瘍になってしまい、クリスに白い目で小言を言われてしまう羽目に。『貴様は死にたいのか?』と言われた時は、何も言い返せなかった。 レイヴァンは死にたいわけではない。でも、これで上手く行かず、エルザに嫌われた日にはストレスで本当に死ぬかもしれないと思った。 だから、何としてでも成功させないといけない。もちろん、そのために準備もしてきた。 幽閉と名目ではあるが、もともとあった森の奥にある邸宅を大改造させる。少しでも彼女の気が和らげるように皇妃邸である『ホワイトキャッスル』に似せて、インテリアも替えさせた。 護衛と侍女やメイドは信頼がおけて、レイナの手中に無い者を。その辺は、トムソンに任せてある。 しかし問題なのは最近新人で入ってきた侍女のハンナ。この女性は、レイナの信者だった。 情報を漏らす役割と暗殺者をエルザが送ったと濡れ衣を着せるためにサファード公爵家の所有するペンダントを盗む事と情報収集が目的だと、クリスに教えてもらった。 本来なら、すぐに重罪として捕まえて死刑したいところ。しかし、それだと濡れ衣を着せた際の承認が居ない。それだと困ると言われた。確かに……。 なので、とりあえず捕まえて、身を隠させる。そして罪を認めたら、離れて暮らす家族の元に返してやると条件を出した。 それにクリスが監視しているのだ、裏切れはすぐに分かる。クリスもハンナにかけられていた『魅了』を解いていた。 そして、もう一つの問題が。エルザはクリスをお腹の中に身ごもった。これに関しては、大変喜ばし事だ。 レイヴァンはクリスの指示に従い、パーティーのパートナーの相手をレイナにする。 本来はいけないことなのだが、婚約破棄にするきっかけにするために。 しかしレイナは、他のとりまきの令嬢を使い、その事を自慢げにエルザに教えてしまった。 そのショックで彼女が倒れてしまったと聞いた時は心臓が止まるかと思った。 本当は抱き締めたい気持ちを抑えて、冷たく突き放さないといけない。隠
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