孤児だった加賀野春美は、芸能プロダクションの社長・神崎涼介と婚約。 だが彼は初恋の人・星野美優が帰国した途端に婚約破棄する。 彼にとったら春美は代役に過ぎなかった。 しかし秘書として彼を支える春美。 それでも屈辱的な差、監禁、義父の死。 どれもが星野美優を守り、自分の性欲を吐き出すため道具。 しかも知ることに。星野美優を両親は、実は自分の両親だった!? 初恋だけではなく、令嬢として全て奪われた春美。 監禁されて病んでいく自分。義父の死に怒り星野美優を式場で殺害。 自分も刑務所で命を絶った。しかし過去に戻ったことで一変。 2人に復讐するためにライバル事務所社長・幸村の力を貸してもらい芸能界の道へ 後悔しても遅い。彼らを舞台から引きずり下ろすだけだ!
View More「星野美優・死ね~」
加賀野春美(かがの はるみ)は、そう言いながら結婚式を挙げてしている幸せそうな花嫁に向かって血塗られた包丁を振り下ろした。
「は、春美!? やめろ!」
そう言って、驚いている花婿は春美の元婚約者・神崎涼介(かんざき りょうすけ)。
彼は業界でも1、2を争う大手神崎芸能プロダクションの社長。
そしてめった刺しにされた花嫁は浮気相手であり、彼の初恋の人・星野美優(ほしの みゆう)。
春美は2人に裏切られ、花嫁の座まで奪われてしまった。そして監禁されて、義父をひき逃げで殺された。もう春美には何も残ってはいない。
なのに、彼は他の女性を妻にするために結婚式を挙げたのだ。それは許されるわけがない。式場は一瞬で血の海になった。
そもそもどうして、こうなってしまったのだろうか?
涼介の出会いはお見合いだった。
春美は赤ん坊の頃に施設の捨てられた孤児。幼い頃はそこも施設で育ってきた。しかし、子供がデキなかった加賀野の義両親に七歳の頃に引き取られた。義両親は、2人とも優しい人達で本当の娘のように可愛がってくれた。
そして春美が22歳の頃。義父・加賀野和彦(かがの かずひこ)が結婚相手の心配をして、友人である神崎家とのお見合いを計画した。
神崎家は昔、事務所の経営が上手く行っていない頃に、エリート銀行員で顔の広い義父(加賀野和彦)が資金の援助をかけ合ってくれたらしい。他にも才能ある俳優達を紹介。
そのお陰で経営は持ち越し、大きく成長した。いわば恩人だろう。
その縁もあって、1人息子の涼介との縁談が生まれたのだ。いい年になっても夢を追いかけてばかりいる息子を心配して計画したらしい。
最初の春美から見た涼介の印象は、とても素敵なイケメンな男性だった。
キリッとした二重に端正な顔立ちは『イケメン社長』として有名だった。
髪はダークブラウンで、背も180センチでグレーのスーツ姿もよく似合っている。春美は初めて見た時はドキッと心臓が高鳴るほどに。
しかし、春美は彼を何処かで見たことがあるような気がした。何処だったか覚えていないが。
しばらく両親との話をするが涼介は自信と向上心に溢れていて、たくましいと思った。春美は、そんな彼を支えたと思うように。
それが間違いだったのかもしれない。その後は、お互いに何回かデートする。無理やり婚約させられたのが嫌だったのか素っ気ない態度だった。
それでも親の面目のために高級ホテルのディナーやお洒落なバーとか連れて行ってくれた。
そんなある日・酔った彼はホテルのスイートルームに連れて行かれると、ベッドに押し倒してくる。強引に覆い被さると唇にキスをされる。彼なら抱かれてもいい。
そう思った春美は黙って大人しくしていると涼介は、あるモノが目に入る。春美の首筋に赤色の星の痣が。
「これは……!?」
「ど、、どうしたの?」
意味が分からない春美は聞くが、ハハッと可笑しそうに笑う涼介。春美は困惑するが、納得したのか涼介はニヤリと笑った。
「……なるほど。やって知ったか分からないが、よほど俺と結婚をしたいようだな」
「えっ? それは……どういう」
聞き返そうとするが、涼介は強引に唇を塞いだ。その後は、荒々しく春美を抱いた。
まるで憎しみと欲情をぶつけるかのように。
「や、やめて……私初めてなの」
「噓をつけ。今までこうやって男を欲情させてきたんだろう? 俺のために痣まで彫ったぐらいのしたたかさがあるんだ」
「えっ? ああっ……」
彼は、何をどう勘違いしたのだろうか?
それでも涼介は腰を容赦なく動かしてきた。春美の初めては神崎涼介によって奪われてしまった。
翌朝。目を覚ますと、ベッドの上で眠っていた。チラッと見るとシャワーを浴びた涼介はスーツに着替えていた。
起きたことに気づくとギロッと、春美を睨みつけてくる。
「起きたか?」
「あ、あの……おはようございます」
慌てて春美が挨拶をすると、涼介は春美の顎をクイッと上げる。
「よく聞け。お前の度胸に免じて許してやろう。身体の相性もいいようだしな。ウチの面目もあるし、婚約も続けてやる。だが、勘違いをするな。これはあくまでも政略結婚のための婚約。俺達の中に愛情はない」
そしてハッと春美は目を覚ました。気づいたら自分が住んでいたマンションのベッドの上で眠っていた。「えっ……? ここって、私の住んでいた部屋??」 どういうことだろうか? 刑務所に入れられて、星野美優の実母が訪れてきた。真実を聞かされたことで人生に絶望をして自ら命を絶ったのに。 慌ててスマホの日付を見てみると、どういうことだろうか? 過去に戻っていた。 2年前。まだ監禁されていない頃だった。「私……過去に戻ったきたっていうの!?」 春美は頭をかかえながら整理する。タイムループというのだろうか? 自分の恨みや絶望に反応して、こんな非現実的なことが起きてしまった。 そうしたらスマホが光り出した。見てみると星野美優からメッセージが届いていた。 春美の表情が一瞬強張るが、手に取って読んでみる。『愛しのダーリンがお泊まして看病してくれたの。朝なんてお粥を作って食べさせてくれたの。あなたは、こんなことをしてもらったことがある?』 まるで挑発的な文章だった。内容からして彼女が風邪をひいたと言って、涼介を呼び出した次の日のようだ。 涼介はずっと彼女の看病をしていた。自分が風邪をひいた時は移ったら困ると言って無視するくせに。 あの時は、事務所に出勤したら彼は春美に強引に迫ってきた。理由は星野美優が風邪で抱けなかったから。大切な彼女の代わりをさせられた。 社長室で強引に抱かれながら、一体どれだけ屈辱的な気持ちになったか分からない。(あの……性欲おばけが。許せない) 春美は過去に戻ったことを理解すると、どうしようもない怒りが湧き上がってきた。 一度目の人生で星野美優を殺すという復讐は果たした。だが、そのせいで刑務所に入れられてしまったが。 本当は殺してやりたい。今すぐにでも。 でも、下手にやったら義両親に迷惑をかけてしまう。自分を信じてくれた人達を悲しませたくない。それに義父を守らないといけない。 慎重にやらないと。逆上した涼介にひき逃げとして殺されてしまった義父。(ひき逃げ……? そういえば) 前世で、星野美優の実母・中森京香が言っていたこと。 星野美優が海外に留学したのは役者の修行のためではない。ひき逃げ事故を起こして、それに庇うために涼介が偽装したのだ。つまりは逃げるため。「離れ離れになったのは自分達が原因なのに、その代わりをやらせてい
透明のガラスに挟まれたしきりに、受話器で会話をする。『初めまして。私は中森京香(なかもり。きょうか)星野美優の実母よ』 中森京香の言葉に春美は衝撃を受ける。まさか彼女の実母が自分に会いに来るとは思わなかったからだ。 だが、確かに言われてみれば、星野美優の面影はあった。メイクのせいで分かりにくいが。「星野美優の実母って……本当なの!?」『ええ、本当よ。あんたのせいで計画が台無しにされたけど』「計画って、どういう意味!?」 そうしたら中森京香はフフッと笑った。『そのまんまよ。美優と私は計画を立てていたの。あの男……星野総一郎は、直前になって病んだ妻を選んで、私を捨てたのよ。美優まで産まれていたにも関わらず。財産は私達に譲るって言っていたのに……秘書の座までクビにされた。だから復讐を目論んだのよ。8歳になった美優に、星の痣を彫らせて、行方不明になった娘のふりをさせた。そして、あの子が全ての財産を奪うはずだったのよ!』 それは星野美優が春美に偽る計画だった。そうだと予想はしていたが、まさか真実を直接聞かされるとは。「やっぱり……本当だったのね!? 私が……星野グループの本当の娘なのは」 こんなところで分かるなんて。義母の言葉を思い出す。 だが中森京香はフンッと鼻で笑った。『……どうやらそうみたいね? 美優から聞いて知った時は、あの女にそっくりで驚いたわよ。まさか……こんなに近くに居たなんて』「ここまで来て、何がしたいのよ!? 罪悪感で私の罪を軽くしてくれる気になったの?」 ここまでやっておいて、真実を話してくれるとは思わないが。 それを聞いた中森京香の顔は険しくなる。目を吊り上げて怒鳴ってくる。『冗談じゃないわよ。あんたが美優を殺さなかったら、計画が全て上手く行っていたのよ。だから、最期にあんたに教えてあげようと思ってきたのよ』「……何を?」『実母・星野智美が精神的に病んで、あんたを捨てたのは私の計画を知ったからだと思うのよ。赤ん坊のあんたを人身売買しようと、連れ出す計画を立てていたから』「……えっ?」『……でも直前で失敗。あんたがさえ居なくなれば、離婚を踏み切ってくれると思ったのに。まあ私は捨てられたけど、あの女がおかしくなったことで別に計画が生まれた。全て奪うつもりで……美優も勘づいていたはずよ。あんたが本物の令嬢だって』
春美はその日、寝ている間に県外にある神崎家の別荘に連れて来られた。 それから数日後。新しく雇われたお手洗いさんは森と違い、不愛想で決められた仕事しかやらなかった。 買い物とかは頼めばやってうれるが、それ以外はきつく言われているのか断わられる。そのため避妊薬は服用することは出来なくなってしまった。 そして恐れしい事件が起きた。 朝になり、出された朝食を食べているとテレビのニュースが流れてくる。『昨日の夜、東京都○○区で五十代の男性がひき逃げに遭い、死亡しました。死亡した男性の名は、加賀野和彦さんです』 ガタッと持っていたティーカップを落とした。 ひき逃げで亡くなったのが義父だったからだ。慌ててテレビに釘付けになる。間違いなく報道された男性の名前は義父・加賀野和彦だった。犯人は、まだ見つかっていない。 場所は勤めている銀行の近く。付近の駐車場に停めていた車を取りに行く途中で巻き込まれたらしい。そのため事件性の疑いで調査中。 その後に芸能ニュースが流れてきた。『人気女優・星野美優。熱愛が噂されていた芸能プロダクションのイケメン社長・神崎涼介と結婚。今日○○プリンスホテルで結婚式を盛大に行わる』と大きく報道された。 よりにもよって義父が亡くなった翌日に結婚を発表して式を上げるとは。 しかし春美はハッとする。たまたま重なったのではなく、ワザと合わせのだと気づいた。 義父を殺したのは、この2人だと確信する春美。 義両親に必ず責任を取らすと言っていたのは涼介だ。義両親に下手に動かれたのは困るのは彼だ。だから邪魔になって殺したに違いない。事故と偽るつもりで。 春美は怒りでバンッとダイニングテーブルを叩く。(絶対に許さない。アイツを殺してやる) 自分をこんな目に遭わせておいて義父を殺し、そのすぐ後に幸せな結婚式を見せつけるなんて……人間のすることではない。 それは春美だけではなく、義両親までバカにされたのと同じ。春美の精神は既に正常ではなかった。2年以上もマンションに閉じ込められて、全ての生活を制御されてきたのだから無理はないだろう。 その後は、どうやって外に出たか春美は全く覚えていない。ただ血塗られた包丁を握っていた。 その後は車を運転して、涼介と星野美優が式場を挙げる予定の○○プリンスホテルに向かった。 そして包丁を隠すように式場に入
その時だった。ドンドンと森がドアを叩いて声をかけてきた。「春美様。大丈夫ですか? 長いようですが?」「だ、大丈夫」 そう言いながらも我慢が出来ず、ドアを開けると森の胸元に飛び込んで、うわ^んと泣いてしまった。 何かを感じたのか森は、よしよしと背中を優しく叩いてくれた。 しかし事態が急変する。それを知った義父が涼介を呼びつけて、詰め寄ったのだ。彼は「実は蒸発して行方不明になったんだ」と言って、それを否定する。蒸発で通そうとしてきた。 矛盾ばかり言ってくる彼に、義父は怒りを静めるのに必死だった。落ち着くために息を吐くと冷静に抗議した。「これ以上、娘を隠し通す気なら、こちらも考えがある。君の両親と警察に話して、君の住んでいるマンションを徹底的に調べてもらう」 それに焦りを感じた涼介。もし両親に聞かれたら、春美を隠し通せなくなる。夜、春美の住んでいる部屋に来るなり、彼女の頬を思いっきり叩いた。「お前は、なんてことを言ってくれたんだ!? そのせいで一緒に居られなくなってもいいのか!?」「一緒もなにも……私達は、もう別れているわ」「例え別れていても、お前は俺のものだ。離れるなんて絶対に許さない。ああ~もういい。今回の件は、森に責任がある。お前にスマホを渡したのだから。今日限りでクビにする」「そ、そんな……彼女は何も悪くないのに」「春美に余計なものを渡した時点で重い罪だ。クビだ! 二度と春美の前に現れるな」 涼介は、怒りで森にクビを言い渡してくる。「願いです。旦那様……クビだけは」「そんな……これは私のせいよ。お願いだから、クビにしないで」 春美と森は一生懸命に取り消してくれと頼んだ。しかし涼介の怒りは収まらなかった。「クビと言ったらクビだ。お前の義両親には必ず責任を取ってもらう」「……えっ? 何をする気よ!?」「それだけではない。しばらくのお前は別のところに住んでもらう。落ち着いたら、百戸してやるから、しばらくそこで大人しくしていろ」「ちょっと、ちゃんと答えてよ!? 義両親に何をする気よ? そんなに気に入らないなら、私を捨てたらいいいじゃない。何で、そこまでするの!?」 春美は必死になって涼介に食ってかかった。そこまでする必要性があるのだろうか? 神崎涼介が溺愛しているのは星野美優なのに。大切にしているのなら彼女だけを愛した
迷惑をかけると分かっていたが、どうしても限界だった。 事情を詳しく話すと、義母は泣いていた。「お義母さん。泣かないで」『だって……こんな事になるとは思わなかったの。春美……ごめんなさい。あなたに隠していたことがあるの』「……えっ?」 そうしたら義母は重い口を開いた。……あなたは、施設で捨てられたと言っていたわよね? 幼いあなたを私達が引き取った時に園長先生から、あるモノも一緒に頂いたの」』「あるモノ?」『それはロケットペンダントよ。拾った時に籠と一緒に入っていたらしいわ。あなたが、大きくなって母親のことを聞いてきた時に、渡してほしいと言われたの。その中には、あなたにそっくりな若い女性が赤ちゃんを抱いている写真が貼ってあったわ。母親の写真だと思う』「えっ!? それは本当?」 知らなかった。自分の出生の手掛かりは、赤色の星の痕だけかと思っていたからだ。 まさかロケットペンダントがあったなんて。しかも赤ちゃんの頃の自分を抱いた母親の写真。『なかなか渡せなかったの。あなたが私達に笑顔を向けられるたびに。本当の娘として育ってきたから、それを見せたら実の母親を恋しくなるのではないかと思って。奪われる気がして……勝手な嫉妬で隠してしまったわ』「……お義母さん」『……でも、それが間違いだったのかもしれない。星野グループが載っている雑誌を読んだ時に、気づいたの。若い頃の写真だったけど、社長夫人の顔があまりにも、あなたに似ていたのよ』「……えっ?」 それって、どういうことだろうか? 星野グループって、星野美優の実家だ。 だが、すぐに嫌な予感がした。確か、涼介が言っていた。 星野美優も赤ん坊の頃に、施設の前に捨てられた過去があった。そして彼女と春美はお互いに同じ年で首筋に星の跡がある。『……雑誌には、事情により赤ちゃんと離れ離れになってしまったと書いてあったわ。必死に探していて、やっと見つけた子が女優の星野美優。ねぇ……もしかして、本当の娘さんって、あなたのことじゃない?』 春美は衝撃を受ける。もしかしてと思ったことが、義母の言葉から聞かされてしまった。 もし、そうだとしたら……? 事実としたら、星野美優と加賀野春美は入れ替わったことになる。本当だったら、春美が星野グループの社長令嬢だということだ。(そんな……だったら、彼女は今まで噓をつ
『神崎社長とは、どれぐらいのお付き合いなんですか?』『婚約のことですが。プロポーズは、どのような言葉で?』 星野美優は恥ずかしそうに少し下を向くが、すぐに前を見直した。『涼介さん……あっ、神崎社長との真剣なお付き合いは2年前に。私が留学から戻ってきた後に、ずっと好きだったと言われて。私が女優だから諦めていたと。でも離れて、その気持ちを再確認して、後悔したくないと言われました』『まぁ、素敵ですね。では、それで交際を始めたと?』『はい。その言葉に心を打たれて。こんなに愛してくれる人が居て、私は本当に幸せ者です』 そう言いながら目尻に涙を浮かべて微笑んでいた。 春美は、それを聞いた瞬間「どこが?」と思った。いや……ある意味、正解ではあるが。 きっと、ネットでは2人のことは大絶賛だろう。理想のカップルとか、プロポーズまで素敵だとか言われているのだろう。 ハハッと笑ってしまう。言っていることは噓ばかり。 何が付き合ったのは2年前だ。ずっと前に繋がっていたくせに。海外に行っても連絡を取り続けていた。(自分だけ愛していると言っているけど、涼介は私とも関係を続けているじゃない。しかも子供だって作ろうとしているのよ) 激しく抱いては、子種を散々まき散らして行くぐらいなのに。 本当に子供を作ってしまおうか? そうしたら彼の心が少しは自分に向くだろうか? 彼は確かに星野美優を愛している。大切に扱ってはいるし、誰よりも気にかけている。 だが、満足はしていない。 事実、涼介は抱いている時は、春美を強く求めてくる。何度もキスをしてくるし、自分の名前を呼び続ける。今朝だって、そうだった。春美は、グッとスプーンを強く握る。(彼女が居なくなれば……彼は私のこと愛してくれるのに) だが、ハッとすぐに我に返る。(いけないわ。意識をちゃんと持たないと) ここ最近になって2人のことを考えると、よくない思考ばかり考えてしまう。 精神的に参ってしまっている。 2年も閉じ込められているのだ。少しずつだが春美の心を蝕んでいく。 春美は、これままでは良くないと思い、立ち上がる。だがフラッと身体がふらついてしまう。咄嗟にテーブルに、もたれたから倒れずに済んだが。「春美様。大丈夫ですか!?」「ええ、ちょっと目眩がして。お手洗いに行きたくなったから。森さん、手伝ってくれる
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