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一一
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Novels by 一一

バケモノが愛したこの世界

バケモノが愛したこの世界

幼い頃、世界から敵と認定され祖国を滅ぼされた元王女のレイミス・エレナート。 全てを奪われながらも仇を討つ事を糧に生きてきた彼女はある日、自らをバケモノと名乗る青年ニイルと出逢う。 復讐を成す力を得る為、彼女はそのバケモノの手を取る事を決意する。 これはヒトとバケモノのモノガタリ
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Chapter: 決闘
 |森人族《エルフ》達に案内されるまま森を進む一行。 少し歩いた後辿り着いたのは、木々が無い開けた場所だった。「ここは俺達が訓練で使う場所だ。ここなら多少派手に暴れても問題無い」 案内役の|森人族《エルフ》が言う。 確かに周囲を見回してみると、不自然に地面がえぐれていたりと、荒れた箇所が見受けられた。 だが、|訓《・》|練《・》を行う程度なら大丈夫でも、これから行うのは|決《・》|闘《・》だ。 更に言えばバケモノ同士の、である。 それに不安を感じていたレイだったが、察したのであろうニイルが先んじて口を開いた。「私が結界を張るので、2人とも心置き無く暴れなさい」 ニイルがそう言って魔法を展開する。 一瞬にして広場を覆う程の結界が生まれるが、それにディードが苦言を呈した。「あ?小さすぎやしないか?こんなんじゃ窮屈でしょうがねぇだろ」「貴方達2人共、近接戦闘タイプでしょうが。ならそんなに距離は要らないでしょう?そもそも観客が居るんですから、走り回られたら観戦出来ません。それと……」 ディードの文句を受け流しつつ、半眼で睨み返すニイル。「分かっていると思いますがディード。貴方はくれぐれもこの結界に近付かない様に。故意に近付いた場合は失格と見なしますからね」「チッ!わぁってるようるせぇな」 ニイルの小言が続きそうだと思ったのだろう。 舌打ちしつつ素直に言う事を聞き、結界内に入っていくディード。「全く……あぁ、それとレイ」 それを見送った後、レイも入ろうとしたのだがニイルに呼び止められる。「色々言いたい事は有りますが、お説教は後にしましょう。今は手短にアドバイスだけ。良いですか?最初から全力の、短期決戦で行きなさい。でなければ敗北は必至ですよ」「そんな事分かって……はい」「よろしい。では頑張りなさい」 レイもディードの能力を目の当たりにしているので、対策は当然考えていた。 それ故にニ
Last Updated: 2026-01-30
Chapter: 平行線
「ここに|居《・》|る《・》んだろう?『幻想神種』が」 そのニイルの言葉に、思わず辺りを見回すレイ。 しかし特に変化は感じられず、そもそも今の『|神威賦与《ギフト》』では『幻想神種』は視えない事を思い出し、唇を噛む。 そんなレイ見て、苦笑を浮かべながらニイルは続ける。「それならば全ての辻褄が合う。何故ここだけ特別な扱いを受けているのか。そもそもここ数百年で、何故この国がこれだけ栄える事が出来たのか。もちろん、ディードの手腕もあるのでしょうが、『幻想神種』の後ろ盾があればそれも容易……」「黙って聞いていれば!」 それに突然長老が叫び、ニイルの言葉を遮る。 驚くレイを他所に、長老は続けた。「先程から我が神聖な御方を『幻想神種』などと、貴様らの分類に括るでない!あの御方が居たからこそ、我らが、いや!この国がここまで大きくなる事が出来たのだ!それを貴様の様な下賎な者が語るでない!」 興奮冷めやらぬ様子でそう語る長老。 しかしそれを見ても、ニイルは一笑に付すのみだった。「やはり居るじゃないか。お前達がどう思ってようがこちらには関係無い。ただでさえ『幻想神種』とは|ほ《・》|ぼ《・》|全《・》|員《・》、|多《・》|か《・》|れ《・》|少《・》|な《・》|か《・》|れ《・》|因《・》|縁《・》|が《・》|有《・》|る《・》んだ。そんな奴らが居る場所に、わざわざ長居する理由が無い。用が無いなら帰らせてもらうぞ」 そう言って踵を返すニイルの前に、道案内をした|森人族《エルフ》が立ち塞がる。 それにニイルの視線が鋭くなり、口を開こうとしたその時、先んじて長老が話し始めた。「貴様の様なバケモノやそこの下賎の子など、こちらから願い下げじゃ。どこえなりとも失せるが良い。ワシらの用はただ1つ。そこな娘よ」「え?」「何?」 そう言い指を指す長老。 レイとニイルが驚きのあまり声を上げ、その視線の先を見る。 その視線の先には……「……?」
Last Updated: 2026-01-23
Chapter: 長老
(生活水準は私達と同じ位かしら。こんな森の中に有るという事を考えれば、十分凄い事なのだけれど……) 初めて踏み入れた『森』。 警戒されない程度に観察した結果、レイが抱いた感想はそれだった。 想像では樹海の奥深くにある事から、もっと原始的な生活を送っているか、高い魔法力を活かした高度な生活を送っているものと考えていた。 しかし実際に見てみると、自分達と大して変わらない生活様式だった事に驚く。 だが、それよりも気に掛かる事が有った。(生活している痕跡が有るのに、人の気配が全く無い?いえ、これは……) そう、直前まで人が居たであろう痕跡は残っているのに、今レイ達の前には誰1人居ないのだ。 まるで突然村人全員が神隠しにあった様な、異様な雰囲気が村を覆っている。 しかし気配をよく探ってみれば、その違和感の正体に気付く。(徹底して気配を殺しているって訳ね。いえ、殺しているというより|周《・》|り《・》|と《・》|同《・》|化《・》|さ《・》|せ《・》|て《・》|い《・》|る《・》感じかしら?ここの住民全てがそれを自然とこなしている。凄いわね) 下手に気配を無くすより、周りと一体化させる方が相手の意表を突きやすい。 思い返せば先程の偵察隊も、気付くのが遅れる程の気配操作をしていた。 恐らく訓練などでは無く、生活の中で自然と身についた技術なのだろう。(ランシュやフィオが偵察任務に適している理由が、分かった気がするわね) そう考えていた時、先導する|森人族《エルフ》の男がレイを睨んでいる事に気付く。 レイがその視線に気付くと、何事も無かったかの様に視線を前に戻した。(気配を同化し、相手の意識を逸らすことが出来るのならば、|相《・》|手《・》|が《・》|ど《・》|こ《・》|に《・》|意《・》|識《・》|を《・》|向《・》|け《・》|て《・》|い《・》|る《・》|か《・》|も《・》|分《・》|か《・》|る《・》……と。ここの手練は厄介極まりないわね) 下手な事は考
Last Updated: 2026-01-16
Chapter: 『森』の森人族
『森』。 以前説明した通りオスウェルド大陸は自然が溢れており、森に該当する場所もいくつか存在する。 しかしデミーラ共和国に住む亜人達が言う『森』とは、とある場所だけを示す言葉であった。 それが大陸の端。 一際深い樹海であり、『|森人族《エルフ》』が住む場所である。 もちろん、その場所以外でも|森人族《エルフ》は生活しており、更に言うならデミーラ共和国以外の国でも、極少数ではあるが生活している。 では何故その場所だけが特別なのか。 それは、そこに住む|森人族《エルフ》が、自分達以外の全てと相容れない、というのが最大の理由であろう。 亜人種は基本的に、個体差はあれど人間より長命である。 その分繁殖力は人間に劣り、必然的に同族同士の繋がりが濃くなっていく。 長命種であればある程その傾向は顕著であり、特に|森人族《エルフ》がその際たる象徴とも言える存在だった。 生まれながらに優れた魔法の才を持ち、全員が容姿端麗な種族。 それ故に人間どころか他の亜人種すら見下す彼らは、当然同族との小さなコミュニティにしか属さない。 稀に存在する、異種族を受け入れる者達は『森』を出て国内外で生活をする様になり。 そういった思想の者達すら排除して、今尚存在しているのがこの『森』と呼ばれる場所であった。 当たり前ではあるが、亜人種統一の際にディードは彼らとも友好を築こうと努力した。 しかしその全ては徒労に終わり、今では『森』に住んでいる者達とそれ以外の亜人種とで、相互不干渉の状態で落ち着いている。 自分達以外を全て見下し、悪く言えば大昔からの因習を変える事が出来ない。 そんな者達の集まる場所、そして|森《・》|人《・》|族《・》|発《・》|祥《・》|の《・》|土《・》|地《・》。 それが『森』であった。「だからこそ、そんなヤツらが俺を呼び出す事なんざ滅多に無ぇし、ましてや人間を呼ぶ事なんざ、この国が出来てから一度も無ぇ」 そう歩きながら語ったディード。 今現在レイ達は、ランシュとフィオの2人と合流した
Last Updated: 2026-01-09
Chapter: 使者
 段々と近付いてくる港の景色に、思わずため息を吐くレイ。 頭では理解していても、やはり無事に辿り着くまでは無意識に緊張していたのだろう。 心身共に、力が抜けていくのを感じるのだった。「あん?なんか騒がしくねぇか?」 しかし見慣れた風景だからこそ、ディードが1番に気付く。 港に居る人数と停泊してある船の数が普段より多く、そして慌ただしい。 急いでどこかに出立しようとしている、そんな雰囲気を感じられた。 何か問題が発生したのだろうか。 気が逸りそうになるレイだったが、呆れを滲ませたニイルの声が届く。「当然でしょう?国の首領が乗った船が沈み、その本人がバケモノと戦ってるなんて状況……国としては一刻も早く助けに行こうとするのが道理でしょうが」「「あ……」」 それに間抜けな声を漏らす2人。 今までの戦闘で、他の乗組員を逃がした事をすっかり失念していた。 余りの失態にレイの顔が真っ赤に染まる。「そもそも貴方の部下でしょうが。彼らを助ける為に残ったのだと思ってましたが、本当に『|幻想神種《ケートス》』と戦いたかっただけなんですか?」「さ、さ〜て!逃がしたアイツらは無事か〜!?」 半眼で睨むニイルに、露骨に話題を変えようとするディード。 まさか本当に、自身が楽しみたいが為に他の亜人達を逃がしたのかと、流石のニイルも呆れ果てる。 レイもそれには呆れそうになるが、しかし自身も忘れていた事から何も言えず俯くのみ。「ん?おいアレ見ろ!」「アレ?」「アレってなん……まさか!」 そんな気まずい雰囲気を断ち切ったのは、港から聞こえてくる喧騒だった。 3人が近付くにつれ、騒ぎがどんどん大きくなってくる。「おい!誰かベスタ様呼んでこい!」「良かった……無事で……!」「ったりめぇだ!ウチらのボスだぞ!?バケモノなんかにやられるかって
Last Updated: 2026-01-02
Chapter: 帰路
「ハア……ハア……あっ……」 ケートスが完全に消滅したのを認識した瞬間、レイの意識は闇へと引きずり込まれた。 当然だろう。 ケートスからの攻撃に晒され続け、更に『|神威賦与《ギフト》』、『雷装』、『|電磁加速魔弾《レールガン》』、そしてその改良までも同時に行ったのだ。 いくらゾーン状態だったとはいえ、脳の処理限界はとっくに超えている。 当然ながら魔力も枯渇寸前で、体の内外全てで悲鳴を上げていた。 そんな状態で意識が有ったのは、ひとえに戦闘中故の興奮状態だったからに他ならない。 それ|故《ゆえ》戦闘が終了したと同時にレイが意識を失ったのは、当然の事と言える。 海へと向かって自由落下していくレイだったが、|既《すんで》のところで誰かに抱き抱えられ、海への落下は防がれた。 その衝撃でレイは意識を取り戻す。「うっ……ニイル……?」「残念だったな。俺だ」 目を開けて最初に視界に入ったのは薄金色の輝き。 それとその人物の声でようやく、相手がディードだと理解する。「ごめんなさいね。まさか貴方に助けられるとは思っていなかったから」「あぁん?今まで散々助けられてきたんだ。借りを返さねぇのは俺の流儀に反するんでな?それに……」 そして視線を目の前の海に移すディード。 釣られてレイもそちらを向くが、目の前には綺麗に晴れた大海原が広がっていた。「こうして共に死線をくぐり抜けたんだ。俺はテメェらを信用するぜ?」 と、いつもよりほんの少し柔らかい笑顔でそう言うディード。 それにレイも笑いながら。「えぇ、私もだわ」 そう答えるのだった。「さて、当初の予定から大分変わっちまったが……これで問題は解決したって事で良いんだよな?」 戦闘の影響か完全に霧も晴れ、澄み渡る水平線を眺めながら
Last Updated: 2025-12-26
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