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一一
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Novels by 一一

バケモノが愛したこの世界

バケモノが愛したこの世界

幼い頃、世界から敵と認定され祖国を滅ぼされた元王女のレイミス・エレナート。 全てを奪われながらも仇を討つ事を糧に生きてきた彼女はある日、自らをバケモノと名乗る青年ニイルと出逢う。 復讐を成す力を得る為、彼女はそのバケモノの手を取る事を決意する。 これはヒトとバケモノのモノガタリ
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Chapter: 『神性』とは
「『柒翼』?仇?一体どういう意味……?」話に付いていけていないルヴィに、しかし誰も答えられない。特にレイには、そんな余裕が皆無であった。「そんな……だって……人違いという可能性も……」震える声でそう問うレイに、ニイルがかぶりを振る。「ディードが、北に居るのは『嫉妬』と言っていたでしょう?なら、この人物こそが『嫉妬』で間違いありません」「それは……他の『柒翼』じゃない『|神性保持者《ファルサ》』かも……」自分でも苦しいと分かりつつ、否定してみるレイだったが、更に決定的な言葉がニイルから告げられる。「『|神性保持者《ファルサ》』はこの世に|7《・》|人《・》|し《・》|か《・》|存《・》|在《・》|出《・》|来《・》|ま《・》|せ《・》|ん《・》。それ以下はあっても、それ以上は有り得ないのです。これは、説明してこなかった私にも落ち度が有りますが……」そうして、ニイルは『|神性《アルカヌム》』について語り出した。「『|神性《アルカヌム》』とは、とある『神』の力を7つに分割したモノです。故に『|神性保持者《ファルサ》』の人数は、それ以上になる事は無い」「か、神……?」レイとルヴィが驚愕を露わにするが、それを無視してニイルは続ける。「『|神性《アルカヌム》』は適性のある者から無作為に発症する、病魔の様なモノ。適性が無ければ生まれる事は無く、仮にあったとしても、『力』に耐えられず自壊する可能性すら存在する。まぁ、その方が幸運なのかもしれませんが……」『神の力』は人の身に余る力だ。それを、ニイルは痛い程知っている。だからこそ自嘲気味に笑う。「そしてその『力』の強大さ故に、その『力』から逃れる事も出来ない。人から人への譲渡は出来ず、『力』が移るのは『保持者』が死んだ時……|数《・》|少《・
Last Updated: 2026-10-30
Chapter: 真相
「貴方が……いや、お前が手こずるなんてよっぽどと思ったが。なるほど、彼女達なら納得だ。随分速い到着ですね」 そうして時は現在に戻り。 広場に入ってきたニイルが語る。 後半はレイ達へ向けて放った言葉だが、前半は明らかに違う。 いつもの敬語では無く、一瞬誰に対して言ったか分からなかったレイだったが。【ふぅ……もう良いか?流石の吾輩も疲れた……】「あぁ、悪いな。協力してくれて助かったぜ」 そんなやり取りをする2人に謎が解ける。 代わりに、別の謎が浮上した訳なのだが。「ちょっ!ちょっと待って!?どうして2人がそんなに仲良さそうにしているのよ!?貴方達、敵同士なんじゃないの!?」 代表して、レイがその謎を投げ掛ける。 しかし、当のニイルは疑問符を浮かべていた。「それか、ニイル!貴方騙されているんじゃない!?ソイツ、明らかに貴方に対して敵意を持っているわよ!?」 レイの脳裏に、これまでのやり取りが蘇る。 今までスルトはニイルに対し悪意しか見せず、ともすれば仇の様にすら語っていたのだ。 そんな本性を垣間見た後では、スルトを信じる事など到底出来ない。「ぷっ……ふふ……お前、一体どんな風に言ってたんだ?」 だが、それを聞いてもニイルは疑いもせず、寧ろレイの言葉に笑うのみ。 その態度に段々と怒りが込み上げて来たレイに、いよいよ不味いと気付いたのか、咳払いをしてニイルが言う。「いえ、申し訳ありません。全て私が頼んだ事なのです。貴女達に修行を付けてやってほしいと」「修行?」 一瞬呆けたレイに、今度はスルトが続ける。【いや、悪いのは吾輩の方だ。あそこまで悪し様に言われては、誰しも怒りに震えよう。吾輩が同じ立場なら、決して許さんであろうな】 そう語る間に、周囲の状況も落ち着いていく。 壁や天井の棘は消え、床から生えていた巨大な手も、ただ
Last Updated: 2026-10-23
Chapter: バケモノと巨神
 時間は少し巻き戻り、今から4日前。 レイ達と別れ、1人空を飛んで海を渡ったニイル。 1人での飛行という事もあり、速度を気にしなかったお陰で、日付が変わる前にセプテリオ大陸へと辿り着く事が出来た。 そこから更に飛び続ける事1日。 本来なら、もう少し早く到着出来ていたであろう距離。 しかしこの荒れた天気と、ニイルにしては珍しく|緊《・》|張《・》|し《・》|た《・》気分を落ち着かせる為、直前の王都にて休息を取り、早朝。 レイ達が辿り着く2日前に、ニイルはニウス山脈へと到着したのだった。「なんだ?この異様な空気……認識阻害?いや、それだけじゃねぇな」 しかし、そのただならぬ雰囲気に眉根を寄せるニイル。 |視《・》ると山脈全体に、様々な魔法や『神性』すら使った結界じみたモノが敷かれていた。(|遥《・》|か《・》|以《・》|前《・》|に《・》|来《・》|た《・》時より警戒が厳重になってやがる。|ア《・》|イ《・》|ツ《・》はそこまで人間嫌いじゃ無かった筈だが、何かあったのか?) ニイルと出会ってからは特に、人間に対する悪感情が無くなっていた様に思う。 そんな人物がこれ程人間に対し、接近を拒絶する様にしている事に、違和感を覚えた。(まぁ、あれから長い年月が過ぎたんだ……変わっていくのも当然だよな) |そ《・》|の《・》|一《・》|因《・》|は《・》|自《・》|分《・》|に《・》|も《・》|有《・》|る《・》|だ《・》|ろ《・》|う《・》。 今まで以上の|罪《・》|悪《・》|感《・》を抱きながら、慎重に山脈へ足を踏み入れる。 天気は少し悪いが、ニイルには支障が無い。 それよりも、相手が張った『神性』の方が厄介だった。『眼』と記憶を頼りに、目的の場所を探し続ける。 暫く歩き続けると、一段と|視《・》|え《・》|難《・》|い《・》場所を発見した。 魔法と『神性』によって隠されたその洞窟は、かつて目的の人物が住んでいた場所へ通じる入口だった筈。 懐かし
Last Updated: 2026-10-16
Chapter: 抗いの果てに
 広い空間が静寂に包まれる中、しかし誰も動く事が出来ない。 皆、限界を迎えているのも有るが、何よりスルトが復活する恐れが有る為だ。 先程レイ達が見た通り、何事も無く新たな|土人形《からだ》を作り出し、復活されたならば。 最早全員に、戦う余力は残されていなかった。 しかしいくら警戒すれども、一向にスルトは姿を現さない。 暫く警戒心を最大にし、意識を周囲に張り巡らせていたが……「ハッ……ハッ……ハッ……!」 とうとう限界を迎え、レイが地面に倒れ込んだ。「レイ!うっ……」 その光景に、ルヴィも気が緩んでしまったのだろう。 剣を取り落とし、その場に座り込む。 ランシュだけはふらつきながらも歩き始め、フィオの元に辿り着くと、同じ様に座り込んでしまった。 全員が立ち上がる事すら出来ない、満身創痍状態。 しかしそれでも尚、スルトは姿を現さなくて。 つまりそれは、1つの結果を示していた。「終わった……のよね?」 息も絶え絶えに、苦しげな表情で言うルヴィ。 独り言の様なか細い声だったが、それにレイは答える。「ハァ……ハァ……ハァー……でも一応、何があるか分からないわ。急いで回復薬を使いましょう」 出発前に分配した、ニイルの回復薬を飲み始めるレイ。 身体を動かすのも辛い状態だったのだが、瞬く間に傷は癒えていき、魔力も回復していくのを感じる。 そんなレイを見て、同様にルヴィも回復薬を口にする。 見ればランシュも、倒れているフィオに回復薬を与えていた。 ランシュが冷静に回復薬を使用している事から、どうやらただ単純に気を失っているだけだろうと、レイは推察する。 とりあえず全員、無事生還出来た事に安堵し、ため息を吐
Last Updated: 2026-10-09
Chapter: 巨神討伐
 いくら傷は癒えたといっても、完治には程遠く。 そして治癒魔法では魔力は回復しない。 仕切り直しとは程遠い現状に、しかし。 それでも心の奥から溢れ出る活力が、レイ達の身体を動かしていた。(誰1人諦めず、最善を尽くしてる!なら、|こ《・》|の《・》|程《・》|度《・》で諦める訳にはいかないわよね!) それはルヴィも同じで、今まで以上に燃え盛る意志で、無理矢理身体を奮い立たせる。 全身を襲う激痛を無視して、更に『力』を手繰り寄せるルヴィ。 それに競うかの様に、レイとランシュも『力』の出力が上がっていく。 そんな3人を眺め、普段はしない考えが脳裏を過ぎるスルト。(後ろの森娘は回復役でもあったか……ならばそちらを先に潰しておくか?) 相手が|戦《・》|士《・》であれば、同じ戦士として卑怯とも取られる戦法は考えもしない。 しかし今のレイ達はスルトすら脅かす|脅《・》|威《・》。 生き残る為にあらゆる手段を講じるのは、例え『神』とて同じ事だろう。 だが、それは最悪の選択であった。【何!?】 決して油断した訳でも、意識を逸らした訳でも無い。 一瞬だけ、後方に居るフィオに視線を向けただけであった。 しかしいつの間にか目の前に迫っていたランシュに、驚きの声を上げるスルト。(速いという訳では無い!視界に収めてすらいた筈が、気付けばここまで接近を許すとは!気配も、行動に出る際の起こりすら見えなんだ!) 慌てて防御しようとするが一足遅く、ランシュの鋭い拳はスルトの鳩尾を深く貫く。【ごはっ!】 表情には出なくとも、明らかに怒っていると分かる連撃を叩き込むランシュ。 その衝撃は凄まじく、鎧を着込んで尚かなりのダメージをスルトに与えた。(分かるわよ。大切な妹を狙われたら……お姉ちゃんなら尚更ね)【うっ……とおし……がっ!?】「私だって!怒っているもの!」
Last Updated: 2026-10-02
Chapter: ニンゲンの『力』
 ルヴィの身体の周りを、時折閃光が弾ける。 よく見るとそれは、小さくも青白い稲妻で。 その光を目撃した全員が、確かに確信していた。「あれは……『雷装』!?」 誰よりも使っているからこそ、驚きを隠せないレイ。 今、ルヴィが纏っているモノは、レイの『雷装』と全く同じであった。(いえ!でも一緒という訳じゃ無い!出力は明らかに少ないし、安定もしていない。あれじゃ精々『|10%《リミットワン》』以下……) だがしかし、真の問題はそこでは無い。 例え威力が低かろうと、|他《・》|人《・》|が《・》『|雷《・》|装《・》』|を《・》|使《・》|え《・》|る《・》|筈《・》|が《・》|無《・》|い《・》のだから。(魔法陣を知っているニイル達ならまだしも!知っている筈の無いルヴィが使える訳が無いのよ!だってアレは!私達一族の秘術!) そう、かつてこの魔法の所為でルエルに目を付けられ、国を滅ぼされたのだ。 今や使える者は、レイを置いて他に居ない。 それはあのニイルですら、使っている所を見た事が無い程だった。 だからこそ、自分以外が使えている事に驚きと、そして強い違和感を感じるレイ。 それは、ルヴィを除いた全員が感じていた。(まさか!油断していたとはいえ、こうも易々と斬られる事を許してしまうとは!) これにはスルトも、驚きを禁じ得ない。 何せ今までのルヴィとは、明らかに違う動き、そして威力なのだ。 成長が著しいとはいえ、流石にこれは異常であった。(呼吸や気配すらも、あの雷娘と同一化しつつある……表面を真似るだけならまだしも、|存《・》|在《・》|感《・》|す《・》|ら《・》同じになりかけているのはどういう了見だ!?) 相手の動きや、稀に思考すら読み相手の真似をする手合いは、少ないが居ない訳では無い。 人間にも技を見て盗み、同じ動きで戦う者も存在する。 そう考えれば動きや技術をコピーする存在など、数々の戦いを潜り抜
Last Updated: 2026-09-25
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