Chapter: 10 輪廻の輪は正しく巡らない その日の真夜中―― 深い眠りに落ちていたヴィクトリアは、誰かの声を聞いた気がした。『ようやく会えるな』 ヴィクトリアはその声に導かれるように目を覚ました。すると、腹部に痛みがあることに気づく。痛みは等間隔でやって来ていた。 ついに陣痛が来たのかと思ったヴィクトリアは、ドキドキしながら隣で寝ていたリュージュを起こした。「何っ!」 陣痛が来たかもしれないと伝えると、リュージュはすぐに覚醒した。「よし! 医療棟に行くぞ!」「待って! 荷物! 入院用の荷物を持って行かないと!」「そうだった!」 ヴィクトリアを姫抱きにしてそのまま勇んで出立しようとするリュージュは、少し気が動転しているようだった。 リュージュはバッグを肩に担いでヴィクトリアを抱き上げると、急いで医療棟に向かった。「も、も、もうちょっとゆっくり走って!」 最初リュージュが全速力を出すものだから、ヴィクトリアは悲鳴を上げた。「わ、わわわ、わかってるっ! ごめんっ!」 自分と同じく出産への動揺継続中のリュージュと共にたどり着いた医療棟で、ヴィクトリアはそのまま丸一日陣痛に苦しむことになった。 ****** 与えられた部屋で痛みに耐え、そろそろ生まれるから息んでと言われる頃には、ヴィクトリアの体力は底を尽きかけていた。「ヴィクトリア! 頑張れ! ヴィクトリア!」 リュージュが手を握りそばで励ましてくれるが、何度息んでもお産が進んでいる気配はなく、長引く出産によって次第に意識が遠くなっていく。「……体……腰が……狭……」「……そんな! ……! ……! ヴィクトリア!」 朦朧とする意識の狭間で、リュージュと医師が何やら深刻そうな話をしているのが聞こえたが、内容まではよくわからない。 そのうちに
Last Updated: 2026-04-30
Chapter: 9 懸念事項 新居への引っ越しも終わり、夏になり、秋も過ぎ、ヴィクトリアはリュージュと幸せな日々を送った。 ただ、穏やかなその日々にも懸念事項はあった。 夜、リュージュと共に寝室に入ったヴィクトリアは、そのつもりでリュージュと抱擁しキスを交わした。 目立ってきたお腹に障らないように優しくベッドに横たえられると、ヴィクトリアの服の中にリュージュの手が忍び込んでくる。 ヴィクトリアはリュージュに愛撫される感覚にうっとりしながら身を任せていたが、突然、腹の中がウゴウゴと蠢き出し、またか、という思いに囚われた。「痛い…… 痛いわ……」 胎児が腹の中で暴れ出し、至る所を蹴られる。 あと数ヶ月で生まれるほどになったヴィクトリアの赤子は、胎児とは思えないほどに力が強く、腹を突き破って出くるんじゃないかと思う時もある。 腹の子は両親が仲よくしようとするのを邪魔したいのか、リュージュとよい雰囲気になると、毎回ではないがヴィクトリアの体内で殴る蹴るの大暴れをする。イチャイチャしたくても痛くてそれどころではなくなってくるのだ。 何もしてこない時はたぶん胎の中で寝てるのだと思う。「またか? 大丈夫か?」「痛っ!」 リュージュがヴィクトリアに声をかけて体に触れようとすると、みぞおちあたりに強烈な一撃が入って、ヴィクトリアは悶絶した。「リュージュ、ごめんね…… しばらく離れてて……」 リュージュと性的な触れ合いさえしなければ、赤子もそのうちに静かになる。 しかしリュージュはムッと眉を寄せ、ベッドに座るヴィクトリアの膨れた腹の前に顔を寄せた。「おいお前! ヴィクトリアは俺のだからな! お前の母さんだけど、でも俺の―― うわあっ!」 言葉の途中でヴィクトリアの腹が服の下がグニュンと動き、リュージュは寸前で避けたが、まるで先ほどまでリュージュの顔があった場所を殴ろうとするかのように、腹部が突き出た。「ううっ…… い、痛い……」「大丈夫か?」
Last Updated: 2026-04-30
Chapter: 8 生家 ヴィクトリアはリュージュに連れられて、引っ越し先の候補であるという家の下見に向かっていた。 オニキスが新しい族長になることが決まり、数十年ぶりの族長交代の影響で現在里の中は色々とバタついている。そんな中でもリュージュがかなり頑張ってくれたらしく、現状で引っ越し可能な家を早々に確保してきてくれた。「てっきり、引っ越しはもう少し先になると思っていたわ」 手を繋いで歩きながらヴィクトリアは思ったことを口にする。「いつまでもあの家にいたら胎教によくないだろうって思って、急いだんだ」 まだ悪阻も始まっていないような初期であり、お腹もぺったんこだが、シドが死んだあの日の営みが実って、ヴィクトリアはリュージュの子供を妊娠していた。 リュージュはあの日からずっとそわそわしっぱなしで、毎日ヴィクトリアの匂いを嗅いで妊娠したかどうかを確認していた。 妊娠がわかった時にはリュージュは大喜びしてくれて、ヴィクトリアも笑顔になって二人で抱き合い、ヴィクトリアの体に新しい命が宿ったことを一緒に祝った。 それから、妊娠確定後しばらくして、毎日のように見ていたレインの夢を見なくなった。 あの夢は、「レインにいつか償わなければ」という自分の心の枷を反映させたもののように感じていたが、子供ができたことで意識が変わり、自分の中で覚悟が決まったのだと思った。 優先するべきはリュージュと子供であり、もし今レインが目の前に現れても、ヴィクトリアは大事な二人に我慢を強いるような行動は起こさない。「あの家だ」 やがて視線の先に一軒の家が見えてくる。その家を指差すリュージュを見たヴィクトリアは、はたと立ち止まった。「あれは……」 間違いない。その家は、ヴィクトリアの母であるオリヴィアが亡くなるまで、一緒に暮らしていた家だ。「あの家はお前が十一歳まで暮らしていた家だし、お前が住むならいいんじゃないかってオニキスに言われたんだ。 俺も一回下見したけど、八年前だからもう何の匂いも残ってない」
Last Updated: 2026-04-30
Chapter: 7 孕め ベッドの上で、裸になった二人が絡み合う。「もうっ…… いいからぁっ…… 挿れてっ……」 リュージュはずっとヴィクトリアの全身への愛撫を続けるばかりで、なかなか結合してくれなかった。 リュージュがヴィクトリアの股の間に男根を当ててきても、割れ目やクリトリスを擦り立てるだけで、一番欲しい場所にはもらえない。 「ああ、そうだな……」 ヴィクトリアの懇願を受けたリュージュは、彼女の胸の先端から唇を離して了承したようなことを言うが、すぐにまたピンと勃った胸の先をねぶり始めて、膣に挿入している指を動かし、赤く色づいて膨らんだ淫芽を虐めてくる。「愛してるよ、ヴィクトリア」「ああ! ああーーっ!」 リュージュに愛を囁かれて胸がいっぱいになったヴィクトリアは、それだけで腰をカクカク揺らしながら、本日何度目かわからない絶頂を果たした。 絶頂から降りてきて激しく呼吸を繰り返すヴィクトリアの耳に、リュージュが膣から指を引き抜くクチャッという音が聞こえた。 下を見れば、脱力しているヴィクトリアの股間に唇を近づけようとするリュージュがいた。 この絶頂地獄はどこまで続くのだろうと思ったヴィクトリアは、今度は泣きながら懇願した。「挿れてぇっ! 早く突いてっ! 奥まで埋めてぇっ!」 恥ずかしいという感情は既に消え去っていて、ヴィクトリアは自分の手で秘裂を開くと、リュージュの目前にすべてを曝け出した。「……本当にいいか? 今日ヤったら子どもができるぞ」 クンニを直前で止めたリュージュは、行為前にも確認したことを再びたずねて来た。 もしかしたらリュージュも、本当は子供を作ることに少しためらいがあるのかもしれない。「いいの! 欲しいの! 赤ちゃんください!」「わかった。いくぞ」 決意したのだろうリュージュはそう言うと、ヴィクトリアの脚の間に体を滑り込ませた。 リュージュはヴィクトリアが広げたままの膣口に先
Last Updated: 2026-04-30
Chapter: 6 リュージュの懸念 2「お前、やっぱり…… レイン――」「そんなことないわ!」 リュージュの口から「レイン」の名前が出た途端、ヴィクトリアは話を遮るようにすかさず口を開いた。「私が愛してるのはリュージュだけよ! リュージュ以外の人には、抱きしめられるのもキスされるのも無理だったもの!」「無理《《だった》》、なんて、経験してきたような口振りだな?」 リュージュがいぶかしげな表情で言うのを受けて、ヴィクトリアは動悸を感じた。(今日のリュージュは冴えてるわね!) 夢の中に現れたレインは怖い顔をしていて、なのに、ヴィクトリアを抱きしめてキスしようとしてきた。「ゆ、夢の中の話よ? 夢の中でレインが襲いかかってきて、抱きついてキスしようとしてきたけど、腕を振り払ってすぐに逃げたから、何もされてないわ」 そしてその後追いかけっこが始まったが、|撒《ま》いてやった。夢の中の話だが。「お前がレインじゃなくて俺を一番に愛してくれているのはわかってるよ。 実はさっきお前に『愛してる』って言われるまでは、もしかしたら『番の呪い』が解けてないんじゃないかって、心配になってたけど…… なあ、一番最初に俺と体を繋げた時に、頭の中で『カチカチカチ』って音がしなかったか?」「そういえば…… そんな音がしていたわ」 ヴィクトリアの答えを聞いたリュージュはうなずいた。「俺にも鳴ったよ。その音は番を得た時に自分の頭の中だけで鳴るらしい。相手と番になったことを示す印みたいなもんだ。 でも、中には体を繋げても音がしないこともあるって聞いたことがあったから、ちょっと心配になってた」「そうなのね……」 母を思春期前に亡くして、里の交友関係も狭かったヴィクトリアは、そんな話は誰からも聞いたことがなかったし、本で読んだこともなかった。 ヴィクトリアはふと、『番になる音』が鳴る前に、ガラスが割れるような音を聞いていたことも思い出した。(もしか
Last Updated: 2026-04-30
Chapter: 5 リュージュの懸念 1 脱衣所でリュージュに体や髪の毛を拭いてもらう。 振動が伝わりプルプル揺れる乳房をリュージュが食い入るように見ていたので、揉まれたり食べられたりするのだろうかと思ったが、タオル越しに触れる以外でリュージュが何かをしてくることはなかった。 リュージュは服が濡れてしまったので自分も風呂に入ると言い、浴室に消えていった。ヴィクトリアは脱衣所にリュージュがあらかじめ置いていた服に着替えた後、リビングに向かった。 リュージュが作ってくれた鍋料理を台所に持ち込んで温め直す。お腹はペコペコだったが、リュージュが来てから一緒に食べようと思った。 鍋の火を止め、ソファに座って休憩していると、それほど時間も置かずにリュージュが現れた。「なんだ、先に食べていてよかったのに」「一緒に食べたかったの。それに臨時集会のことも気になるし、食べながら話を聞こうかなって思って。リュージュの話って集会のことよね?」「えーっと…… まあ、それもある……」 リュージュの返事はどこか歯切れが悪かったが、ヴィクトリアが肉料理を皿に盛りつけようとすると、リュージュもそばに寄って来て、二人で仲よく食事の準備をした。 ****** リュージュによれば、やはりシドの処刑は予定通り執行されたそうだ。 そのことを聞いた瞬間にヴィクトリアは目を伏せてポロポロと涙を流した。 相向かいに座っていたリュージュは食事を止めて席を立つと、「大丈夫か」とヴィクトリアを抱きしめて、落ち着くまでそのままでいてくれた。 リュージュは涙こそ出さなかったが、ヴィクトリアに感化された様子で、少し目が赤くなっていた。 酷い父親だったが、リュージュにとっては実父であり、|悼《いた》む気持ちはあるのだろう。「しょうがないよ。あいつは、それだけのことをしてきたんだから」 ヴィクトリアがひとしきり泣き、落ち着きを取り戻した頃に、リュージュが冷めてしまった料理を小鍋を使って温め直してくれた。食事を再
Last Updated: 2026-04-30
Chapter: おまけ2 薔薇色の未来 シリウスは、八歳になり美少年具合に磨きがかかる愛息のオリオンと、第四子妊娠中で安定期に入ったナディアを連れて、侯爵になった兄ジュリアスに頼み、領地のブラッドレイ侯爵家で行われるお茶会に参加させてもらうことにした。 そのお茶会は貴族が主な参加者だが、兄ジュリアスと違って平民であるシリウス一家は、兄の家族枠とでも言うべきか、有り体に言えば縁故枠として特別に入れてもらった。 お茶会には平民の商人も混ざっていて、同じく平民であるシリウスたちがいてもそこまで白い目で見られることもなく、また、英雄と評されることもあるジュリアスの威光の影響もあってか、ジュリアスの実弟一家ということで、参加者たちには概ね温かく迎え入れてもらえたと思う。 シリウスがジュリアスに、「貴族の催しに自分たちも混ぜてほしい」と頼んだのは始めてだった。 ナディアには、「貴族のお茶会? マナーわからないけど?」と言われたが、妊婦だから飲めない食えないと通せば大丈夫だと言い、二の足を踏んでるところにお腹を締めつけないタイプの綺麗なドレスを着せて、「オリオンのためだから」と説き伏せ、無理矢理参加することを了承させた。 四歳の無邪気な双子たちは、平民が走り回って場を引っ掻き回したらまずいと思い、調子のよい母のロゼとシオンに任せてきた。 貴族向けのパーティ参加が初めてのオリオンは、会場に入るなり華やかな雰囲気にキョトンとしていたが、走り回ることもなく、シリウスの言いつけ通り行儀よくできていた。 オリオンは最初は緊張もしていたが、会う度によく可愛がってもらえる伯父のジュリアスや、遊び相手の従兄ジュライもいたので、次第に緊張もほぐれたようだった。 お茶会には、子供の――とりわけ女子の――姿がわりと多かった。なぜならば、ジュリアスとその妻フィオナの息子で、ブラッドレイ侯爵家嫡男であるジュライの婚約者候補に名乗りを上げようと、貴族たちがこぞって年齢の見合う娘を参加させていたからだ。 今回のお茶会の趣旨はジュライの婚約者選び、というわけではないが、国民からの人気も高いブラッドレイ侯爵家と縁続きになりたい家はそれなりに多いようだった。 お茶会が始まるなり、ジュリアスに似たイケメン少年ジュライは同じ歳くらいの令嬢たちに揉みくちゃにされかけたが、すぐに脱兎のごとく逃げ出していた。 ジュライの後を追って令嬢たち
Last Updated: 2026-05-07
Chapter: おまけ1 その後のブラッドレイ一家 オリオンが生まれてから八年が経った。 ナディアとの間には長男オリオンとの後に男女の双子を授かっている。 双子は四歳になり、現在ナディアは第四子妊娠中で、シリウスの計画通り子沢山街道まっしぐらだった。 ブラッドレイ邸にはレオハルトやジークオルトもいるから、常に子供の声が絶えずに|煩《うるさ》いくらいで、ナディアも子供に囲まれて幸せそうではあるものの、日々忙しくしている。 十五歳になり年々大人びて女子力を高めつつあるシオンがよく手伝ってくれるので、助かっているそうだ。 母ロゼは自身と同じように子だくさんになりつつあるナディアの体調を何かと心配していて、孫の面倒を見なければと奮い立ってもくれていて、一時期よりは塞ぎ込むことも減り、番のいない日常を受け入れて生きているようだ。 シリウスは、メロディとルーファウスと名付けたその|姉弟《双子》が、シドの処刑の日に『未来視』で視た、父アークと母の間に生まれるはずだった子供たちなのではないかと、どうしても思えてしまって、あの時視た『未来視』の通りに、時折複雑な気持ちで双子を見つめている自分がいることに気づく。 シリウスの中では、あの時に自分が『未来視』をすべて把握することができてさえいれば、父は死ななかったのではないか、という後悔と、自分の無力さに打ちひしがれる思いは、ずっとある。 けれど、父が自分の身代わりにならなければ、シリウスこそが死んでいたわけで、今ある幸せを感じられることもなかったのだろうと思う。 シリウスは、自分にその身を捧げてくれたような父に最大限の感謝をしながら日々を生きねばと思っているし、同時に、やはり罪悪感のような気持ちもぬぐいきれなかった。 シリウスは、アークにナディアとの結婚を反対されて以降、父が亡くなるまでは反発ばかりしていて、最後の会話なんて喧嘩別れの言葉だった。「こうすればよかった」「ああすればよかった」という後悔は尽きない。 父に会いたくて、何度か「死者蘇生の魔法」は試したものの、門番のはずのアークは全く応えてくれない。 もし、シリウスが死ぬまでアークが門番のままでいてくれるのならば、向こうで謝りたいのと、「父さんがいたから俺は幸せになれた」と言って、「ありがとう」と伝えたい。 父アークがいなくなって約九年。家族周りには父に話したい出来事が山のように、本当に色々と起こっ
Last Updated: 2026-05-07
Chapter: 13 俺の子供を生んでほしい 2 急いでいる時は魔法で服を吹っ飛ばして行為に及ぶこともあるシリウスだが、今回は最初から丁寧にするつもりらしく、まずはキスから始まった。 チュクチュクと口内をねぶられて吸われ、舌がからまり合う音が二人の部屋に響く。性器を受け入れることもだが、キスはお互いの体の一部を明け渡すことで、自分の気持ちも一緒に相手に捧げられるように感じられて、ナディアはとても好きだった。 そんなことを考えてしまったせいか、ナディアは早くもシリウスのペニスを口で受け止めてしゃぶりたくなってしまい、キスされながら服を脱がせられておっぱいを露出させられる傍ら、自分は彼の股間に手を伸ばしてシリウスの服をそこだけ乱し、そそり勃つ立派な男根を外気にさらして手で擦り始めた。「気持ちいいよナディアちゃん……」 シリウスはナディアの胸の頂きに吸いつき舌を這わせながら、時々口を離して吐息を漏らし、色っぽい声で喘いでいる。 猛烈な色気を|醸《かも》し出すシリウスに当てられて、ナディアの局所もこの人が欲しいとビチャビチャに濡れてくる。 嗅覚でナディアの愛液が漏れ出していることに気づいたらしきシリウスは、胸を揉んでいた片側の手を下ろすと、ショーツの隙間から手を侵入させ、指で秘芽と秘裂を捉えて愛撫を始めた。 シリウスは、長年意識のないナディアに悪戯を仕掛け続けたこともあってか、手淫が目茶苦茶に上手い。 ナディアの弱点とも呼べるクリトリスを指先で刺激し、どこをどうすれば良くなるのかわかりきっている膣内を、挿入した二本の指を動かして巧みに責めてくる。「あっ……! もういっちゃ……っ! あぁぅっ!」 大好きなシリウスの指に、大事な場所を気持ちよくいじられている満足感と安心感から、ナディアはそれほど経たずにすぐに果ててしまい、指を中で咥え込むようにきつく締めつけながら潮まで吹いて達した。「濡れちゃうね。全部脱ごうね」 ぐったりとしたナディアの体を支えながら、シリウスはナディアの火照った体にキスを落としつつ、全ての服を脱がせると、自身も全裸になった。 大きな陰茎に目が釘付けになっているナディアに気づいたシリウスは、ナディアに四つん這いになるように言うと自分はベッドの上で膝立ちになり、ナディアの顔の前に巨根を突き出してきた。 ナディアは喜び勇んで大きな肉棒に吸いつき、手も使いながら舌や頭を動かして、夢中
Last Updated: 2026-05-07
Chapter: 12 俺の子供を生んでほしい 1 ヴィクトリア姉様が子供を生んだそうなので、ナディアは番であり、義父アークの喪が明けてから婚姻届を提出して夫にもなったシリウスと共に、かつてお世話になった異母兄ロータスたちの家にお邪魔した。 どうしてこうなったのか、ナディアは死んでいた時があったので経緯はよくわからないが、ヴィクトリアは故郷の里の元住人で幼馴染のアルベールと番になっていた。 二人が番になったと聞いた時は、「なんでリュージュじゃないのーっ!」と、ナディアは驚いて叫んでしまっていた。 アークの葬儀や、人間の「ナディア」として擬態するための様々なことなどが一区切りついた頃に、彼らの元へ向かった時には、それなりにアルベールと幸せそうに暮らしているヴィクトリアがいて、ナディアは心配が杞憂に終わったようだと知って安堵した。 ナディアが故郷にいた頃の記憶では、アルベールは里にいるその他大勢のろくでなし連中と同じく、傲岸不遜で暴力的で意地が悪くて、あまり仲よくしたくない類の男だった。 けれど数年ぶりに再会してみると、「ヴィクトリアは俺のもの」的オーラを振りまきつつ独占欲は垣間見えながらも、アルベールは産後で体調が優れないヴィクトリアを常に気にかけるような優しさを発揮していて、始終笑顔全開のデレッデレな状態にもなっていて、とても幸せそうだった。 正直、こんなによく笑顔を見せる男だっただろうかと、印象はかなり様変わりした。 その後に、ナディアはヴィクトリアが生んだ、彼女によく似た綺麗な顔立ちの赤子と対面した。ヴィクトリア譲りの神秘的な銀の髪も持つ、アンジェと名付けられた生まれたばかりのその女児は、とても小さくて、有り得ないくらい可愛かった。 アンジェ抱っこさせてもらうと、自分の子供でもないのに、ナディアは体の奥から愛しさがこみ上げくるのを自覚した。 アンジェの瞳の色はアルベールと同じ金色で、『二人の愛の結晶なんだなぁ』ということもしみじみと感じた。 ナディアはその後、現在暮らしているブラッドレイ邸に帰宅してから、「私も赤ちゃんが欲しいな……」と思わずつぶやいてしまったが、「じゃあ作ろうか」とシリウスにさらりと言われて、少し戸惑った。「でも、レオもジークもまだ赤ちゃんだし、もう少し先でもいいかな」 番を失った義母のロゼは体調が優れない日もあって、ナディアがシリウスの下の弟たちの母親代わりを務める
Last Updated: 2026-05-07
Chapter: 11 虹 門番から鍵を奪い、「冥界の門」の内側に入ったアークの視界は、何もない、一面の暗黒に覆われていた。 しかし暗闇に包まれていたのは、一瞬にも満たないようなわずかな時間だけで、あっという間に肉体が侵食されて崩壊し、苦しみも感じずに死んだ後は、一転、周囲からの温かな光を感じた。 肉体が滅び、幽体だけの状態となってまぶたを開ければ、見渡せる限りの地面には草原と花畑が茂り、上を見れば澄んだ青い空がどこまでも広がっていて、彩りに満ちた常春の世界にアークは立っていた。 死者となり冥界の住人になったことで、生きたままでは見えなかったものが見えるようになったようだ。 幽体の彼は死んだ時の年齢ではなくて、大好きすぎる長男ジュリアスの年齢に近い、二十代前半頃の若い容姿に戻っていて、銃騎士隊の隊服を着たままだった。 巨大な「冥界の門」はすぐ近くにあって、自分のそばには鍵もある。 アークは魔法を使って、扉の外に出てしまった「こちら側」由来のものをできる限り中に引き込むと、扉を動かして門を閉じ、鍵を鍵穴に差し込んでガチャリと施錠した。 扉を閉じている最中も、今も、「あちら側」で死んだ魂が次々と扉を通って、「こちら側」へやって来ていた。 死んで「冥界の門」をくぐると、彼らは輪廻の仕組みを思い出すようで、この世界に迷いなく降り立つと、「あの世」の端に位置する「冥界の門」から離れ、先へと進んで行く。 アークもそうだったが、幽体だった時の記憶は幽体になることでしか思い出せないようで、いずれ「この世」に転生すればまた忘れてしまうのだろう。 アークは巨大な「冥界の門」が建つ、苔生した石造りの土台に腰を下ろした。 通りすぎる死者たちがちらちらと彼の持つ門の鍵を見ている。 鍵で門を開き現世に戻れば生き返れる場合もあって、未練を残す者たちに鍵を奪われる可能性もあったが、そもそも魔力がなければこの鍵は扱えない。 それに精神の世界とも呼べる「あの世」では、魔法使いは最強であり、やろうと思えば対象の魂を滅して二度と存在できないようにすることも可能だ。魔法使いを脅して門を開けさせようとする不届き者も、《《あまりいない》》。 アークから少し離れたところにはシドの魂がいて、しばらくこちらを凝視していたが、どうやらアークには勝てないと悟ったらしく、他の魂と同様に、奥へ向かう人々に混じり去っていっ
Last Updated: 2026-05-07
Chapter: 10 転生前 2 とにかく人がたくさんいる場所に行けば何とかなるだろうと思った元門番の男は、首都がある方向へ向かった。 ところが、彼の予想に反し、シドが暴れ出した情報が独り歩きした結果、「暴れ出したシドによって大量殺戮が始まってる」とか、「シド率いる大勢の獣人たちが現れて首都一部壊滅状態」とか、首都では正しくない情報であふれていて、シドの処刑は既に執行されたにも関わらず、偽情報に踊らされた人々は大混乱に|陥《おちい》っていた。 デマではあっても命の危機が迫る情報によって、逃げようとしたり、家に閉じ篭もって恐怖する人々が大多数で、愛の営みをしている者たちが全く見つからない。(こんな状態で、真っ昼間から悠長にセックスしとる奴らなんて、おるわけないか……) 彼は絶望的な気分に襲われながらフラフラと空中をさまよっていたが、ふと、「あの世」に引っ張られる力とは別方向の力がグッと自分にかかったのを感じて、ハッとその方向を見た。「もうすぐ新しい命が宿る場所」を示す、例の光が発生している場合、魂をそこに引き込む力も同時に発生する。(最中の奴らがおる! 天の導きや!) 彼は歓喜しながら、導かれる方向へと急ぎ向かった。 ******「孕め孕め孕め孕め孕め孕め孕め孕め孕め孕め孕め孕め孕め孕め孕め孕め孕めえぇぇぇッ……っ!」「あぁっ! あ゙っ! おんぐっ! お゙ん゙っ! ぉんおお゙お゙っ! おゴォっ! ほごぉおおお゙ッっ……!♡」 たどり着いた先では、黒髪に、銀色という珍しい瞳の色をした筋肉質で大柄な男と、二十歳前後ほどの黒髪の女が部屋の中で交わっていた。 が、男は|吐精《クライマックス》直前の激すぎる突き上げの最中でも女の首を掴んで締めているし、女の方も足先をバタつかせてはいるものの、今にも白目を剥いて気絶しそうなその表情には、隠し切れない恍惚の色が浮かんでいた。 二人は完全に出来上がっているが、いきなりそんなハードプレイ場面に出くわしてしまった元門番の男は、ドン引きしていた。 彼は引っ張られる力に従い、首都の一角にある大豪邸にやって来ていた。商人をしていた前世の記憶を頼りに、そこがアンバー公爵邸であることには気づいたが……(ここ、公爵家? ホンマに公爵家? 凌辱の館とかじゃなくて?) 由緒正しき公爵家の一室で繰り広げられている、殺人現場もかくやという光景には唖然とする
Last Updated: 2026-05-07
Chapter: 5 永遠の愛 フィオナはまた寝ていた。 数日間別荘で寝ていたために筋力が落ちていて、騒動後は――シド死亡後に獣人姫ヴィクトリアが魔力暴走をしかけたがそれも解決した後――どっと疲れを感じて、ジュリアスと共に銃騎士隊本部の執務室に戻ると、令嬢姿のままで部屋のソファに横になって眠ってしまった。 アークに起こされた直後に動けたのは、「ジュリアスが死んじゃう!」と必死だったので動けただけだった。 すうすうと寝ていたところに、ギュッと誰かに抱きしめられる感触がしたので、フィオナはより安心し、睡眠をむさぼった。 フィオナがパチッと目を覚ました時は周囲は闇で、『あれ、もう夜?』と思ったが、全く一切何も見えないのもおかしいなと思っていると、隣のぬくもりが動いた。「フィー……」「ジュリアス、真っ暗よ。何も見えない」「そうだろうね。今、俺が作った暗黒空間にフィーを閉じ込めているから」「え? それはどう―― んっ……」 疑問を口にする前に、ジュリアスに唇を塞がれ舌で口内を気持ちよくマッサージされて、フィオナは思考がちょっとトロンとしてきた。「私はあなたの正体を誰にも言わないし、絶対に別れないし、ずっと一緒にいるよ?」 フィオナは、ジュリアスが自身の正体が獣人であることの口止めのために、「閉じ込め」をしているのかと思ってそう言ってみた。「それは、うん…… わかってる。フィーが『俺の正体が獣人でも愛してる』って父さんに言っている場面を、セシが戦闘中に見せてくれたから。 フィーの愛がなかったら、俺はシドには勝てなかったと思う」 言いながら、ジュリアスがグリグリと自身の雄をフィオナの体に押しつけて来た。 ジュリアスは魔力切れを起こすほどのシドとの戦闘の後、本部に戻って来てからテキパキテキパキ仕事をしていて、多分疲労が溜まっている様子だった。疲れていると男はヤりたくなるようだと知っているフィオナは、自分からジュリアスの首に腕を回して抱きつき、「抱いて」と言ってキスをした。「でも、真っ暗なのはちょっとね。あなたが見えない」
Last Updated: 2026-04-30
Chapter: 4 向こう側 ~処刑場の眠れる美形~「俺の妻のロゼは獣人なんだ。ジュリアスも含めて、俺の息子たち全員が獣人だ」 アークからそれを聞いた瞬間、すべての点と点が繋がった。 知り合った直後、「誰とも結婚はしない」と言っていたジュリアス。 交際後は結婚について保留にされ、結婚願望が本当にないのだろうと思っていたら、初めて体を繋げた直後にプロポーズされた。 当時はただ「嬉しい」という思いしかなかったが、その急な方向転換は、体を繋げたことで獣人の番――ジュリアスにとって唯一無二の存在――になった影響なのだろう。 初エッチしてから、ジュリアスの「フィオナ好き好き度」はかなり上がった。エッチは頻回だし、ジュリアスはフィオナに他の男が近づくことをよしとしなかった。 普段は男装しているので「フィオナ」として男性とお近づきになる機会もあまりないが、仕事上でやり取りの多い二番隊副隊長マーカス・エニスが両刀使いらしく、絶対に二人きりになるなと散々注意はされていた。 それから、養成学校の視察の際にフィオナが仲よくなった、当時訓練生のゼウス・エヴァンズ美少年に対して、ジュリアスは訓練中の模擬戦にて一撃で叩き潰した際に、「フィーと馴れ馴れしくするな」と脅していたらしいのである。 品行方正で聖人君主然としていたジュリアスが、当時少年だった年下の訓練生に脅しをかけるとは信じられなかったが、意気投合した直後にゼウスが急によそよそしくなり、おまけにジュリアスに対して畏怖の表情――フィオナがアークに向けるような――をするようになったのは事実だった。 フィオナはゼウスの態度がおかしいなと思っていたところに、ひょっこりやってきたセシルに真相を教えられた。 フィオナはゼウスには得意の射撃の術などを教えたりして、今でもフィリップとして仲よくしているつもりだが、ゼウスと会う時は、短時間であっても絶対にジュリアスがどこからか湧いてきて、必ず一緒にいる。どんな時でも。 万が一にでも番であるフィオナをゼウスに取られることを恐れていたのかもしれない。 ジュリアスは酒や紅茶などよりも牛乳が大好きで、それはブラッドレイ兄弟たちも同じだった。
Last Updated: 2026-04-30
Chapter: 3 眠り姫の起床 ――フィー、何があっても、永遠に愛してるよ 耳に残るのは愛しい人の言葉だ。 寮の自室でジュリアスに夜這いを仕掛けられ、それを受け入れて愛し合い、幸せに包まれながら直後に意識を落としたフィオナは、ジュリアスと、それからたぶん自分が生んだ一歳くらいのジュリアスに激似の赤子と一緒に、優雅なティータイムをしているという、夢の中でも幸せすぎる時を過ごしていた。 ――……ベル、キャンベル、起きろ。起きろ、フィオナ! しかし不意に夢の登場人物以外の誰かに名前を呼ばれて、幸せな夢から浮上した。 自分を呼ぶのは、ジュリアスに似ているが、彼とは違う、低くて渋さのある美声だった。 名前を呼ばれたフィオナの目がゆっくりと開かれて、彼女の灰色の瞳があらわになる。フィオナはこちらを見下ろす、自身と同じ灰色の瞳を見た。「隊、長……?」 ベッドに横になっているフィオナの枕元にたたずんでいたのは、銃騎士隊の隊服を着た、ジュリアスの養父――とフィオナは思っている――アーク・ブラッドレイ二番隊長だ。 アークを見上げながら、寝起きのフィオナは半覚醒のはっきりしない頭で違和感を感じていた。その一つが、ジュリアスとアークの声が似ていることだった。本当の親子なんじゃないかというくらいに。(どうして、気づかなかったんだろう……) フィオナはこの時に、霞がかかった思考の影響で先入観を取っ払った状態になっていたために、「ジュリアスとアークに血の繋がりがない」というのが、『彼の嘘ではないか?』という疑いを、初めて持った。 ただ、フィオナがこれまでその可能性に思い至らなかったのは、アークにガン無視されまくっていたので、あまりアークの声を聞いたことがなかった、という事情もある。 元々アークは好き勝手に各地の隊に滞在して回る人で、本部にいることの方が少ない。訓練生の頃にジュリアスの実家に遊びに行っても、家にいたためしがないし、流石に入隊してからは所属隊の長なので、顔を合わせたことはあるが、仕事上の事務報告をした後の「ああ」という返事の声しか聞いたことがなかった。
Last Updated: 2026-04-29
Chapter: 2 前夜 愛しい婚約者に「眠りの魔法」をかけたジュリアスは、本来の姿に戻っているフィオナを抱きかかえ、とある場所に来ていた。 ここはフィオナと初めて結ばれた、海辺に近いキャンベル伯爵家の別荘だ。キャンベル伯領からは遠い地にあり、万一のことがあっても獣人王シドのいた里からは遠いため、彼女に危険が迫る可能性も低い。 現在は時期ではないために使用人も含め別荘に滞在する者はいない。無人の場所に一人無防備なままで残すことになる大切な恋人に、一切の危険がないようにと、ジュリアスはベッドに横たわらせた状態のフィオナの体の周囲に「|盾《シールド》の魔法」をかけた。 こうしておけば、大地震が来て家具が倒れたり強盗が入ってきて寝込みを襲われそうになっても、彼女は守られる。ジュリアス以外の人や者はフィオナには触れられない。(フィーは俺だけのものだから) もしも自分に何かあり迎えに来られず、札からの魔力が切れてフィオナが一人きりで目覚めたとしても、勝手知ったる実家の別荘ならば、フィオナ一人だけでもどうにかできるだろう。 続けてジュリアスはこの屋敷全体に「|迷宮《メイズ》の魔法」をかけた。誰かが屋敷の中に侵入してきてもフィオナがいるこの部屋にはたどり着けない。 ジュリアスの魔法を破れるとしたら同じ魔法使いだけだろう。ジュリアスの知る魔法使いは、家族以外では『真眼』の魔法使いだけだ。今や敵同士となってしまったが、マグノリアの性格から考えると、よほどの事態にでもならない限りフィオナに危害を加えるようなことはしないだろう。 ましてマグノリアは今回の作戦の目的には反対しないはずだ。彼女は自分たちと同様に、シドは死ぬべきだと考えている。 ジュリアスは眠るフィオナの頬を愛しそうに撫でた。 ジュリアスがフィオナを強制的に眠らせてこんなことをしているのには理由がある。 獣人の里に潜んでいた弟シリウスから、獣人姫ヴィクトリアが里から逃げ出したという緊急の連絡が入った。シドは現在、我を忘れたかのようにヴィクトリアの匂いを追いかけているという。 事態が動いた。上手くいけばシドを捕
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Chapter: 《受胎編》1 孕ませ 初めて結ばれて、海を見ながらプロポーズされた日から、もうすぐ三年が経過しようとしていた。「ジュリアス、あのね……」「うん? フィー、『おやすみなさい』かな?」 フィオナは恋人との時間を多く持つため、住まいを首都のキャンベル伯爵家のタウンハウスから、ジュリアスと同じ銃騎士隊員用独身寮に移していた。 夜、フィオナは隣のジュリアスの部屋にお邪魔して、朝までお邪魔を続けたかったが、読書に没頭しているらしきジュリアスは、エロ事よりも本の方が気になる様子で、《《その気》》ではないようだった。 ニコッと聖人のごとき清らかなる美しき笑みを向けられてしまうと、欲望をここで伝えるのも何だか違う気がして、フィオナは全身にくすぶる「今日は抱いてほしい」熱を、何とか抑え込もうと思った。 ジュリアスとは頻繁に体を重ねていたが、時々今回のように「エッチなことは全くしませんよオーラ」を出してきて、紳士対応をされてしまう時があった。「う、うん、おやすみ。また明日、ね」 フィオナは夜の挨拶をしてから、すごすごと、隣の広々とした貴族仕様の独身部屋に戻った。 ****** 三年前、男女の関係になった後すぐに、結婚を保留にしていたジュリアスの態度に変化が起こった。 いわく、すぐにでも結婚したいと。 しかし、そこから約三年経過しても結婚に至っていないのは、ひとえにフィオナ側に理由があった。 フィオナが銃騎士になったのは殺された家族の仇を討つためだ。あの獣人王と呼ばれているおぞましい赤髪の獣人を狩るまで。銃騎士を辞めるわけにはいかない。 結婚したらきっと子供も出来るのだろうし、銃騎士を続けるのは無理がある。ジュリアスからも、仕事中に一緒にいられるのは嬉しいが、危険がつきまとう仕事なのだからとそれとなく言われている。 危ない仕事を最愛の人にしてほしくないのはこちらも同じなのだが、銃騎士を相手に選んでしまった時点でそれは仕方のないことなのかもしれない。 いつまでも性別を偽り続けることはできない。 ジュリアスは無理を通して銃騎士になったフィオナの思いを汲んでくれて、「いつまででも待つ」と言ってはくれる。 国中の女たちが結婚したいと焦がれるような相手なのに、その男を待たせてしまっていることを申し訳なく思う。 どこかで区切りをつけなければいけないことは、フィオナもわかっていた
Last Updated: 2026-04-29
Chapter: 30 結婚しようか 「あっ…… あっ……」 変幻の指輪を抜き取られて女に戻り、裸にされたフィオナの胸にジュリアスが吸いついてくる。もう片方の胸の先端も指先でピン! と弾かれると、これまでの営みでジュリアスに敏感に仕立て上げられていた乳首から、甘い快感が走って全身に広がっていく。 繰り返し指で弾かれ擦られる片側の乳首と、柔らかな熱い舌で転がされるもう片側の快感が共鳴して、やがて触られていない膣内が、まだ知らぬ肉棒をねだって収縮し始める。「きもちいい……っ もう、イく……」 快感に頭を焼かれそうになっていたフィオナは、絶頂が近いことを知らせながら全身を小刻みに震わせ始めた。すると、ジュリアスが胸をいじっていた手をフィオナの秘部に滑らせ、親指で勃起したクリトリスを刺激しながら、蜜壷の中に指を挿入してきた。「あぁっ! ああっ! イっちゃうぅっ! んああぁっ!」 ジュリアスの指で絶頂させられるのはいつものことだ。フィオナを知り尽くした彼の手で内側の良い所をトントンと刺激されながら淫芽を潰されると、フィオナはブシュッと潮を吹き出しながら達した。 絶頂に翻弄されている最中も、快楽の波から下りてきた後も、ずっとジュリアスは膣内を執拗にマッサージしている。フィオナはまたすぐ次の快感に体を押し上げられて、心の中はジュリアスに愛されている喜びでいっぱいになった。「フィー…… ごめんね、フィー……」 フィオナはこれから彼と一つになれるのが嬉しくて、その反動で明日世界が滅ぶのではないかと思ってしまうほどに幸せだったが、一方のジュリアスは、青い瞳に情欲の炎を灯しながらも、どこか罪悪感を抱えているような表情をしていて、おまけに謝ってきたのがとても気になった。「結婚できなくても、いいの。私はジュリアスとずっと一緒にいられるだけで幸せだから」 結婚できないことを後ろめたく思っているのではと思ったフィオナは、ジュリアスの気持ちを軽くしたくてそう伝えたが、彼は「ありがとう」と言って微笑みを返してくれたものの、完全に憂いが晴れたような様子でもない。「ジュリアス、ずっと思っていたの…… あなたは一体何を抱
Last Updated: 2026-04-28