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橘まさと
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Novels by 橘まさと

俺の可愛い妹系ヒーラーが職場の鬼上司だってマジ!?

俺の可愛い妹系ヒーラーが職場の鬼上司だってマジ!?

 新人の派遣社員として動画制作会社で働いている主人公の近藤ユウ。  彼の趣味はゲームであり、特にはまっているのがMMORPGの『Familia of Eden(通称FoE)』である。剣と魔法と使い魔を使う王道ファンタジーRPGで、派遣先の入社日の前日も勇者〈ユージン〉として活躍し、ロリ妹ヒーラーの〈アイン〉と楽しく過ごしていたのだ。  そのせいで入社日に遅刻ギリギリで出社となり鬼部長と名高い斎藤カズエに眼を付けられてしまう。  FoEのプロモーションイベントに斎藤と共に向かったときにFoEで使えるパートナー契約アイテム「エンゲージリング」をゲットして、〈アイン〉に渡したらそのアイテムを斎藤もつけていて……。
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Chapter: 不意の遭遇
■MUGENLABO 資料室「近藤くん、大丈夫かい? 体調悪いなら帰る?」「あ、山南さん、大丈夫……です、たぶん」 ゲームバーケルプで酒を飲み、ボードゲームで遊んだ翌日。 会社で仕事をしていた俺は気持ち割るさを感じていた。 二日酔いとは違って、妙な寒気すらある。 俺の顔を覗いてくる山南さんの顔が近いのか遠いのかすらわからなかった。「だめだよ! かなり症状が悪そうだ。まずは倉庫から出て。部長を呼んでくるから」 資料の片づけを山南さんとやっていた作業を中断し、俺はよろよろと外に出た。 エアコンがガンガンに効いていて冷たくなった壁が気持ちいい。 いや、気持ちいいと思うのほうがおかしいのかもしれない。 「近藤! 大丈夫か! 意識はあるか?」「ん……部長、大丈夫、です」「こういう状態の大丈夫は信用できないな。近くの病院につれていく、私が付き添いをするからあとのことは頼む」「了解しました」 部長が山南さんに引き継いでいたことを見たところから、俺の意識はなくなっていた。■ユウのマンション「近藤、大丈夫か?」「あ、はい……薬と休養のおかげで、だいぶ復帰しました」  タクシーで病院に運ばれ、横になって薬と点滴をしてもらったらかなり元に戻った。 診断は熱中症とのことだったが、狭い資料室での仕事が問題だったのかもしれない。 時間は16時、会社まで戻ったら定時になるくらいの時間だ。「もう時間も時間だ。家まで連れていくぞ」 タクシーの支払いを終えてともに外へ出た部長は一緒に階段を上って部屋の前まで連れていってくれる。 肩を貸されて動くのは正直言って恥ずかしいが、まだうまく歩けないので助かった。 鍵を使ってドアを開けて、一緒になかに入る。「ほら、段差があるから気を付けて」「すみません……」
Last Updated: 2026-09-21
Chapter: 頼れる先輩
■ユウのマンション 寝室 食事を終えた後、ナオに電話がかかってきて帰らなければいけなくなったということで駅まで見送り解散した。 今は寝室でベッドに寝ころびながら今日起きたことを振り返っている。 「ナオから告白されたかぁ……結論は言いそびれたけども、どうしたもんかなぁ。ネットの恋愛だって悩む俺にリアルの恋愛は無茶だぁ!」 気持ちがあれたのか、一人で叫んだ。 こういう時に頼れるのはあの人しかいない。 俺はFoEのメッセージアプリを立ち上げて、ガルさんに連絡をする。〈ガルガンチュア〉『メッセージでくるとはどうしたんだ?』〈ユージン〉『すみません、姪っ子から告白されて……年齢差もあるからどうしたものかと思って……』〈ガルガンチュア〉『なるほどなるほど、リア充ははじけるべきだな!』〈ユージン〉『ガルさんにだけは言われたくない……昔は一緒に遊んでいたけど、ちょっと疎遠になって……それから再会したら』 俺はガルさんに向けて事情を説明した。 具体的なところはぼかすが関係性についてはハッキリ伝えた。 こんなときに相談できる既婚者の男性がいるのは助かる。〈ガルガンチュア〉『明日、ユージンは暇だな? ぐりゅえるの店に来てくれ』〈ユージン〉『あー、そういえばギルドのメンバーは知っていた風の様子でしたね。場所はしらないですが』〈ガルガンチュア〉『詳しくはこちらに上げるので、夜の営業時間にでも来てくれ』 ガル山からの返信で俺はようやく心が落ち着いた。 それから、ゆっくりと目を閉じて夢の中へと降りていった。■都内某所 Cafe Cherub(カフェ・ケルブ) ケルプは最近都内に増えてきているボードゲームバーという形式の店で、天使の羽が生えた猫耳少女の看板が印象的な店だった。 ドアを開けばチリリンとベルがなり、薄暗い店内が見える。 おしゃれな空間にはかっこいいBGM……よくよく聞くと往年のレトロRPGのジャズアレンジだった。「こんばんわ。えっと初めてなんですが」「いらっしゃい、カウンターに座りなよ」 火はついていないが咥えタバコをしているワイルドな美女のマスターが俺を案内してくれる。 俺は静かな店内のカウンターに座って後ろに並んでいる酒の棚と高価そうなボードゲーム棚を交互に眺めていた。「ぐりゅさんは……まだですかね?」「何をいている。今、
Last Updated: 2026-09-14
Chapter: プレゼントをキミに
■FoE内 深海監獄アクア・プリズン 第三階層 二階層目のボスも倒して進んで第三階層まできたが、だいぶ厳しくなってきた。 レベルとしては問題ないが、手数が足らない感じを〈ユージン〉は得ている。〈猫天使ぐるりゅえる〉『回復アイテムも乏しくなってきたのじゃ』〈ガルガンチュア〉『作れなくもないが、ギルドメンバーをここまでキャリーしつつ来てこの先に温存しておくのも手だな』〈ユージン〉『ボスがどれだけ強いかわからないが、ギルド単位で挑んだ方が安全なのは俺も思いました』 セーフエリアで一息ついていると、12時の知らせが届く。 時間的もここまでのようだ。〈アイン〉『今日は調べながら来ましたし、次は寄り道しないで直進すればもっと早いと思います』〈猫天使ぐりゅえる〉『アインは賢い子じゃのぅ。まさしくその通りなのじゃ。資料としてまとめる時間も別に欲しいしここまでじゃの』〈ユージン〉『社会人だらけだから時間単位で何となく切り上げられるのは助かります』 何せ今日は月曜日なのだから、無理はできない。 〈ガルガンチュア〉『では、テレボードを使ってかえるぞ』 テレボードは板状のアイテムで、乗ったメンバーをダンジョン外へと運んでくれる特殊アイテムだ。 複数人が乗れる上、何度でも使えて便利だが、かなり高いので持っている人は少ない。 そして、再びビーチに戻ったら、解散かと思ったらアインがユージンに声をかけてきた。〈アイン〉『お兄ちゃん、ちょっとだけお話してもいい?』〈ユージン〉『ああ、大丈夫だ』 時間も時間のためかビーチは夜空になっていて、ひともまばらになっている。 ビーチの隅に二人で座り、浮かぶ月を眺めた。 ゲームの中だというのにとってもきれいな光景である。〈アイン〉『ごめんね、私……気持ちがどうにも止められなくて迷惑かけているよね?』〈ユージン〉『いいさ、いろいろアインも過去にあっただろうし』〈アイン〉『ありがとう♪ 指輪は本当にうれしいから……結婚だってしてもいいからね? おやすみ♪』 最後の言葉はどっちの気持ちなのだろうか……経験の乏しいユージンにはわからなかった。■御茶ノ水駅近く 白鳥亭 アインと浜辺で語った週の土曜日、俺はナオのデートに付き合うこととなる。 待ち合わせ場所は長らく愛されている食堂が待ち合わせ場所だ。 朝からの出発で
Last Updated: 2026-09-07
Chapter: 部長との食事
■MUGENLABO イベントも終わって、翌日から仕事になる。 お盆休みの最終日にだいたい開催されるのがコミギャラなのでしかたないが、今回ばかりはもっと遅くあってほしかった。「足が重い……」 ブースの部屋を開ける手がノブを握ったまま動かない。 斎藤部長の『お兄ちゃん』という言葉が重く感じていた。「近藤、入るなら入れ。そのままだとほかのメンバ―も困るぞ」 会社の福利厚生で買ってくれているコーヒーを入れた斎藤部長が俺の背中から声をかけてくる。 サガの『アインの方はユージンのことを気にしてなさそうだ。だから、お前も切り替えるべきだな。そもそもそういうスタンスだったんだろ?』という言葉がよみがえった。 深呼吸をしてからドアの中に入る。「近藤くんもおはよー。お土産だよー」「ありがとうございます」 ソラさんのいつも通りの明るさが俺にとってすごくありがたい。 手にしたお土産を見ると、半裸の褐色男が袋に描かれたチョコ菓子のようだ。 『マハラジャスティック』という名前で、なんというか……界隈のセンスを疑う商品である。「なんか、食べづらいお菓子ですね?」「え、なんで? なんでなのかなー? 何を考えたのかなー? ねーねー」 俺の周りをちょこまかと動きながらわかっててあおってくるソラさんをウザいと思う半分、気持ちが楽になるのも事実だ。「沖田も近藤も、朝のミーティングはじめるぞ」「「はい!」」◇ ◇ ◇——昼休み——「近藤、昼を一緒に済ますぞ。会議室をとって弁当も頼んでいる。打ち上げ時の報告も聞いておきたいので来るように」「は、はい……」  有無をいわさない鬼の斎藤ぶりを発揮させて俺は会議室へと向かう。 後ろからご愁傷様というような雰囲気を感じたのは気のせいではないようだ。「それで打ち上げはただ遊んでいたわけではないだろうな?」「はい、関係各社様やLYONEの方と名刺も交換しました」「その後のお礼メール等はだしているか?」 そういう風にいわれてから、俺は何もしてないことに気づく。 たしかに、名刺だけでは忘れてしまうが連絡を待つだけでなく先にメールを出せば返信の可能性もでてくる。 失念していたことに突っ込まれて、俺はますます気持ちが沈んだ。「まぁ、お前も今年入社したばかりだし営業に近い仕事は慣れていない。ちゃんと今日中にだして
Last Updated: 2026-08-31
Chapter: コミックギャラクシーへ
■8月某日 東京国際展示場「なんだかんだあって、部長と仕事以外の話できなかった……ゲームも疲れてログインあまりできなかったしなぁ」 俺は賑わう人の波をかいくぐぐりながら待ち合わせ場所まで移動する。  朝早くからの集合ということもあって、現地集合だ。  二人きりで会うのがまたイベントというのが何とも言えない気持ちになる。「あ、斎藤部長! こっちです!」 「おはよう。近藤、朝早くからすまないな」 パンツルックのびしっとしたスーツ姿の部長の姿はいつもながらに凛々しい。  この部長がゲームでは癒し系ほわほわヒーラーのアインであることを知っているのは俺だけだ。「なんだ、ひとの顔をジロジロと……」 「いえ、なんでもありません! サークル参加なんて初めてなんで緊張しているんです!」 「まぁ、私も多いわけではないが……FoEの会社様からCMのお礼にと招待いただいたんだ。必要とあればお前は臨時スタッフとして手伝ってもらうぞ」 コミックギャラクシー……通称コミギャラは夏と冬に開かれる同人誌即売会で、最近では企業の参入も多い。  企業ブースでは限定商品が売られ、長蛇の列に並ぶも変えなかったことは多くあった。  その内側に入れるなんて、関連会社に入れてよかったと思う。「はい! むしろ、仕事があるほうが嬉しいです!」 「仕事仕事もいいが、ちゃんと休めよ……ゲームばかりで寝てないなんて困るから、な」 最後の方はぼそぼそといわれて聞き取れなかったが、メリハリつけろということは分かった。  俺は部長と共に一般参加者が列をなして並ぶ横を通って、サークル入場口へと進む。  サークル入場口も参加者が多いためか人込みになっていた。「部長、手をつなぎましょう! はぐれないために!」 「ひゃぁ! あ、ああ……そう、だな……」 部長の手を握り、俺が先に進みつつ人込みを謝りながらかき分ける。  そんな俺の手を握る部長の手は柔らかく、そして強く感じた。◇ ◇ ◇■コミギャラ企業ブース内 LYN
Last Updated: 2026-08-30
Chapter: 少しだけ変わった日常
■個室居酒屋「楽宴」 アインの正体が部長だという事実が発覚した後、俺はしばらく何の言葉も出なかった。  部長の方も顔が真っ赤になって固まっている。  飲みかけのビールの泡は消えているし、どうしたらいいかと分からない様子だ。「申し訳ございません、店内が混雑してきましたのでお会計をしていただいてもよろしいでしょうか?」 「あ、ああ……すまない。いくぞ……近藤」 「は、はい……」 ちょうどいいタイミングでお店の人が促してくれたので、俺達は席を立って店をでる。  無言先を進む部長についていくと、宮下公園にたどりついた。  自販機で水のペットボトルを買って、ベンチに二人して座る。  ここまで無言だ。「あの……部長?」 「すまない、少しだけ……もう少しだけ待ってくれないか?」 厳しい雰囲気をいつも放っている斎藤部長のこの焦った様子はなかなか見られない。  だから、黙ってペットボトルの水を飲みつつ部長が落ち着くのを待った。  もちろん、俺の方も部長がアインだと聞いて驚いてしょうがないが、なんかあまりにも現実感が無さ過ぎて考えがまとまっていない。「よし、大丈夫だ。まさか……近藤が、ユージンお兄ちゃんだったとは……」 「お兄ちゃん呼びは……実年齢も違うんで、勘弁してください」 「いや……ま、そうだな……近藤のままでいこう。ゲーム中は……まぁ、いいよ、な?」 不安げな上目使いで俺を見上げてくる部長の姿に、本当にいつもの部長なのか不安にすらなった。  酔っている俺が見ている夢という方が納得できる。「ええ、大丈夫です。リアルとゲームは別ですから……」 俺はそう答えると部長はえへへと笑った。  可愛い!  酔っているせいなのか、そんな風に見えてしまった。「その、アインは大学生といっていたから、部長とは思いませんでした」 「まぁ、あれはな……私の素性はゲームでは明かしたくなかったのもあるし、今の自分とは違う自分でいたかったんだ……」 ふと、遠くをみるような眼
Last Updated: 2026-08-29
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