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9話 帰ってきた落胤

Author: satomi
last update Last Updated: 2025-06-26 09:22:01

「コノレイジョウ、ヒロッタ」

「フィル……シェイクの真似してもダメよ。ってその令嬢……隣国の王家の子ね」

「えっ……何でわかったの?言ってないのに」

「あぁ、私はこのシェイクの母親やってるのよー。この子、何でもって動物ね?拾ってくるから、その事情とかわかるようになっちゃったのよー」

「私は拾った動物と同じレベル……」

「まぁ、そうだな」

「コラ、シェイク!」

母上に怒られた。

「あぁ、このレーカは俺よりもフィルの方が気に入っている」

「だってー正直、フィルの方が頭がいいじゃない?」

図星だけど、心が痛い……。

「俺は……シェイクが婚約した後じゃないと、婚約したくない」

公じゃないけど、王家同士の結婚になるんだけどなぁ。

「そうだ!私の友人をシェイクに紹介しましょうか?そうしないと私はフィルと結婚できないみたいだし。貴方も、適齢期でしょうし」

‘適齢期’は結構前から言われてる。

「俺の査定は厳しいぞ。見た目もそうだが、心根だな。ここの動物がダメとかいうのはお断りだ。動物も愛せないようじゃNG」

「それは厳しいですね。見た目とかはパスできそうですけど、ここの動物はどうかな?そもそも令嬢ってのは動物に触れあうことがないですからね。最高で馬車の馬でしょうか?」

「だろ?俺が提示した条件を備えた令嬢ならOK」

ふっ、かなり無理があるだろう。どうだ、参ったか。俺はこの家をフィルに継がせるのがひそかな目標だ。

「レーカの紹介ってことは隣国の令嬢か?」

「私は王族から平民まで幅広く友人がいるわ!」

 自慢げだが、俺に拾われた時点で何か問題があるのだろう。王族の中で問題か?面倒だな。

「で、レーカの問題って何だ?レーカは非嫡子とか?」

「失礼ね!嫡子よ!王位継承権だって持ってるんだから」

 俺は怒られた。しかも、母上に睨まれた。母上曰く、「シェイクはストレートでデリカシーがない」だ。

「「で、シェイクに合う友人は思い浮かぶ?」」

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    「コノレイジョウ、ヒロッタ」「フィル……シェイクの真似してもダメよ。ってその令嬢……隣国の王家の子ね」「えっ……何でわかったの?言ってないのに」「あぁ、私はこのシェイクの母親やってるのよー。この子、何でもって動物ね?拾ってくるから、その事情とかわかるようになっちゃったのよー」「私は拾った動物と同じレベル……」「まぁ、そうだな」「コラ、シェイク!」母上に怒られた。「あぁ、このレーカは俺よりもフィルの方が気に入っている」「だってー正直、フィルの方が頭がいいじゃない?」図星だけど、心が痛い……。「俺は……シェイクが婚約した後じゃないと、婚約したくない」公じゃないけど、王家同士の結婚になるんだけどなぁ。「そうだ!私の友人をシェイクに紹介しましょうか?そうしないと私はフィルと結婚できないみたいだし。貴方も、適齢期でしょうし」‘適齢期’は結構前から言われてる。「俺の査定は厳しいぞ。見た目もそうだが、心根だな。ここの動物がダメとかいうのはお断りだ。動物も愛せないようじゃNG」「それは厳しいですね。見た目とかはパスできそうですけど、ここの動物はどうかな?そもそも令嬢ってのは動物に触れあうことがないですからね。最高で馬車の馬でしょうか?」「だろ?俺が提示した条件を備えた令嬢ならOK」ふっ、かなり無理があるだろう。どうだ、参ったか。俺はこの家をフィルに継がせるのがひそかな目標だ。「レーカの紹介ってことは隣国の令嬢か?」「私は王族から平民まで幅広く友人がいるわ!」 自慢げだが、俺に拾われた時点で何か問題があるのだろう。王族の中で問題か?面倒だな。「で、レーカの問題って何だ?レーカは非嫡子とか?」「失礼ね!嫡子よ!王位継承権だって持ってるんだから」 俺は怒られた。しかも、母上に睨まれた。母上曰く、「シェイクはストレートでデリカシーがない」だ。「「で、シェイクに合う友人は思い浮かぶ?」」

  • 落胤拾っちゃいました。   8話 落胤in隣国

    んがっ、落ちてるー。令嬢が。そこら辺に。「あのー。名のある令嬢とお見受けするのですが」だって、いい服着てるし。盗賊とかに会わなくて良かったね。「ね?隣国に行けば会えたでしょ?」「フィル!今はそういう問題じゃないだろ?」令嬢はパクパク口を開くのみだ。「あ、もしかして言葉が発せられない?筆談で。大丈夫、僕らは3か国はマスターしてるから」「なんだー。こっちの言葉も大丈夫なんだ、安心」俺は、令嬢が無事で安心だが。この令嬢……奔放といえば良いが、口悪くないか?「俺らは隣国から来た。俺の母上に尻を叩かれるような形で。ちょっと稼いで来いと」「うーん、今の為替レートでそれはナイわね」この令嬢、頭が切れるようだ。「こっちから出稼ぎに行くのはわかるけど、そっちからってのはナイナイ」令嬢が嘲笑を浮かべて、顔を扇ぐような仕草をするし。「おい、フィルはわかってたのか?」「えー、だから令嬢との出会いって言ったんだよー」俺だけか……「あ、そういえば。俺はシェイク。隣国で伯爵家の嫡男をしてる」「それって職業?」痛いところをつくなぁ。「で、こっちがフィル。俺の弟みたいなもんだ」「弟の方が頭がいいみたいね。で、私も伯爵家の者よ」……令嬢だろ?訳ありか?「えーと、名前は?」「私の名前……うーん、レーカとでも呼んでちょうだい」(この令嬢、多分王家の令嬢だろうけどシェノクには黙っておこう)

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