A Dangerous Love

A Dangerous Love

last updateLast Updated : 2023-03-04
By:  John HarrisonOngoing
Language: English
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Synopsis

Francis Armitage grew up in an ordinary family. He falls in love with the daughter of a conglomerate family and marries her. His life seems to be perfect and is envied by others, but his life is not easy due to maltreatment from his in-laws.

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Chapter 1

Chapter One

栗原翠(くりはら みどり)が5年間待ち望んだ結婚式は、藤原蓮(ふじわら れん)の義理の妹・藤原光希(ふじわら みつき)の欠席によって、またしても延期となった。

翠はこれまでの99回と同じように、段取り通りに招待客を全員見送った。

彼女はふと、なんだかもう疲れてしまった。

蓮は申し訳なさそうに翠に言った。「翠、光希はポップアップストアに行ってるみたいなんだ。たぶん忘れてたんだろう。結婚式はまた今度にしよう」

翠は黙って頷いた。これまで99回、光希はいつも奇妙な理由で欠席してきたからだ。そして、藤原家には、結婚式には家族全員が出席しなければならないという伝統があった。

仕方なく、翠は立ち上がった。「母を見送ってくるよ」

式場の入口で、母親の栗原絵美(くりはら えみ)は目を赤くし、娘の手を何度も強く握りしめた。「翠、この結婚……」

「もう、やめる」翠は穏やかに絵美の言葉を続けた。その口元には、どこか吹っ切れたような笑みさえ浮かんでいた。「お母さん、お父さんと先に帰って。蓮との共有口座解約して、荷物をまとめたら、私もすぐに家に帰るから」

絵美はきょとんとした。まさか娘がこんなにあっさりと諦めるとは思っていなかったようだ。

母の気持ちを察して翠は絵美の手の甲を軽く叩き、静かな口調で言った。「私も、もういい加減、目が覚めたの」

絵美は何か言おうと口を開いたが、結局、深いため息を一つついて車に乗り込んだ。

翠は両親の車を見送ると、会場へと引き返した。

蓮はスマホに目を落とし、眉間にしわを寄せていた。翠が戻ってくると、彼は慌ててスマホをしまい、少しおざなりな口調で言った。「翠、光希が買い物をしすぎたみたいでね。迎えに行かないと」

翠は静かに彼を見つめ、ふと口を開いた。「蓮、100回目の結婚式がダメだったら、私たちはもう終わりにしょうって約束したよね」

彼女は少し間を置いて続けた。「その約束、守ってくれる?」

蓮は一瞬きょとんとしたが、すぐに呆れて笑った。「記憶違いだよ。100回目なんて経ってないだろ?」彼は翠の髪をくしゃっと撫で、軽い口調で言った。「次は光希にちゃんと時間通りに来るように言っておくから。安心して」

そう言うと、蓮は振り返りもせず足早に去っていった。その急ぐ後ろ姿には、その場に立ち尽くす翠を気遣う様子すらなかった。

彼女はその場に立ち尽くしたまま、ふと笑った。それはひどく切ない笑顔だった。

翠はスマホのメモ帳に記録された、結婚式の回数に目を落とした。

そうか、蓮はこれが100回目だなんて、まったく覚えていなかったんだ。

翠は何かに導かれるように、彼の後を追った。

彼女は車を走らせ、蓮の車の後ろを少し離れてついていった。彼の車は、話題のポップアップストアの前で停まった。

光希が、ふわふわの可愛らしいスカートを纏って、ぴょんぴょん跳ねながら蓮の胸に飛び込んだ。すると蓮の顔に、ぱっと笑顔が咲いた。それは翠が一度も見たことのない、心からの安らぎと愛情に満ちた表情だった。

翠は呆然とそれを見つめていた。心臓を見えない手にぎゅっと掴まれたようだった。

光希は蓮の手を引いて店に入り、ふわふわのうさ耳カチューシャを無理やりつけさせて、スマホで自撮りを始めた。

蓮は困った顔をしながらも、されるがままになっていた。そして彼女が甘えると、キラキラしたシールを自分の頬に貼らせてあげていた。

それを目にした翠は無意識のうちに、ハンドルを強く握りしめていた。

この5年間、自分が旅行先での結婚式や、シンプルなガーデンウェディングを提案するたびに、蓮は眉をひそめて断った。「藤原家の結婚式は、伝統に則って行う。それが決まりだ」と言った。

それなのに今、彼は光希に付き合って、子供っぽくてバカバカしいことばかりしているのだ。

蓮は堅物でも、頭が固いわけでもなかったのだ。ただ、自分のために特別になるのが嫌だっただけ。

翠は一日中、二人の後をつけた。

彼女は、蓮が光希と一緒に人気のドリンクを買うために列に並ぶのを見た。甘えて彼に信号を背負って渡らせるのも。蓮は光希の荷物を持ち、汗を拭き、しゃがんで靴紐まで結んであげていたのをすべて目に留めた。

そういうことを、彼は自分にしてくれたことなんて一度もなかった。

空が暗くなり始めた頃、翠はついにアクセルを踏み、車をUターンさせてその場を去った。

もう、これ以上見ていたくなかった。

心臓を無数の細い針で刺されたように、ちくちくと痛んだ。その痛みで、彼女は息もできないくらいなった。

自宅マンションの入口まで戻ってきたが、翠の車ではゲートが開かなかった。

彼女は数秒呆然として、ふと思い出した。前回、光希が家に来てかんしゃくを起こし、自分のカップを割った時のことだ。自分が思わず注意すると、光希は泣きながら飛び出していった。

その日の夜、蓮は光希をなだめるため、自分の車のナンバーをゲートのシステムから削除してしまったのだ。

「どうせ普段は俺の車に乗るだろ」彼はその時、当たり前のような口ぶりでそう言った。

そう思い返しながら翠は力が抜けたように笑い、車を路肩に停めて歩いて中に入ることにした。

夜風は冷たかった。彼女は腕を抱きしめ、歩道に足を踏み入れた途端、眩しいヘッドライトが横から突然差し込んできた。

ドンッ。

凄まじい衝突音が響き、翠の体は、まるで壊れた人形のように宙を舞った。

意識が途切れる最後の瞬間、彼女のかすむ視界に映ったのは、運転席で慌てふためく光希が蓮の胸に飛び込む姿だった。そして蓮は、心配そうな顔で光希を強く抱きしめていた。
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