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26.食す檻

Penulis: 神木セイユ
last update Terakhir Diperbarui: 2025-07-06 17:00:00

「それではわたしの手札をオープンします」

 蛍手札メモ『5↓』、坂下手札メモ『10↑』。

 ルキ 手札オープン。『Q』。12 ! 

 蛍 減点8。坂下 減点4。

 ゲームは3ゲーム目。既に会場のボルテージは最高潮に達していた。

 拘束椅子と更に右腕を固定された椎名が苦悶の表情で歯を食いしばっている。腕の肉は3分の1を失っている状態だった。

 それを四方から取り囲むカメラ。会場の巨大なスクリーンに、それぞれの顔や切断面が写し出されている。

 その中でも観覧者の目を引いたのは、咽び泣きながら椎名の右腕に歯を立てる坂下の姿である。

「ひうっ…… !! うぅ〜うぅ〜 ! 」

「食えー !! 」

「bumbling cop〜 ! 」

    野次の飛び交う中、坂下は感触の変化に更に青覚める。

「ふぐっ……あ、あがぁっ ! がっ…… ! 」

 骨だ。

 このゲームにおいて、部位を選ぶプレイヤーの坂下が、真っ先に考えなければならなかった事。

 骨を如何にして食いちぎるかだ。

 少しずつ齧ってどうにかなる訳も無く、ひたすらに歯を立て続ける。先に置かれていたテーブルナイフを使うことも試して見たが、まさか人骨が切れる程では無い。齧ってはナイフで摩擦し、また齧っては諦める事を繰り返す。

「一口分だよ ! さぁさぁ、しっかり齧って下さいね ! 」

「うぅ…… !! ギギギ…… ! 」

 食いちぎった肉の断面から吹き出す鮮血。顔にビチャビチャと浴び続けた坂下のスーツは、ジャケットからワイシャツまで真っ赤に染まっていた。

 椎名はナプキンを咥え、ひたすらに激痛に耐える。朦朧とする意識を何とか保とうとするが、人はそう頑丈では無い。

「がぁっ……んぁぁぁっ !! うぐぐぅ〜〜〜っ !! 」

 下がってい

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