Short
The Walking Blood Bank Has Left the Chat

The Walking Blood Bank Has Left the Chat

By:  CloudwalkerCompleted
Language: English
goodnovel4goodnovel
9Chapters
6.7Kviews
Read
Add to library

Share:  

Report
Overview
Catalog
SCAN CODE TO READ ON APP

My fiancé dumped me the moment he found out about my rare blood type. "That condition of yours? Yeah, it'd just drain my wallet." I was spiraling when Vincent showed up—like some knight in shining armor, pulling me out of the wreckage. He didn't care about my blood type. We barely dated before he proposed, and for a while, married life felt perfect. Until a year later, when I overheard him talking to a doctor. "Vincent, you already took 400 milliliters of Sophia's blood last month, and now you want another 200? Are you insane? Even if you love Emma, you can't just drain an innocent woman dry for her!" "A little more won't kill her. Stop overreacting." My head spun. My whole body went cold. That's when it hit me—our perfect marriage had been a lie from the start.

View More

Chapter 1

Chapter 1

式の準備がすべて整った頃、わたしは静かに新婦の名前を羽川ひまり(はねかわ ひまり)に差し替えた。

お願い、と羽川が泣きながら頼んできたから、「悠真を返して」って。

それも、別にいいかなって思った。

だって彼らが「愛」を選ぶなら、会社は要らないよね?

わたしはすべての株を手放し、この街をあとにした。

でもさ――ふたりとも?

わたしの株がなければ、あなたたちの「真実の愛」なんて、案外脆いものじゃなかった?

「桃山さん、本当に……ご自身の名前を他人に差し替えるおつもりですか?」

「ええ」

ホテルのロビーを出た瞬間、わたしは見上げた青空に、胸の奥がふっと軽くなるのを感じた。

これでようやく――一生付きまとうはずだった影から、解き放たれたんだ。

結婚式の書類に記された「桃山夕凪(ももやま ゆうな)」の名前。

その欄を、わたしは丁寧に線で消し、代わりにこう書いた。

「羽川ひまり」と。

それは、ほんの数日前に羽川から届いたメッセージがきっかけだった。

彼女は、月城悠真(つきしろ ゆうま)の初恋だったらしい。

「もしあなたのお父様が、『彼女を支えてやってくれ』なんて言わなければ、悠真はきっとあたしを選んでいた。別れる必要なんてなかった」と。

……そう語る言葉に添えられていたのは、彼と一緒に映った数枚の写真。

――しかも、ベッドの上の、ね。

見た瞬間、ほんとに倒れそうになった。

ちょうど隣にホテルのマネージャーがいたから助かったけど、いなかったらたぶん、そのまま発作を起こしてた。

そして、目を覚ましたときには――すべてを悟っていた。

悠真が五年間わたしに触れなかったのは、病気を気遣った優しさなんかじゃなかった。

羽川以外に手を出さないって、そういう忠誠心だったのね。

もういいわ。そう思って、スマホを手に取った。

羽川にこの朗報を伝えた。

彼女にとってわたしは、恋路を邪魔する悪役だったらしい。

じゃあ、ヒロインの座は返してあげましょう。

……でもね、五年間の時間を、わたしは本気で生きてきた。

愛して、信じて、騙されて。

この胸の奥に沈んだ痛みは、簡単には抜けない。

しかも、わたしにはもう、彼らに仕返しする気力も体力もない。

だから――もう、いっそ全部捨ててここを離れようって思ったの。

わたしの名義で所有していた光耀グループの株式を、市場価格で全部売って。

そのお金で、海外の最高の医療を受けに行くの。

心臓病を、本気で治すために。

これからは――わたしの人生を、わたし自身のためだけに生きていく。

そう決めて、全部の手続きを終えた頃には、すっかり夜も更けていた。

家に戻ると、中は真っ暗。

きっと今日も悠真は、いつも通り遅くまで会社で仕事をしてるんだと思ってた。

だけど、玄関のドアを開けた瞬間――目の前に現れたのは、服が乱れて顔をこわばらせた男女だった。

……悠真と、羽川だった。

その場に凍りついた空気の中、わたしは彼の口元に残った口紅の跡をちらりと見て、できるだけ自然に声を出す。

「ただいま」

悠真は目を逸らして、わたしの目をまともに見ようともしない。

けれど口調だけは、いつも通り優しさを含んでいた。

「……ごめん、今日は帰ってこないと思ってて。だからひまりを呼んで、ちょっと仕事の話をしてたんだ。

お前も知ってるだろ、会社のことって本当に忙しくてさ。お前の体じゃ手伝わせるわけにもいかないし。

だから、他の人に頼るしかなかった」

――前だったら、こんな言い訳を聞いたら、わたしは罪悪感に押しつぶされてたと思う。

自分と父のせいで、彼に会社を任せて苦労させているって、そう思い込んでた。

だからこそ、わたしは全部我慢してきた。

たとえば、羽川を家に呼んで「仕事の話」をしてるとき、わたしは横でお茶を出してた。

会社でふたりが遅くまで残業してると聞けば、時間を見計らって差し入れを持っていった。

でも――この前、わたしが結婚を了承し、株をすべて彼に譲ると伝えたときから。

悠真はもう、自分がこの会社の本物の社長だと勘違いし始めた。

わたしに遠慮なんて、もう一切なかった。

まるで、わたしは羽川と彼の使用人だった。

……あのメッセージを羽川から受け取らなければ、わたしはずっとその世界に縛られたままだったかもしれない。

気づかせてくれたことには、感謝してる。たとえ、それが皮肉でも。

深く息を吸って、心の奥から疲れが浮かんでくるのを感じた。

もう――彼らの世話なんて、こりごり。

だから、ちょっとだけ親切なつもりで教えてあげた。

「……口元の、口紅。拭いておいたほうがいいわよ」

せめて、演技くらいはちゃんとやってほしい。

もう、あの人に恋してた頃みたいな、都合のいい幻想は消えてしまった。

悠真は一瞬固まったまま、指で唇を拭った。

手の甲にくっきりと赤い痕が残って、それを見た彼の顔が引きつる。

わたしはそのまま、キッチンに向かい、水を一杯くんで、頭を冷やそうとした。

たぶん――さっきの一言が、彼には効いたんだろう。

慌てた様子でキッチンまで追いかけてきて、言い訳の嵐を投げつけてきた。

「夕凪、違うんだ!ひまりとは何もない、ただの――ただの誤解なんだ!

……ただ、ちょっと口紅がついちゃっただけだ」

取り繕うように、そんな言い訳を口にする悠真を見つめながら、わたしは静かに思っていた。

この人は、父に恩を感じてくれてたんだろうか。

それとも、わたしを騙しているうちに少しでも罪悪感とか、情が芽生えたんだろうか。

――でも今なら、はっきりわかる。

そんなもの、何ひとつなかった。

この人はただ、わたしの会社が欲しかっただけ。

平然とした顔で黙っているわたしを見て、悠真は勘違いしたみたいだった。

いつものように、わたしが素直に信じると思ったのか。

まるで当然のように、口を開く。

「なぁ夕凪、どうせもうすぐ結婚するんだし、会社の株、全部俺に譲ってくれよ。

そもそも、お前の父さんが株の大半をお前に残したから、俺の意見が株主会で通らないんだよな。

今度の判断は、会社にとっても大事なんだ。お前にもわかるだろ?」

まただ――

「お前のため」を盾に、疲れたフリして、恩着せがましく、都合のいい理屈を並べる。

でも、もうわたしは前みたいには応じない。

「わたし、その株、売るから」

悠真の顔が、ピクリと動いた。

けれど無視して、淡々と続ける。

「もし欲しいなら、仲介業者を通して手続きして。連絡先はあとで送るわ。正規の流れでね」

本当のことを言えば、わたしだってつい最近まで信じてた。

彼の「苦労」は、てっきり会社の問題かと――

でも仲介業者から言われたの。

うちの会社はもう軌道に乗っていて、そんなに疲弊するはずがないって。

思い返すと、馬鹿みたいだった。

そう思ったら、つい笑いが漏れた。

その声に、悠真はようやく現実を直視したらしい。

ショックから抜け出した瞬間、怒りを露わにして怒鳴りつけてきた。

「夕凪っ!お前、いい加減にしろよ!会社の重大な話を、お前のくだらない嫉妬と一緒にすんな!」

Expand
Next Chapter
Download

Latest chapter

More Chapters

To Readers

Welcome to GoodNovel world of fiction. If you like this novel, or you are an idealist hoping to explore a perfect world, and also want to become an original novel author online to increase income, you can join our family to read or create various types of books, such as romance novel, epic reading, werewolf novel, fantasy novel, history novel and so on. If you are a reader, high quality novels can be selected here. If you are an author, you can obtain more inspiration from others to create more brilliant works, what's more, your works on our platform will catch more attention and win more admiration from readers.

Comments

user avatar
Cris Land
...........
2025-03-05 01:53:00
0
9 Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status