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第3話

Author: きゅう
俺の見ていないところで、清実と周平の間には、すでにこんなにも堂々と親密なやり取りが交わされていたのか。

そういえば以前、周平のことで清実と激しく喧嘩したことがあった。

彼女が酔い潰れた夜、周平が彼女を抱きかかえて家まで連れてきたことがあった。

あの時俺は怒ったが、翌日彼女は不満そうにこう釈明した。

「どうしていつも私を疑うわけ?周平は、私が指導している後輩にすぎないのよ。卒業したばかりの子が、指導役の私を家まで送ってくれただけ。あの子は、あんたみたいに何でも変なふうに勘ぐったりしないわよ」

彼女はいつだって、俺と周平を比べた。

清実にとって、周平は何をしても正しく、俺は何をしても間違っているらしかった。

看護師たちの会話を聞くのをやめ、俺は再び歩き出す。

これが清実に会う最後の機会だ。今日を最後に、俺と彼女の間には何の関係もなくなる。

執務室に着き、扉を開けようとしたその時、中から聞こえてきた声に、思わず動きが止まった。

「あはは、くすぐったいってば、やめてよ」

「清実って、そんなにくすぐったがりだったんだ?昨日、裸で触っても全然平気だったのにさ」

「もう、意地悪。昨日は楽しむのに夢中だっただけだもん」

扉の隙間から覗くと、執務室にいるのは清実と周平のふたりだけだった。

清実は周平の膝の上に座り、顔いっぱいに笑みを浮かべている。

もうずいぶん長いこと、彼女がそんな風に笑うところを見ていなかった。

久しぶりに見たその笑顔に、込み上げてきたのは、ただ耐えがたい嫌悪感だった。

ふたりの間にすでに何かがあったことは、とっくに察していたはずなのに。

それでも、こうしてその口から直接聞かされると、気持ち悪さがこみ上げてくる。

手にしていた朝食も、急に渡す気が失せた。

背を向けてその場を離れようとした瞬間、うっかり鍵を床に落としてしまう。

「誰?」

清実の声が響いた。扉の隙間から、こちらを覗き込んでくる。

視線がまともにぶつかった。

一瞬にして、彼女の目に動揺が走る。慌てて周平の膝から飛び降りた。

……

「待って、説明させて!」

清実は飛び出してきて、俺を執務室の中へ引っ張り込んだ。

執務室の中には、まだ酒の匂いが漂っていた。目をやると、机の上には赤ワインのボトルと、二脚のワイングラス。グラスの中には飲みかけのワインが残っている。

ずいぶん優雅なことだ。勤務時間中にふたりで酒を飲んでいちゃついているとは。

「違うの、あんたが思ってるようなことじゃない。私と周平は、ちょっとふざけてただけ。知ってるでしょ、あの子まだ若くて、こういうことよくわかってないの。だから、少しふざけすぎて節度を失っただけよ」

清実は息を乱し、必死に言い訳を並べた。

隣で周平も加勢する。「そうです、陸さん。誤解しないでください。僕と先輩は、本当に何もありませんから。普段からこんな感じでふざけ合ってるだけなんです」

俺は顔を上げて彼を見た。要するに、普段から清実とこんなふうに親密にしていると、俺に言いたいわけか。

俺を刺激できるとでも思っているらしい。

だが、あいにくその読みは外れている。俺はもう、清実への未練を断ち切っていた。彼女がどうなろうと、もう本当にどうでもいい。

「ああ。別に怒ってないよ」

俺は清実を見つめながら、淡々とそう言った。

彼女の瞳が、驚きでわずかに揺れた。信じられないという顔をしている。

周平も同じように驚いた表情を浮かべた。

「あんた……怒らないの?」

清実が不安げにじっと俺を見つめてくる。

「どうして怒るんだ。ちゃんと説明してくれただろ」

彼女は安堵の息を吐いた。

「そう、ならよかった。今夜は帰るから、私の分のご飯も作っておいて」

彼女はいつだって、後ろめたいことをした後に限って家に戻ってきて、俺と一緒に食事をとる。まるでそうすることで、自分の罪悪感を薄めようとするかのように。

その時、周平の目に一瞬、苛立ちが走ったのを、俺は見逃さなかった。だが彼はすぐに笑顔を取り繕い、こう言った。

「陸さん、昨日誕生日だったって聞きましたよ。ひとりきりじゃ、ろくな誕生日にならなかったでしょう?今日、僕の家で食事でもどうです?プレゼントも用意してあるので」

そう言いながら、周平はずっと清実の反応をうかがっていた。

案の定、清実はまた彼の肩を持った。「周平って本当に気が利くのね。プレゼントまで用意してくれたの?」

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