Share

第360話

Author: 星柚子
彩香は半ばぼんやりしていて、どこへ向かうのか聞く勇気もなかった。

ほどなくして、北斗はホテルの前で車を止める。

「降りろ」彼は冷たい声で命令した。

ホテルの看板を見上げた瞬間、彩香の胸がざわつく。北斗が何をするつもりなのか、まったく読めない。

それでも逆らう勇気はなく、おとなしく車を降り、彼の後をついてホテルへ入った。

数分後。二人は一室に入り、ドアが閉まった途端――

北斗は乱暴に彼女をベッドへ押し倒し、強引に服へ手をかけた。

「く、社長……あの……急すぎます……」

彩香は呆然とする。

確かに、彼に取り入ろうという下心はあった。

けれど――こんなふうに突然、何の前触れもなくなんて。あまりにも異様だ。

その声に、北斗の手が止まる。目を上げ、冷たく問いかける。「嫌なのか?」

「い、いえ……そういうわけじゃ……」彩香は顔を赤らめ、しどろもどろに答えた。

「なら黙れ」

北斗は無造作に彼女の服を脱がせ、自分のベルトに手をかけた――

その時。突然、携帯の着信音が鳴り響く。

舌打ちしたくなるほど苛立った。一瞬、本気でスマホを投げ捨てようとした。

だが、画面の表示を見
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter
Comments (1)
goodnovel comment avatar
詩乃
こんな風に手当たり次第誰でも押し倒すような奴だから逃げられたのに自覚症状なし
VIEW ALL COMMENTS

Latest chapter

  • 偽りの婚姻から脱出、御曹司は私に惚れ   第672話

    若菜はうつむいたまま、足早にカフェを後にした。外には車が待機しており、車内には雲翔が彼女のために手配した運転手が乗っていた。車に乗るとすぐ、若菜は言った。「宋原グループまでお願い」運転手は一礼し、車を発進させる。若菜は、自分の手のひらが冷や汗でびっしょり濡れているのを感じていた。奈穂がさっき口にしたあの言葉の意味を、頭の中で何度も繰り返し考える。まさか、本当に知られてしまったのだろうか?もし奈穂が知っているのなら、正修だって知っているはずだ。それなのに、どうして雲翔に何も伝わっていないの?もし雲翔が、自分が誰かに指示され、目的を持って彼に近づき、付き合っていたと知ったら――何の反応も見せず、これまで通り自分をそばに置いておくはずがない。震える手でスマートフォンを取り出し、雲翔にメッセージを送った。【雲翔、会社にいる?これから会いに行くね】雲翔からの返信はすぐに届いた。【いいよ。君の好きなミルクティー、用意させておくね】さらに、ハートを飛ばしている子犬のスタンプまで添えられていた。――今までと、何も変わらない。若菜は少しだけ胸をなで下ろした。ということは、さっき奈穂が言ったことは、ただのカマかけだったのだろうか?きっとそうに違いない。まったく、あんな大声で謝ってしまうなんて……!若菜はひどく後悔した。これから先、奈穂に引け目を感じ続けることになるかもしれないと思うと、なおさら悔しかった。……水戸グループに戻り、エレベーターに乗ったとき、奈穂は秘書がまだぷりぷりと怒っているのに気づき、思わず笑った。「まだ怒ってるの?もういいじゃない。ああいう人のことで腹を立てるだけ無駄よ」「だって、あまりにも理不尽じゃないですか。自分の恋愛がうまくいってないからって、根拠もなく他人のせいにするなんて。あんな人、初めて見ました」奈穂は苦笑した。もし秘書が、若菜がこれまでにしてきたことを知ったら――きっともっと怒るに違いない。「それにしても、さっき急に謝ってきたの、ちょっと面白かったですね」ちょうどそのときエレベーターが到着し、二人は話しながら外へ出た。秘書は首をかしげる。「あんなに強気だったのに、どうして急に謝ったんでしょう?」「後ろめたいことがあるからよ」と奈穂は言っ

  • 偽りの婚姻から脱出、御曹司は私に惚れ   第671話

    若菜は思い出した。さっき自分が奈穂の肩を叩いたとき、確かに奈穂はイヤホンをつけていた。肩を叩かれてから、ようやくイヤホンを外したのだ。だが、それがどうしたというのだろう。奈穂がイヤホンをしていたのだって、ただの見せかけだったのかもしれない。どうせ奈穂の秘書だって奈穂と同じ側の人間だ。そんな主張、信用できるはずがない。だから若菜は冷笑した。「ふん……つまり、水戸社長はとんでもない善人だって言いたいわけ?」「うちの社長が善人かどうかなんて、あなたに説明する必要はありません。でも少なくとも、根拠もなく人に濡れ衣を着せるような方ではありません!」奈穂の秘書は怒りを抑えきれずに言い返した。「さっき、宋原会長夫妻があなたと宋原社長の交際に反対しているって言ってましたよね?うちの社長に責任を押しつける前に、自分が何をしたのかよく考えたらどうですか!」本当は奈穂の秘書だって、若菜が何をしたのかなど知らない。ただ言い返すために口にしただけの言葉だった。しかし若菜はやましいことがあるせいか、その言葉を聞いた瞬間、顔色がさっと変わった。「わ、私が何をしたっていうの?でたらめ言わないで!」奈穂は軽く秘書の背中を叩き、怒らないようにと合図してから、冷ややかに若菜へ言った。「今のは、私が言いたかったことでもあります。文句があるなら、私に直接言ってください」若菜の人となりを、奈穂はもう信用していない。もし自分の秘書に逆恨みでもされたら、陰で何をされるか分からない。だが若菜は、もはや奈穂の秘書を恨んでいる余裕などなかった。頭の中は奈穂への憎しみでいっぱいだった。「どうしてそんな言い方をされなきゃいけないの?いくらなんでも、私は雲翔の恋人よ……!もし彼が、あなたたちが私をこんなふうに見下してるって知ったら、きっと黙ってないわ!それに、彼が私と別れるはずがない!あなたがどれだけ手を尽くしても、全部無駄になるだけよ!」奈穂は若菜の支離滅裂な言い分に付き合う気などなかった。知りたいのは一点だけだ。「さっき言ってた『沙織』って、誰ですか?」突然「沙織」なんて名前を出した以上、何か理由があるはずだ。だが奈穂には、そんな名前の人物に心当たりはない。「とぼけないで!」若菜は、奈穂が知らないふりをして責任を逃れようとしていると決めつけていた。「ずっ

  • 偽りの婚姻から脱出、御曹司は私に惚れ   第670話

    ただの推測に過ぎなかった。だが若菜は、まるでそれが確定した事実であるかのように思い込み、怒りを募らせた。思わず手を伸ばし、奈穂の肩を軽く叩く。奈穂はイヤホンで音楽を聴いていたが、肩を叩かれたのに気づき、イヤホンを外して振り返った。そこに立っていたのは若菜だった。「賀島さん、こんにちは」奈穂は礼儀正しく挨拶した。「水戸さん、こういうことをして楽しいんですか?」若菜は強い口調で問い詰めた。「……?」奈穂は隣にいる秘書と視線を交わした。二人とも、相手の目の中に戸惑いを見て取る。奈穂はゆっくりと立ち上がった。奈穂は若菜よりも少し背が高い。立ち上がった瞬間、自然と見下ろす形になり、どこか圧迫感が生まれた。若菜の勢いが、わずかに弱まる。「賀島さん、何をおっしゃっているのか分かりません」奈穂は淡々と言った。その態度に、若菜の中の怒りが再び燃え上がる。若菜は奈穂を睨みつけ、拳を強く握りしめた。「分からないですって?じゃあ、どうして水戸さんがここにいるんですか?」「ここは水戸グループの近くですよ。私は秘書と一緒に、ただアフタヌーンティーをしに来ただけです」智子と若菜にここで遭遇するなど、思ってもいなかった。本来なら途中で席を立つこともできた。だが出口へ向かうには、どうしても智子と若菜の前を通らなければならない。その方がかえって気まずくなるだろう。かといって、二人の会話を聞くつもりもなかった。そのため、あえてイヤホンをつけて音楽を聴いていたのだ。先ほど智子と若菜が何を話していたのか、まったく聞いていない。二人が席を立ったあとで、自分も出ればいいと思っていただけだ。まさか若菜に気づかれるとは思わなかった。そもそも若菜が店に入ってきたとき、彼女は奈穂の存在にまったく気づいていなかった。おそらく智子との面会を前にして緊張し、周囲に気を配る余裕がなかったのだろう。「アフタヌーンティー?ずいぶん都合のいい偶然ですね。よりによってこのタイミングで、ここに来るなんて」若菜の目は赤く、まるで大きな屈辱を受けたかのようだった。「信じないなら、それで結構です。賀島さんに説明する義務はありません」そう言うと、奈穂は秘書に視線を送った。秘書はすぐに意図を理解し、立ち上がって奈穂と共に店を出る準備をす

  • 偽りの婚姻から脱出、御曹司は私に惚れ   第669話

    智子のその言葉を聞いた瞬間、若菜の表情がわずかに固まった。もし本当に雲翔が父親にすべてを取り上げられたら――グループの実務にも関われなくなるのではないか?そうなれば、彼のそばにいても、有益な情報を得ることはできなくなるかもしれない。それに、雲翔はこれまで自分に対してかなり気前が良かった。たとえ二人の関係が最終的にうまくいかないと分かっていても、少なくとも付き合う間は、贅沢で恵まれた生活を送ることができるはずだ。もし雲翔が何もかも失ったら――自分のその生活も、同時に失われてしまう。その一瞬の表情の変化を、智子は見逃さなかった。心の中で、冷ややかに嘲笑した。だが若菜もすぐに気を取り直し、再びか弱い様子を装った。「おばさん、たとえ雲翔が本当に何もかも失ったとしても、私は彼と付き合います。自分たちで働いて、生活を支えます。ただ……私が望まないのは、彼がご両親との関係を完全に壊してしまうことです。お金や地位が惜しいわけではありません。ただ、取り返しのつかない溝ができてしまうのが悲しいのです」智子はコーヒーを一口飲み、しばらくしてから、笑っているのかいないのか分からない表情で言った。「賀島さん、本当に口が達者ですね」その言葉に含まれた皮肉を、若菜が理解できないはずがなかった。顔が一気に赤くなる。先ほどの動揺で、思わず隙を見せてしまった。「おばさん、きっと誤解されています」「もう結構です」智子はそれ以上話を聞く気はなかった。「賀島さんの人となりについては、だいたい分かりました。賀島さんは雲翔にはふさわしくない。早めに別れることをお勧めします。これから言うことは、ありきたりに聞こえるかもしれませんが――もし別れる意思があるのなら、条件は賀島さんの望むままで構いません」若菜の顔色は真っ青になった。「おばさん、私は何も要りません。ただ雲翔と一緒にいたいだけです。まだ一度お会いしただけなのに、どうして私の人柄を分かったと言えるのですか?もう少し時間をいただけませんか?必ず、私が本気で彼を愛していること、一生を共にしたいと思っていることを証明します」「賀島さんが簡単に納得しないことは分かっていますし、無理に迫るつもりもありません」智子は淡々と言った。「この件については、改めて雲翔と話し合います。賀島さん、失礼します」そう言

  • 偽りの婚姻から脱出、御曹司は私に惚れ   第668話

    奈穂の聞き間違いではなかった。今、すぐ後ろの席には若菜が座っており、雲翔の母親――智子と向かい合っていた。智子は若菜を見つめ、口を開いた。「賀島さんは……」まだ数語しか話していないうちに、若菜は突然泣き出した。「おばさん、私と雲翔は本気で愛し合っています!私は彼なしでは生きていけないし、彼も私なしでは生きていけません。どうか私たちを認めてください!」智子の表情がわずかに冷えた。だが彼女は教養ある人物であり、すぐに怒りを露わにすることはなかった。ただ静かに言った。「賀島さん、私はただ、何かお飲み物を召し上がるかどうかを聞こうとしただけです。そんなに慌てて泣く必要はありませんよ」若菜は一瞬言葉を失い、顔に気まずさが浮かんだ。「す、すみません……私、少し緊張してしまって……」智子はコーヒーを二杯注文した。飲み物が運ばれてきてから、智子は改めて口を開いた。「今日お会いしたのは、賀島さんに雲翔と別れてほしいと迫るためではありません。ただ一度お会いして、話をしてみたかったのです」雲翔の態度はこれまでずっと頑なだった。両親が何を言おうと、彼の答えは一つ――若菜とは別れない。そのため智子も、次第に心が揺らぎ始めていた。それならば、まず一度若菜本人に会ってみよう。もしかすると、会ってみれば悪くない女性だと分かるかもしれない。だが先ほど、まだ何も言っていないうちから泣き出されてしまった。まるで自分がひどく冷酷な人間であるかのように思われているようで、智子の中で若菜への印象はさらに悪くなった。「そういうことでしたか」若菜はおずおずと答えた。「申し訳ありません、おばさん。私が勘違いしてしまいました」「最近、雲翔はどうしていますか?」智子が尋ねた。「ここしばらく家に帰ろうともしないし、私たちともほとんど連絡を取らなくなってしまって」「彼も……とても辛い思いをしています。本当は、ご両親との関係がここまで悪くなることを望んでいるわけではないんです。だって、ご両親は彼にとって大切な家族ですから……」若菜は無理に笑みを作った。「おばさん、すべて私が至らないせいなんです」その答えを聞いた瞬間、智子の頭に浮かんだのは――「なんてわざとらしいのだろう」という感想だった。若菜の作り物めいた態度は、智子の前ではまったく通用しない。

  • 偽りの婚姻から脱出、御曹司は私に惚れ   第667話

    「俺をここへ送った人物は、かなりの力を持っているんだろう?なら、いっそ先に俺を国内に戻して、どこかに匿うことはできないのか?」北斗は期待に満ちた表情を浮かべた。かつての自分は伊集院グループの社長として、海外へ出張し、各国で商談を行うことなど日常茶飯事だった。だが今の自分は逃亡犯だ。海外を転々とする日々に、正気を保てなくなりそうだった。もし帰国できるのなら、どこかに身を潜めるだけでも構わない。それだけで十分だった。刀傷の男は鼻で笑った。まるで、北斗の甘い期待を嘲るかのように。「伊集院さん、失礼ながら――今の状況で、どんな手段を使って帰国したとしても、国内の地を踏んだ瞬間に拘束されるぞ」「……」北斗の肩は大きく落ちた。「とにかく食べて、休め。今夜の深夜からは長時間の移動になる」そう言うと、二人の男はそれ以上北斗に構うことなく、離れた場所で食事を取り、食べ終えると適当に横になって休み始めた。北斗は車椅子に座ったまま、無理やり食べ物を口へ運んだ。休もうとは思う。だが、目を閉じると――頭の中に浮かぶのは、奈穂の姿ばかりだった。彼女の笑顔。拗ねたような表情。自分の手を握りながら、「ずっと一緒にいる」と言ってくれたあの声。――「北斗、本当に私のこと好きなの?……分かった、じゃあ付き合おう」――「北斗、明日は付き合って一年記念日だよ。何か考えてる?」――「北斗、卒業おめでとう!私も絶対に伊集院グループに入るから。二人でいれば、どんな困難でも乗り越えられるよね」――「北斗、このプロジェクトは必ず成功させるわ」――「北斗、私たち、きっと未来があるよね?」――「北斗……北斗……」彼女の声が、耳元で何度も繰り返される。だが、もう彼女が「北斗」と呼んでくれることはない。むしろ今では、自分の声を聞くだけでも嫌悪感を抱くかもしれない。胸が締めつけられるように痛んだ。北斗は毎日、何度も考えてしまう。確かに自分は間違ったことをした。だが――なぜ彼女は、自分にやり直す機会を与えてくれないのか?自分が本当に愛しているのは彼女だけだと、もう気づいたのに。涙が二筋、頬を伝い落ちた。必ず戻る。どんな手段を使ってでも、必ず奈穂を自分の元へ取り戻す――……奈穂は会社で半日以上忙しく働いていた

  • 偽りの婚姻から脱出、御曹司は私に惚れ   第179話

    雲翔は後になってもよく言っていた──二人が友達になれたのは、全部自分の努力の賜物だ、と。「そうなんだ」奈穂はバーテンダーが運んできたジュースを一口含み、「残念ね、私、あなたの子どもの頃を知らない」と言った。その言葉に、正修はただわずかに口元を緩めただけで、何も返さなかった。夜はさらに更け、バーの客もどんどん増えていく。奈穂は騒がしくて、少し眠気も出てきたため、正修の服の袖を軽くつまみ、耳元で囁いた。「私、帰って寝たいの」「いいよ」正修は即答した。「帰ろう」二人がカウンター席から立ち上がり、ダンスエリアにいる雲翔を探して声をかけようとしたとき、数人の体格のいい白人男性が二人に

  • 偽りの婚姻から脱出、御曹司は私に惚れ   第159話

    水紀が下腹部に置いていた手は激しく震えている。布団で隠れていなければ、北斗に気づかれていたかもしれない。その時、横に置いてあったスマホの画面が突然光り、誰かからメッセージが届いたようだ。彼女は北斗を一瞥した。彼は下を向いてスマホを見ていて、こっちには目を向けていない。それを確認して、震える手を伸ばし、スマホを手に取った。保存されていない番号から送られてきた画像だ。しかし、水紀はその番号の持ち主が誰なのか分かっている。画像を開いた瞬間、彼女は思わず鋭い悲鳴を上げ、指先の震えはさらにひどくなった。「どうした?」北斗はすぐに顔を上げ、彼女の顔色がひどく青ざめているのを見て

  • 偽りの婚姻から脱出、御曹司は私に惚れ   第183話

    「こんなにあっさり帰してくれたのか?」朗臣は顎に手を当てた。「どうも腑に落ちないな……」彼の目つきが突然鋭くなった。「さっきここへ来る時、何かおかしいところはなかったか?」男たちは互いに顔を見合わせ、そろって首を振った。「いえ、かなり用心して来ましたし、誰かにつけられているような気配もありませんでした。それに、僕たちはホテルの裏口から入ったんです。……たぶん、僕たちのことをただの酔っ払いのナンパ野郎だと思って、軽く懲らしめて終わりにしたでしょう」だが朗臣には、どうしても違和感が拭えない。理性は「これ以上深入りするべきじゃない」と告げている。だが――水紀の顔が脳裏に浮かび、そ

  • 偽りの婚姻から脱出、御曹司は私に惚れ   第177話

    「どうしたの?九条家と水戸家の政略結婚がただ事じゃないとでも思ってる?でもね、お兄さんもよく分かっているでしょう。利益というものは、もともと流動するもの。今日、彼らが利益で結びついていても、明日になれば、より大きな利益のためにあっさり離れることだってあるわ」そこまで言ったとき、音凛は先ほど正修と奈穂が十指を絡めていた光景をふと思い出した。胸の奥の不快感を必死で押し込めながら、続けた。「見た目は九条正修と水戸奈穂、仲が良さそうに見えるけど、あれだって政略結婚があるから取り繕ってるだけかもしれないでしょう?今、政略結婚の件はまだ正式に公表されてない。もしお兄さんが水戸会長のところへ行って、

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status