第4話

遺体が葬儀車に運ばれる時、金田椿は依然として反応を示さなかった。

私は思わず冷笑を浮かべた。

昔、彼が私を追い求めていた時、彼は一文なしで、一束のバラすら買えなかった。なのに、私はすでにテレビ局の柱となる存在だった。

彼を助けるために、私は頼めるすべてのコネを使い果たした。

何度も、枕営業に巻き込まれそうになったが、最終的に彼は成功した。

会社の初めての収益が入った日、彼は興奮して私を抱きしめた。「俺の人生で一番の幸運は葉月に出会えたことよ。これから、たくさんのお金を稼いで、全部葉月にあげるよ！」

私は迷うことなく信じた。

そして結果は？

彼はそのお金を、柳真珠という女に全部使った。

彼女にブランドの服やバッグを買い、大きなダイヤの指輪を渡した。さらには、私は彼が仕組んだ罠で家もなくし、辛酸を舐めたというのに。彼らはそんな私を軽蔑した。

「本当に気持ち悪い、葉月。お前、顔がしわくちゃで、まるでボロ布みたいだな」

「大雨が降ったら、お前の顔のしわで全部受け止められるんじゃない？」

「椿さんの言う通りよ。彼女ってシャーペイみたいじゃない？」

「本当にそうだな、はは」

一言一言が私の心を鋭く刺した。

私は苦しみながら問い詰めた。喉の中はまるで砂を飲み込んだかのようにかすれていた。「どうして、椿、どうしてこんなことを？」

「どうして？」柳真珠は野次を飛ばすように私を見た。「価値がないものはね、捨てるべきだからよ」

金田椿は眉をひそめた。「葉月、今でも分からないのか？お前と結婚したのは、そのコネを利用するためだよ」

「お前みたいな傲慢で強気な女性を好きだと思うか？」

「俺はマゾヒストじゃないから！」

私は自分の耳を信じられなかった。ただ、心は雪より冷たいと感じた。

柳真珠はわざと彼の頸に腕を回し、甘ったるい声で言った。「お転婆なんて一番嫌いだよ。椿さんはもちろん、私みたいな美しくて優しくて、思いやりのある女性が好きだよね！」

「その通り」

金田椿は彼女の顔を手で持ち、キスをし始めた。わざと音を立てて、私の目の前で。

天罰を受けろ、このクソ男とクソ女！

その思い出があまりにも鋭すぎて、私は金田椿の顔を叩きたい衝動を危うく抑えきれなかった。

だが、その時、彼の顔の肉が少し動いたような気がした。

まさか薬の効き目が切れたのか？

私はすぐに運転手に尋ねた。「運転手さん、あとどれくらいで着きますか？」

「あと20分ほどです」

運転手は煙草をくわえながら、バックミラーで私を見た。「早く着きたくない人はたくさんいましたが、君みたいに急ぐ人は初めて見ましたよ」

「私は運が悪いんです」

「男は金を持つと悪いことをしますから、彼も同じ、浮気しました」

私は顔を下げて涙を拭っているふりをしながら言った。「彼が亡くなると、浮気相手が何度も私を妨害しに来て、死体を奪おうとしました。それは、私から財産の半分を分けさせるためでした。こんな理不尽、ありえますか？」

「本当に恥知らずですよ！」

それを聞いた運転手は、外に向かって煙をぺっと吐き捨て、アクセルを踏み込んだ。「安心してください、お嬢さん、必ず10分以内にお届けしますよ！」

私は感謝の気持ちを伝えた。その後、金田椿の指が少し動いたように見えた。

どうやら、彼の意識が回復し始めたようだ。さっきの会話も聞こえていたに違いない。

ただ、まだ動けないだけだ。

「金田椿」

まだ名残惜しそうに、私は頭を下げ、彼の耳元でそっと笑いかけた。「仮死のことは知ってる。しかも、柳真珠と一緒に遊び呆けるために、すでに会社のお金を横領していたこと、そして私にその後始末をさせることも知ってる」

「でも、残念ながら、そのことはかなわない」

「もちろん、あんたの死だけは実現するけど」