第551話

環は司を見て言った。「司、どうして一人で来たの？彩は？」

環は彩のことを尋ねた。

その時、彩が嬉しそうに駆け寄ってきた。「おばさん、こんにちは。私はここよ」

彩は環が今日浜島市に来ると前もって知っていたので、早めに到着していたのだった。

彩は外見に全く非の打ち所がなく、赤いバラのように艶やかで、司と並ぶとまるで理想のカップルのようだった。

環は彩を見て、とても満足そうに言った。「あなたが岩崎家の彩さんね。本当に名前の通り、美しいお嬢さんだわ」

彩は環の手を握り、恥ずかしそうに言った。「おばさん、恐縮だわ」

環は彩の手を軽く叩き、続けた。「彩、堀田家と岩崎家は婚約関係にあるのよ。おばさんに教えてちょうだい。うちの息子、司のことが好きかしら？」

彩はすぐに顔を上げて司を見つめた。気品にあふれたそのハンサムな顔を見て、彩の心はときめいた。彼女は赤い唇を軽く噛みながら答えた。「おばさん、もちろん……司が好きなのよ」

「それは良かったわ、彩。栄市に戻ったら、すぐに結婚の手配を進めよう」と、環は微笑んで言った。

彩はうなずいた。「はい」

しかし司は無表情のままで、淡々と言った。「お母さん、彼女とは結婚しないぞ」

彩は一瞬動きを止めた。

環は口を開いた。「結婚は冗談では済まされないのよ。彩以外の女の子なんて、堀田家には絶対に入れないわ。彩は私が認めた嫁なの。

彩、怖がらなくていいわよ。すべておばさんがついてるから。司にいじめられたら、おばさんに言ってちょうだい」

彩の心は喜びに満ちた。司とはもう無理だと諦めかけていた時に、環が最強の後ろ盾になってくれた。

司は親孝行な人なので、環の支持さえあれば、自分がすぐに堀田家の奥様になれるはずだ。

真夕なんて、所詮は自分の敵ではない。

彩はうなずいた。「はい、おばさん。ありがとう」

その時、謙が歩み寄ってきた。「環さん」

環は謙に目を向けた。「岩崎社長、お嬢さんが見つかってよかったね。堀田家のお嫁さんになる者なんだから」

謙は微笑んだ。「個室を予約しておいたよ。せっかくなので、一緒に食べたらどう？」

環はうなずいた。「ええ、そうしよう」

……

彼らは六つ星ホテルの豪華な個室に入った。謙と環は並んで座り、そして司は彩と並んで座った。

環は尋ねた。「岩崎社長、栄市にはいつ戻るの？」

謙は答えた