LOGINマッチングアプリで知り合った2人。お互いの過去の恋愛も知らないまま同棲し、半年で妻の妊娠が判明。そのまま籍を入れて夫婦になった。可愛い息子、蓮斗は、3歳になった。 そんな時、妻の美衣子が毎週末になると、夜な夜な出かけることに…。あまりにも頻繁なのと、最近の妻の変化に不信感を抱く夫、翔太。 真相を暴く為に、調査会社に勤める友人に調査を依頼した。 そこで明るみになった事実を受け止め切れない…。 夫、翔太が歩む人生とは…。
View More数ヶ月経った頃、翔太は、たまたま残業して頑張っている蓮斗に、 「飯でも行くか?」と声を掛けた。 「はい!」 しばらく様子を見ていたのは、やはり新入社員が、いきなり部長から飯に誘われて行くとは思えなかったからだ。 指導者、課長、次長を通り越して、部長と2人で飯に行くなんて考えられないだろうと思っていたのだ。 しかし、翔太は、フランクな関係で居られる部署を目指していたので、とにかく働き易く分からないことがあれば、何でも質問し易い状況を心掛けていた。 ミーティングの場を多くし、意見交換をする。 もちろん繁忙期は、難しいのだが、そんな時こそコミュニケーションを大切にしたかったのだ。 今年は、この部署には、蓮斗しか新入社員を取らなかった。 翔太は、蓮斗と会話し易いかと思って、贔屓にしている料亭の一室を選んだ。 少し畏まり過ぎたかと思ったが、さすがに居酒屋で話すような話ではないかと思ったようだ。 「素敵なお店ですね」と、驚いている蓮斗。 「ああ、たまにはこういうお店も良いだろう」と笑顔で言う翔太に、 「はい! 嬉しいです! ありがとうございます」と、同じように笑顔で喜んでいるように見えた。 おまかせ料理を頼んで、まずはビールで乾杯する。 22歳になった蓮斗、新入社員歓迎会で、ビールを飲めることはリサーチ済みだ。 とりあえず乾杯する。 「お疲れ〜」 「お疲れ様です! いただきます」 「あ〜美味い!」 「はい、美味いっすね」 息子だと思っていた蓮斗と一緒に酒を呑める日が来るとは……ととても感慨深く嬉しそうな翔太だった。 最初は、そろそろ慣れて来たかとか、上司はどうだとか、仕事の話をしている2人。 その時は、あくま
──19年前 『蓮斗が俺の子じゃない!』 あまりにもショックが大きく、泣き崩れた翔太だった。 しかし、本当の父親が分かっていることを知り、 妻である美衣子と離婚し、実の父親であるM男、井上昌浩の元へ、蓮斗を返すことになり離れ離れになってしまった。 ──いっそのこと父親が分からなければ、良かったのに…… とさえ思ってしまっていた翔太は、自分が蓮斗を育てたい! と思っていたのだ。 それほどまでに、3年間、我が子として愛を注ぎ、大事に育てていたのだから、2人の絆は固く結ばれていたのだ。 だから、その寂しさと落胆は、言葉では言い表せないほど辛かった翔太だった。 その時の翔太は、目の前にいる萌しか目に入らず、縋るように萌の優しさにフライングしてまで甘えてしまった。まだ、離婚届も出していないのに……それだけは、反省しているが、それほどまでに辛くて誰かに側に居て欲しかったのだろう。 でも、 『すぐには、結婚しない!』 そう心に決め、もし萌と良い関係が1年続けば……と勝手に決めていたのだ。 萌も辛い思いをしたのだから、翔太は、自分を利用してもらっても良いとさえ思っていた。 しかし、お互いがお互いを思いやる気持ちは、嘘ではなかった。その気持ちは、今でも変わらない。 だから、翔太は、萌と結婚して良かったと思っているようだ。 萌も同じく、翔太との結婚生活に満足しているようで、常に、 『私、幸せよ』とニコニコしている。 結婚した1年後には、女の子を授かった2人。 野島結月
〈再会〉 突然、目の前に現れた青年が、まさかの蓮斗だと気づいた翔太は、とても驚いた! 「私を3歳まで育ててくれた父がIT業界の方だったようで、幼い頃にその父がずっとパソコン作業をしていたのをよく覚えています」と言う蓮斗。 翔太は、突然の再会に驚き、しかも、自分の事を覚えていて父だと言ってくれている。 危うく溢れそうになる涙を堪えながら、 「そうですか……」とだけ言って凌いだ翔太。 「なので、単純にカッコ良かったので、どこか影響を受けました」と笑顔で微笑む姿は、幼い頃の蓮斗そのもので、何も変わっていないように見えたようだ。 ──この笑顔を守ってくれたんだ そう思いながら、翔太は、ホッとしていた。 「そうですか……なら、きっとその方も喜んでおられるでしょうね」と蓮斗に、自分がその父だということを告げずに答えた。 「そうだと良いです。疎遠になってしまって、今は、もう会えないので」と、寂しそうな表情を浮かべ囁くように言っている姿を見て、翔太は思わず…… 「また、いつかきっと会えますよ」と笑顔で言った。 「そうですね。ありがとうございます」と蓮斗は、お礼を言っていた。 翔太は、ぎゅっと両手の拳に力を入れ、握りしめていた。 『大きくなったな、こんなに立派になって』と蓮斗を抱きしめたいのを我慢していたのだ。 美衣子に、黙って勝手に告げることは、出来ないと思っていたからだ。 それに、今告げてしまうと、この場で絶対に涙を流してしまうと思っていたのだ。 「頑張ってください!」 と言って、上司として優しく微笑み、固い握手を交わすのがやっとだった。 ギリギリのところで、自分の元を離れてくれたので、ようやくホッとして椅子に腰を下ろした。くるりと
ある日、3歳まで育てられた家を離れ、突然、 マーくんの家で暮らすことになったようだ。 時々公園で遊んでくれるお兄さんという認識だったのに、突然毎日遊んでくれるようになったマーくん。 ママがそう呼んでいた。 ママも居る。 だから、何も怖くなかったが、パパと呼んでいた人が居なくなった。 俺は、「パパは?」と聞いたようだ。 「今日から俺がパパだよ」と言うマーくん。 意味が分からないまま、目の前にいる人がパパなんだと教えられた。 日々過ごしていると、幼い俺は、以前パパと呼んでいた人が誰だったのかなんて、分からなくなっていた。 小学生になり、中学生、高校生、そして、大学生になった。 社会人になる前に、どのジャンルが良いのかを考え始めていた。 20歳になった時、突然、父と母から、大事な話があると言われた。 ──なんだろう? まさか離婚とか言い出さないよな〜 どうみても、父と母は、仲良しだ。 だから、そんなことは微塵も感じさせなかった。 すると、父から、 「蓮斗に話しておきたいことがある」と言われた。 父と母は、俺が生まれた時、最初から一緒に居たわけじゃないんだと言う。 「え?」 ──どういう事? と、とても驚いた。 最初、父は結婚願望がなく、誰とも結婚などするつもりがなかったのだと言った。 だから、母と別れることになり、母は違う人と結婚したのだと…… その後、お腹に俺を妊娠していたことが分かり、 俺がパパと呼んでいた人と母が俺の事を育ててくれたのだと言う。