九年ぶりに勇者(笑)が帰ってきた

九年ぶりに勇者(笑)が帰ってきた

last updateLast Updated : 2025-09-19
By:  松坂 美枝Updated just now
Language: Japanese
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「勇者ごっこは終わった」 尚子は再婚した夫と息子、義両親とともに穏やかなバーベキューの午後を過ごしていた。そこへ突如現れたのは、九年前に「悪の組織と戦う」と言い残して失踪した元夫・昭文。かつての面影を失った彼は、勝手に“戦い”を終えたと宣言し、家庭に戻ろうとするが、尚子も家族も彼を拒絶する。 昭文はかつての「勇者」としての栄光にすがり、息子との再会を求めるが、現実は冷酷だった。彼の妄想と自己中心的な言動は、家族の怒りと軽蔑を呼び、ついには警察に通報される。 かつて守ると言った女性にすら見捨てられ、暴力事件を起こす昭文。尚子は家族とともに新たな生活へと歩み出す。 「勇者ごっこ」は終わった。現実は、誰も彼を待っていなかった

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その日は、庭でバーベキューをする日だった。 私と息子と夫、そしてその両親までもが来ている。 彼らには本当に世話になっていて、私はみんなに感謝していた。 バーベキューを言い出したのは義母だ。いい肉が手に入ったからと。 私たちはみんな笑顔で、肉を焼き、タレをつけて頬張りながら、過去のこと、今のこと、未来のこと、それぞれ話し合っていた。 「尚子!」 その時、場違いな怒り声が庭の外からした。 みんなで一斉に門の方を見ると、肉の塊がそこにいた。誰だかわからなかった。 戸惑いながら、私たちは顔を見合わせる。 「あの、どちら様……」 言いかけると、そばにいた義母が困惑して先に声をかけた。 「昭文(あきふみ)?」 「え……え!?」 息子以外の面々が信じられない声を上げた。 昭文と呼ばれた巨体は、荒い息を吐きながら足を踏み鳴らしている。 「そいつは誰だ!」 ソーセージのような指を、私の夫に突き付けた。 「夫だけど……」 私がひたすら戸惑っていると、夫はようやく我に返り、 「初めまして」 と礼儀正しく挨拶をした。 「夫だと!?」 昭文は全身をぶるぶるさせながら、青ざめている。 「俺たちは夫婦だろうが! なんでそいつが夫なんだ!」 「離婚は成立してるよ。あなたが失踪した七年後にね。連絡もなしに今更来て何なの?」 7 「認めるわけないだろうが!」 昭文の声はやたら大きく、近所の目が気になったので仕方なく中に入れた。息子は怯えて夫の背中に隠れている。 せっかくのバーベキューが台無し。 火は止めたが、昭文を長居させたくなかったので、庭で話をすることにした。
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