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嫁いびりを受けた私に小姑が土下座して謝罪する

嫁いびりを受けた私に小姑が土下座して謝罪する

Par:  キャベツComplété
Langue: Japanese
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義妹の結婚式の会場で、義母があちこちに「汚い病気を持っている」なんて私の悪口を言いふらしていた。 その話が耳に入った瞬間、頭に血が上って、直接文句を言いに行こうとした。 でも、義妹が私の腕を掴んで、「お願いだから、今日は私の結婚式なの。揉め事だけは起こさないで」と、涙目で引き止めたんだ。 仕方なく、悔しさをぐっと飲み込んで、その場では黙ることにした。 結婚式が終わった後、義母に問いただすと、「酔っ払ってて覚えてないわ」なんて軽く流された。 けれど、その噂はすでに一人二人どころじゃなく、どんどん広まっていった。 近所の人たちは冷たい目で私を見て、職場では同僚たちに「ウイルスを持ち込む女」扱いされ、次第に孤立していった。 長い間そんな抑圧に耐えて、心も体もボロボロになっていた私は、ある日、外出中に車に轢かれて命を落とした。 次に目を開けた時――そこは、義母が私の悪口を言い始めた、まさにあの日の結婚式の会場だった。

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Chapitre 1

第1話

「お義姉さん、ドレスの後ろのチャックを上げてくれませんか?」

目を開けて周囲を見回すと、目の前には着替え中の義妹・麗奈(れいな)が立っていた。

数秒してようやく、自分が生まれ変わったことを思い出した。

でも、麗奈の頼みなんて聞いていられない。私は無視して部屋を出ると、そのまま宴会場へ向かった。

そこでは、義母の幸子(ゆきこ)が麗奈の義母の手を握りながら、いかにも感慨深げに話しているところだった。

「うちはね、小さい頃から娘にはしっかり教育をしてきたの。うちの娘、本当に素直で親孝行なのよ。だからうちの娘を嫁にもらうなんて、お宅の子はほんとにラッキーだと思うわ!......でもね、嫁のほうは最悪なのよ!まるで売女みたいに男を引っ掛け回して、あげくの果てには汚い病気まで持ち込んでくるんだから。ほんと、なんて不幸なのかしら!」

その言葉に、周囲の人たちの目が一気に丸くなり、場の空気が凍りついた。誰も、自分の嫁をここまで公然と悪く言うなんて想像すらしていなかったのだ。

知り合いらしい近所の人がぽつりと口を開いた。「汐里(しおり)さんって、そんな人には見えなかったけど......もしかして何かの誤解じゃない?」

だが幸子は話を止めることなく続けた。

「いやいや、みんなが見てるのは表向きの顔だけ。本当はね、あの女、夜中遅くまで帰ってこないことがしょっちゅうなのよ。どこで誰と寝てたのか、私にわかるわけないでしょ?それにこんな恥ずかしい家族の話、私が嘘つくと思う?」

その瞬間、私の中で怒りがぐつぐつと煮えたぎった。

前世で私は、この女のデタラメな話のせいで命を落としたのだ。

今日という今日は、絶対にこの場で決着をつけてやる。

麗奈が慌てて私の腕を掴み、懇願するように言ってきた。

「お義姉さん、母がきっとお酒のせいで変なこと言っちゃっただけだから、お願い、今日は私の顔を立てて。結婚式だよ、大事な日なんだから、ここで揉め事を起こさないでほしいの」

結婚してからの二年間、私は麗奈とはそこそこ良い関係を築いてきた。だから前世では、彼女にこう頼まれると、私はそのお願いを聞き入れていたものだった。

でも今の私にとって、彼女の顔なんてどうでもいい。私の命より大事なものなんてないのだから。

私は彼女の手を振り払うと、そのまま幸子の元へ向かった。

幸子は相変わらず声高に私の悪口を続けている。

「どうしてうちの大輔(だいすけ)が、こんな淫乱な女なんか選んじゃったのかしらね。万が一、その汚い病気が大輔に移ったらどうするのよ!」

「誰が汚い病気にかかったって言ったの?」

突然の私の声に、幸子の体がビクッと震えた。振り返ると、心臓を抑えるように胸に手を当てながら、私を睨みつけた。

「汐里!?あんた、私を驚かせる気?」

「驚かせるつもりなんてないわよ。ただ、やましいことがなければお化けに叩かれても怖くないんじゃないの?」

幸子は睨みを強めながら吐き捨てるように言った。「私は何もやましいことなんてしてないわよ!あんたこそ――」

麗奈がすかさず幸子の前に立ち、慌ててその言葉を遮った。

「お母さん、今日は私の結婚式なんですから!みんな楽しくお祝いしてるんですよ?お願いだから、飲みすぎて変なこと言わないでください!」

麗奈の言葉を受けて、幸子はしぶしぶ口を閉じ、私を横目で見ながらこう言い放った。

「別に何もないわよ。ただ親戚と少し話してただけ」

麗奈は安堵の表情を浮かべると、私に笑顔を向けてきた。

「お義姉さん、見ての通り、お母さんも別に大したこと言ってないから。もし何かあったら、結婚式が終わった後で家族みんなで話し合えばいいじゃない?」

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第1話
「お義姉さん、ドレスの後ろのチャックを上げてくれませんか?」目を開けて周囲を見回すと、目の前には着替え中の義妹・麗奈(れいな)が立っていた。数秒してようやく、自分が生まれ変わったことを思い出した。でも、麗奈の頼みなんて聞いていられない。私は無視して部屋を出ると、そのまま宴会場へ向かった。そこでは、義母の幸子(ゆきこ)が麗奈の義母の手を握りながら、いかにも感慨深げに話しているところだった。「うちはね、小さい頃から娘にはしっかり教育をしてきたの。うちの娘、本当に素直で親孝行なのよ。だからうちの娘を嫁にもらうなんて、お宅の子はほんとにラッキーだと思うわ!......でもね、嫁のほうは最悪なのよ!まるで売女みたいに男を引っ掛け回して、あげくの果てには汚い病気まで持ち込んでくるんだから。ほんと、なんて不幸なのかしら!」その言葉に、周囲の人たちの目が一気に丸くなり、場の空気が凍りついた。誰も、自分の嫁をここまで公然と悪く言うなんて想像すらしていなかったのだ。知り合いらしい近所の人がぽつりと口を開いた。「汐里(しおり)さんって、そんな人には見えなかったけど......もしかして何かの誤解じゃない?」だが幸子は話を止めることなく続けた。「いやいや、みんなが見てるのは表向きの顔だけ。本当はね、あの女、夜中遅くまで帰ってこないことがしょっちゅうなのよ。どこで誰と寝てたのか、私にわかるわけないでしょ?それにこんな恥ずかしい家族の話、私が嘘つくと思う?」その瞬間、私の中で怒りがぐつぐつと煮えたぎった。前世で私は、この女のデタラメな話のせいで命を落としたのだ。今日という今日は、絶対にこの場で決着をつけてやる。麗奈が慌てて私の腕を掴み、懇願するように言ってきた。「お義姉さん、母がきっとお酒のせいで変なこと言っちゃっただけだから、お願い、今日は私の顔を立てて。結婚式だよ、大事な日なんだから、ここで揉め事を起こさないでほしいの」結婚してからの二年間、私は麗奈とはそこそこ良い関係を築いてきた。だから前世では、彼女にこう頼まれると、私はそのお願いを聞き入れていたものだった。でも今の私にとって、彼女の顔なんてどうでもいい。私の命より大事なものなんてないのだから。私は彼女の手を振り払うと、そのまま幸子の元へ向かった。幸子は相変わらず声
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第8話
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