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第77章

Author: Nayko Ayasame
last update publish date: 2026-09-01 17:33:12

夜明けの光が、テントのキャンバス越しに淡く差し込んでいた。

白く、柔らかな光。

ヴァンスが先に目を覚ました。

何が眠りから引き戻したのか分からない。

冷気か。

鳥の声か。

それとも――胸元に感じる、いつもとは違う重みか。

ゆっくりと瞬きをする。

テントの天井。

身体の下にある寝袋。

そして、温もり。

ネリッサが、彼の腕の中にいた。

頭はヴァンスの肩に乗っている。

片手は彼の胸に置かれていた。

ちょうど、心臓の上。

身体は彼の脇へぴったり寄り添っている。

まるで、ずっとそこにいることが決められていたかのように、自然に収まっていた。

ヴァンスには、彼女を引き寄せた記憶がない。

けれど、きっと自分がそうしたのだ。

眠っている間に、腕を彼女へ回していた。

手は彼女の背中にある。

寝袋の中では、二人の脚まで絡まっていた。

ヴァンスは、ぴくりとも動かなかった。

ネリッサの呼吸は、ゆっくりで規則正しい。

唇が少しだけ開いている。

髪が彼の腕に流れている。

穏やかな顔。

いつもより若く見える。

まるで昨夜、湖のほとりで見た彼女のようだった。

仮面をつける前の、ありのままの女。

本当なら、離れるべきだ
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