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第5話

Auteur: 今夜成金
人工心臓の充電が半分ほど進んだ頃、芽依は我慢できずにベッドから起き上がった。

ネットで必死に当時のニュースを検索し、ついに彼女が瑛士を救出した時の写真を見つけた。

写真はぼやけていたが、それが彼女であることは明らかだった。

芽依は、興奮しながらそのニュースをダウンロードし、以前隠しておいたフォルダーに素早く追加し、全てのファイルをスマホに転送した。

しかし、これらの情報だけでは、瑛士を救出したのが彼女だったとは証明できても、彼女の心臓が瑛士に移植されたとは証明できない。

当時の手術を担当した医師を見つけ出すことができれば別だが……

突然、芽依のスマホが唐突に鳴り出した。

彼女は、画面に表示された匿名のメッセージを見つめ、素早くタップして開いた。

相手からの救いを求める内容を読むと、芽依は安堵の息を吐いた。

ついに、神様が彼女に味方してくれた!

彼女は、指を素早くキーボード上で滑らせた。【まず1000万振り込む。五日後に残りの金額を支払う。その代わり、当時の手術に関する全ての記録を渡してほしい】

すぐに相手から銀行口座番号と、当時の一部記録が送られてきた。

相手の「誠意」を確認した芽依は、自分の貯金を全て相手の口座に振り込み、全ての記録を証拠として保存した。

突然、ドアの外から激しいノックの音が聞こえてきた。

芽依は、素早くパソコンを閉じ、人工心臓の充電器を持ってドアを開けた。

ドアの外に立っていたのは、陰鬱な表情をした瑛士だった。芽依の心臓は激しく鼓動し、人工心臓も唸り声を上げた。

芽依は、必死に拳を握りしめ、冷静さを保とうとした。

彼女は、瑛士を見つめ、探るように口を開いた。「何か、思い出したことは……」

瑛士は嘲笑うように芽依の言葉を遮った。「全て思い出した!」

瑛士は、突然手を伸ばし、憎しみを込めて芽依の首を絞めた。「この七年、俺に尽くしてるふりして、よく平気でいられたな、人殺しが!」

芽依は驚いて瑛士を見つめ、苦しそうに口を開いた。「違う...私じゃない」

瑛士は、力任せに芽依を床に叩きつけ、人工心臓の充電器が「チャリン」という音を立てて床に落ちた。

芽依は、苦しみながら胸を庇い、恨めしそうな表情で瑛士を見つめた。

なぜ、彼の記憶はまたしても間違っているのか。

瑛士は、芽依の手元にある充電器を見つめ、心臓が締め付けられるように痛んだ。

彼は、眉をひそめ、冷たい視線を芽依に向けた。「今日から、お前はまた雨宮家でメイドとして働くんだ。人工心臓の費用を稼ぎ終えたら、いつでも出て行っていいぞ!」

芽依は、胸を庇う手を強く握りしめた。

あと五日。あと五日耐えればいい。

「瑛士、私の靴が汚れてしまったわ。メイドに拭いてもらえないかしら」

綾女はドレスに身を包み、ゆるやかに階段を降りてきた。

彼女は、親しげに瑛士の腕に抱きつき、意地悪そうな視線を芽依に向けた。

瑛士は、床にうつ伏せになっている惨めな芽依を見つめ、「聞こえなかったのか、若奥様の靴を拭け」と言った。

綾女は、恥ずかしそうに足を差し出した。「ほんの少しだけ汚れているの。お願いね」

瑛士は、「彼女は元々雨宮家のメイドだ。彼女に舐めさせてもいいくらいだ。今後は、彼女に遠慮する必要はない」と言った。

綾女は、甘えるように瑛士の胸に寄り添い、「分かったわ」と答えた。

芽依は、辛うじて体を起こし、屈辱に耐えながら綾女の足元へ膝で這い寄り、手を伸ばして、綾女の靴についているはずもない埃を丁寧に払い落とした。そして、顔を上げ、恭しく綾女を見つめ「若奥様、綺麗になりました」と言った。

綾女は得意げに口元をつり上げた。「いいメイドじゃない。瑛士、婚約パーティーまでは彼女に私の世話をさせてもいいかしら?」

芽依は、拳を握りしめ、懇願するように瑛士を見つめた。

瑛士は、目を逸らし、優しく綾女の髪を耳にかけながら「構わない」と答えた。

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