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第1323話

Author: ラクオン
「もう何人か候補を見つけてあるんだ。ただ、まだお前と会わせる段取りをしていないだけだ。

お前は小さい頃からこいつしか知らないんだろう。別の相手と恋をしてみれば、決して彼じゃなきゃだめってことはないと分かるかもしれない」

紀香は首を振った。

「お兄ちゃん、違うの……私は彼という人が好きだって、はっきり分かってる。ほかにどんなに優秀な人がいても、好きにはならない」

駿弥は眉をひそめた。

「ほかと関わったこともないのに、どうして分かる」

紀香にははっきり分かっていた。

少女のころ、初めて恋心を知ったそのときから、清孝以外を好きになることはないと確信していた。

だからこそ、彼の態度に絶望した。

離婚を切り出し、その後に見せた彼の後悔の態度もひどく嫌悪した。

心の奥底では揺るぎなく好きだったのに、諦めようとした瞬間に限って、彼が自分を好きになったから。

ほんの少しでも早ければ、こんなに長く苦しくもつれることはなかったのに。

「やつがお前にどうしたか、忘れたのか?」

駿弥は彼女が長いあいだ黙り込んでいるのを見つめていた。けれど、彼女は感情を隠すのがあまり得意じゃない。表情の移り変わりを見ているだけで、いま何を考えているのか、すぐに分かってしまうのだ。

「そんなに簡単に許すのか?」

紀香は、以前は確かに抵抗した。

けれど結局、時間を無駄にするだけで、答えは出なかった。

疲れてしまったのだ。

どうせ自分も好きなのだから、いっそ受け入れてしまえばいい。

それに、どこか導かれるような出来事も重なっていた。

ピンクのイルカ、七色の魚、そして黄金の雲海。

「人生はもともと順風満帆なんかじゃないわ。

恋愛だって、誰もが最初から最後まで甘く幸せに過ごせるわけじゃない。

お兄ちゃんと実咲ちゃんだって……」

最後まで言わなかった。彼を傷つけるのが怖かったから。

「傷つけたって言っても、本当に酷いことをしたわけじゃない。

冷たくしてきたのは、ただ愛していなかっただけ。

彼に無理やり愛させることなんてできない。細かく言えば、私にも彼にも非がある。だからお互いに帳消しでいいの」

駿弥はほとんど言いくるめられそうになった。

紀香は見た目は柔らかく、賢そうに見えない。

けれどこういうことに関しては、誰よりも冷静に見ているのかもしれない。

「お前が
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