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第781話

Penulis: 結奈々
「……?」康平は目を丸くした。意味が分からないという顔で慎吾を見る。「なんで電源切ったんだよ」

「君が切ってるなら、俺が切っちゃいけないのか?」慎吾はいたって真剣だった。

そして康平の考えを見抜いたつもりで、分析するように言った。「俺が何を考えてるか分かってるからって、油断するなよ。君、自分は逃げて俺だけ怒られるようにするつもりだろ」

康平「……」

「一緒に幸せを分かち合って、一緒に苦労する。それが仲間ってもんだ」

康平は額を押さえた。この男の頭は、時々本当にどうなっているんだろうと思いながら、また一つため息をついた。

「一つ可能性を考えてみないか?俺、ほとんどずっと運転してるから、電話に出られないんだよ」

もし電話がかかってきたら、出るのか、出ないのか。

出れば、柚香に聞かれてしまう。もし隊長が、聞かれたらまずいことを口にしたら最悪だ。

かといって出なければ、柚香が不審に思う。おそらく隊長からの連絡だと気づかれてしまう。

何しろこの二日間、柚香は何度もこのことを聞いてきた。それどころか、もし離れる必要があるなら一言言ってくれればいい、ずっと自分についてこなくてもい
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    「私は京原市にいる」柚香は意識を集中させ、向こうからほかに何か聞こえてこないか耳を澄ませた。「会って、少し話したいことがあるんだけど、時間を作れない?」「電話で話せ」遥真の口調は冷たかった。今の彼は、以前とはまるで別人だった。出会ってからこれまで、二人が離婚する頃にわざと柚香を困らせていた時期を除けば、遥真はいつだって優しくて紳士的だった。「電話じゃ話せないことなの」柚香は、遥真が感情のままに行動して、修司につけ込まれるような隙を作ってほしくなかった。「直接会って話せない?」遥真はきっぱりと断った。「無理だ」柚香がもう一度何か言おうとしたが、遥真はそのまま電話を切った。「今回は、本気で過去のことを全部明らかにするつもりみたいだな」時也は眉間にしわを寄せ、焦りを隠せない。「遥真がほかに持ってる、誰にも知られてない場所とか、知らないか?」柚香は首を横に振った。遥真は、そういうことを柚香に話したことがなかった。二人で一緒にいた頃は、別れるなんて考えもしなかった。だから、わざわざ自分たちの資産を一つひとつ表に出して確認することもなかった。柚香だけではない。遥真自身でさえ、調べなければ自分がどんな資産を持っているのか把握しきれていないほどだった。「恭介さんに電話してみる」柚香はそう言った。電話がかかってきた瞬間、恭介はスマホを手に遥真の前まで歩いていった。恭介は仕事モードのまま、淡々と告げた。「社長、柚香さんからお電話です」遥真の黒い瞳が、恭介のスマホの画面に落ちる。「出る?」恭介が尋ねた。遥真は少し黙ったあと、答えた。「切れ」恭介は言われた通り、電話を切った。柚香が社長に電話をかけてくること自体、めったにない。しかも、恭介にまで電話をかけてくるとなれば、よほどのことなのではないか。そう思った恭介は、つい余計なことを聞いてしまった。「もし柚香さんのほうで、本当に急ぎの用事だったらどうします?」「急ぎの用事じゃない」遥真は迷いなく答えた。「たぶん、時也か修司から何か聞いたんだろう」もし本当に急ぎの用事があるなら、電話が繋がった瞬間に伝えてくるはずだ。たとえ二人が離婚した今でも、電話では話せないようなことなどない。社長がそこまで言い切るのを見て、恭介はそれ以上何も言わなかった。この世で柚香

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    「……?」康平は目を丸くした。意味が分からないという顔で慎吾を見る。「なんで電源切ったんだよ」「君が切ってるなら、俺が切っちゃいけないのか?」慎吾はいたって真剣だった。そして康平の考えを見抜いたつもりで、分析するように言った。「俺が何を考えてるか分かってるからって、油断するなよ。君、自分は逃げて俺だけ怒られるようにするつもりだろ」康平「……」「一緒に幸せを分かち合って、一緒に苦労する。それが仲間ってもんだ」康平は額を押さえた。この男の頭は、時々本当にどうなっているんだろうと思いながら、また一つため息をついた。「一つ可能性を考えてみないか?俺、ほとんどずっと運転してるから、電話に出られないんだよ」もし電話がかかってきたら、出るのか、出ないのか。出れば、柚香に聞かれてしまう。もし隊長が、聞かれたらまずいことを口にしたら最悪だ。かといって出なければ、柚香が不審に思う。おそらく隊長からの連絡だと気づかれてしまう。何しろこの二日間、柚香は何度もこのことを聞いてきた。それどころか、もし離れる必要があるなら一言言ってくれればいい、ずっと自分についてこなくてもいい、とまで言っていた。「?」慎吾は首を傾げた。そんな二人が言い争っている間に、先ほど電源を入れたスマホから、通知音が次々と鳴り響いた。何件ものメッセージと、何件もの不在着信。三人のグループチャットでは、ピンク色のウサギのデフォルメアイコンの横に、メッセージが大量に並んでいた。【蒼海市に着いた】【午後はここで会おう】メッセージと一緒に、位置情報も送られてきていた。【二人ともどこ?】【@康平@慎吾】【死んだふりしてないで出てきな。啓介から、あなたたちを見かけたって聞いてるから】……康平は通話履歴を確認した。不在着信が入っていたのは、ちょうどこれらのメッセージが送られた後だった。隊長は、メッセージを送っても二人から何の反応もなかったから、電話をかけてきたのだろう。「君が隊長に返信してくれ」康平は即座にスマホの画面を消し、慎吾に視線を向けた。「ここ数日は京原市に出張してて、仕事が立て込んでて連絡する暇がなかったって伝えてくれ」慎吾はすぐに康平の考えを見抜いた。「嫌だ。毎回、怒られ役を俺に押しつけてるだろ。俺がそんなに騙しやすく見えるか?」

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    柚香はあっさり頷いた。「分かりました」涼介は続けて尋ねた。「神崎グループを見に行ってみるか?」「大丈夫です。これからいくらでも時間はありますから」柚香は涼介にあまりいい印象を持っていなかった。「それより、前におじさんに頼んで調べてもらったこと、どうなりましたか?」「分かったよ。承輝に情報を流していたのは、神崎家の警備員の一人だった」涼介は真面目な顔で答えた。その表情には、少し重苦しさが滲んでいる。「そいつがこっちの人間を買収していた。今回のことは、俺たちの管理が甘かったせいだ」その答えは、柚香が想像していたものとほとんど同じだった。適当な人間を一人、身代わりに立てたのだ。「心配しなくていい」涼介は、相変わらず優しい兄のような顔を保っていた。「こういうことをうやむやにするつもりはない。もう警察に任せてある。必ず納得してもらえるようにするよ」柚香は「ありがとうございます」とだけ答え、それ以上は何も言わなかった。これがただの形だけの対応だということは、よく分かっていた。……その日の午後。蓮司が和雄の残りの荷物を届けに来た頃、柚香のもとに隣の市の病院から電話が入った。内容は、二期プロジェクトについて一度話し合いたいので、柚香に来てもらいたいというものだった。条件が合えば、その場でもう新たに契約を結ぶことになるらしい。柚香は迷うことなく了承した。安江と陽翔に話をしてから、慎吾と康平に荷物をまとめるよう伝えた。「明日には戻ってこられますか?」珍しく康平がそんなことを尋ねた。「たぶん無理だと思う」こういうことには、柚香もすっかり慣れていた。「食事をしながらの打ち合わせで二日はかかると思う。それに、契約を結んだ後の仕事もあるし。何か用事でもあるの?」康平と慎吾は顔を見合わせた。柚香が理由を聞こうとした、そのとき。数日前、啓介が承輝を逮捕したときに言っていた言葉をふと思い出した。「あなたたちの隊長って、明日には戻ってくるよね?」柚香が尋ねた。「予定通りなら明日には戻ります」康平は隊長の容赦ないやり方を思い出し、少し身構えた。「でも、今回どこかの現場に出てるのかどうかも分からないし、俺たちも連絡が取れないんです」柚香はいたって落ち着いていた。「大丈夫。プロダクトマネージャーを連れて行けばいいから

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