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7. 「異世界ほのぼの日記3」72

Author: 佐行 院
last update Petsa ng paglalathala: 2026-02-21 08:10:24

-72 ヒーロー、いやヒロイン-

 秀斗が前日まで住んでいたマンションの前でトラックの運転席に顔を赤らめながら乗り込む様子を見る限りでは、美麗は懐かしい思い出に浸りたかったかも知れない。

 久々の再会に心から興奮したのか、美麗は少し強めに鍵を回してギアを「2」に入れてアクセルもまた強めに踏んでエンジンを蒸かした。

秀斗「美麗、大丈夫なのかよ・・・。このトラック、まだこっちの仕様にしていないの?」

美麗「ごめんごめん、元々古いトラックだから少し強めに蒸かさないと動かない時があるのよ。それに・・・、こっちの仕様って?」

 嘘だ、この(元々)王麗所有のトラックは美麗が亡くなる数日前に買い換えたばかりだった物だ。まぁ、買い替える原因を作ったのは美麗本人なのだが今は本人の為に内緒にしておこう。ただ、女将本人の拘りである「MT」を探すのにかなりの苦労をした事は美麗には伝わっていない。

 一先ず今言える事は、美麗自身がこの世界に来たばかりなので車が元の世界の仕様のままであるが故に「あの問題」が発生しようとしていた。

 秀斗はバルファイ王国からネフェテルサ王国へと直通している道路上でトラックを運転し
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    -395 無知の知- 格安で仕入れた材料をそう見えない様にする為に父親が施している工夫に空いた口が塞がらない娘は改めてお客さんが食事を楽しんでいるテーブルを見廻していた、黒板にも記載されている通りなのだが「B定食」はウインナーだけではなくハムやベーコンもあるのだがそっちは大丈夫なのだろうか。メラルーク「確かに「訳あり品」と言われると気になるお客さんがいるかも知れないけど、皿をよく見てみな。」 店主に言われた通りに皿を見てみるとハムはハムエッグとして提供していて卵により大部分が隠れてしまっているので全くもって気にならない、しかしベーコンに至ってはそういう訳にもいかない気がするが・・・?ピューア「やっぱりベーコンもベーコンエッグとして提供している訳?」メラルーク「そうだな、それもあるけど改めて皿を見てみてくれるか?」 父親の指示通りに再び皿を見てみるとハムと同様にベーコンが目玉焼きに隠れている状態で提供されている事に気付いたが実はそれだけでは無かった、ホテルの様にカリカリに焼けたベーコンが好きなお客さんもいるので別々に提供されている場合もあるらしい。ただ店主の施している工夫はそれだけではない様だ。ピューア「今気付いたんだけどあそこのお客さんが食べてるのってオムレツじゃないの?」 上級人魚(ニクシー)は少し離れたテーブルのお客さんがナイフとフォークを使ってシンプルな見た目のオムレツを楽しんでいる場面を見かけて違和感を覚えていた、その理由は至ってシンプルな物だ。ピューア「お父さん、うちってオムレツなんて提供してたっけ?」 改めて黒板を見たが何処にも「オムレツ」とは書かれていなかった、その上微かな記憶だったがグランドメニューにも無かった気がする。これは一体どういう事なのだろうか?メラルーク「あれも一応「B定食」なんだよ、あの中にハムやベーコンが入っているんだ。近所に住むジャイアントの爺ちゃんに「B定食の目玉焼きをオムレツに変更できないか」って聞かれた事があってね、「同じ量の材料で出来そうだからやってみるか」と思って試しに出してみたら周りのお客さんが「俺も俺も」って一斉に頼みだしちゃったんだよ。それからその時いたお客さん達の影響で一気に広がっちゃったらしくて、ハムとベーコンを頼んだお客さんからの要望があり次第だけど今みたいに時間に余裕があったら作る様にし

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    -394 手間暇をかける理由- 本当に日本と同様かが定かでは無いが、物価高騰の影響でただでさえ基本給が上がっていたレイトに可能かどうか分からない口約束をしてしまった社長に今聞くべきことはやはり「B定食」の安さの理由である「授業の一環で作った畜産加工品」についてであった。 上級人魚(ピューア)は一先ずこの月の給料日が楽しみとなったマイコニドがルンルンしながら仕事に戻った事を確認した貝塚学園理事長に改めて質問を投げかけてみる事に、正直言って何処まで徹底した教育支援を行うつもりなんだろう・・・。ピューア「ねぇ結愛、貝塚学園(あんたの所)って魔学校だよね?私も卒業生だから経済学部とかがあるのは知ってたけど「畜産加工品」ってどういう事?」 周囲の者が頭上に「?」を浮かべているので順を追って説明する結愛、本当に丁寧だな。結愛「そうだな・・・、昨日もニュースとかで取り上げられてたと思うけど最近(2025. 1. 19 現在)この世界でも少子高齢化の影響が大きく出ているだろ?」 日本と同様、少子高齢化によりある産業に大きな影響が及ぼされてる事を懸念した貝塚財閥代表取締役社長は「この世界が抱える問題を解決させるために自分に出来る事は無いか」と頭を悩ませた結果として今年からとある事を始めたという。結愛「実は少子高齢化の影響でこの世界における農業人口が大分減って来た事を知ってな、だから貝塚学園(うち)でも新たに「農学部」を設立した訳。」 本人は力強く語っているが、ゲーム機を片手に持っているが故に何となく説得力を感じないのは俺だけだろうか(今は気にしない方が良いかな)。ピューア「「農学部」って・・・、農業に関して学ぶ場所だって事は分かったけどウインナーとかは関係無くない?」結愛「そう思うだろ?ただ「農学部」と言っても農業だけじゃ無くて水産業や畜産業のこれからを担う人材も育成出来たら良いなと思って「農産・畜産・水産」各々に特化した学科を用意したんだよ、ここで扱ってもらっている加工品はその内の「畜産科」が授業の一環で作った物って訳さ。」 とても分かりやすい解説のお陰で何となく理解出来た様な気がしたピューア、ただ気になるのは「安全性」と「原価(お値段)」。ピューア「ねぇ・・・、別に疑ってる訳じゃ無いけどそれって大丈夫な訳?」結愛「問題ねぇよ、肉自体も無農薬の野菜や穀物

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    -393 適任者- さり気なく労働者としての権利を主張して来た貝塚財閥代表取締役社長、別に悪い訳では無いが正直「意外」と言うかなんというか・・・。結愛「何だよ、俺にだってプライベート位あるんだよ!!いくら創造主(作者)だからってどうこう言う権利があってたまるかってんだ!!」 いや・・・、どうこう言うつもりは無いよ?でも結愛(あんた)と言えば仕事で忙しくしている現役バリバリのキャリアウーマンってイメージが強いからさ・・・。でもまぁ強いて言うなら吞兵・・・、いややめておくか。結愛「おい、何を言おうとしていたんだコラ!!」 まぁ気にすんなって、いちいち突っかかってたら話が進まねぇじゃねぇかよ。結愛「あのな、お前が悪いって事をちゃんと自覚してんのか?こうやって話が進まなくなる原因を作っているのがお前だっていう確率が結構高い気がするんだが?」 仕方ねぇだろ、イジり甲斐のあるキャラクターが多いんだからよ。取り敢えず聞くけど、結愛はいつもここの様子を『探知(覗き見)』してんのか?他に見る所ねぇのかよ、それと暇なのか?結愛「う~ん・・・、あのな・・・、一遍に何個も何個も聞くんじゃねぇよ。いくら俺でも頭がこんがらがるだろうが、一先ず順を追って答えるとすればだが実は主人には内緒でうちの社員をここに派遣していたんだよ。やはりモニターをお願いしているのはこっちだからちゃんと責任を取らなきゃと思うだろうが、それと改めて言うが俺も暇な人間じゃ無いんだ。分かったか?」 はいはい・・・、言いたい事は分かったがあんたが派遣したって言う「社員」って何処にいるってんだよ。結愛「えっと・・・、確かあの辺にいると思うんだがな・・・、あれ?」 店の裏口や出入口の近辺をキョロキョロと見回す結愛、何となく「あれ?身に覚えのある件だな」と思いながらその光景を眺めているとネクロマンサーの目線の先でニクシーが食材にするには大き過ぎやしないかと聞かれかねないキノコを1本抱えていた。まさかな・・・。ピューア「お父さん・・・、裏口辺りで見つけたんだけどこの赤いキノコって食べても良いやつ?」 一般的な目線で言うとマーマンに「茸に詳しい」というイメージは湧かないが、やはり飲食店を経営する者としてそれなりの知識があった様で・・・。メラルーク「何言ってんだ、そんな「如何にも」と言える様なキノコが食える訳

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    -391 工夫の為の条件- メラルークが入り口にやって来るのを今か今かと待っていたお客さんが流れる様に入店して一気に席はいっぱいになってしまった、「やはり朝はこの店でないと嫌」だと思わせる程に店主の作る朝定食が美味しいという事なのだろうか。 この時間帯でも通常通りのメニュー(トンカツ)を注文する事は可能らしいのだが、お客さんの殆どが朝ごはんメニューを頼んでいる事に気が付いたピューアがさり気なく店内に掲げられた小さな黒板に目をやるとそこには「A定食(日替わり:大きな鮭の塩焼き)」と「B定食(ソーセージ・ハム・ベーコンから1種類+目玉焼き)」の文字があった、ただ娘が驚いたのはその価格であった様だ。ピューア「A定食が1人前500円?!ご飯のお代わり自由なのに?!」メラルーク「まぁな、でも実はあれでも1カ月前に値上げした価格なんだ。」 どうやら円安による物価の高騰はこの場でも影響を及ぼしていた様で、元々1人前460円だったA定食を値上げせざるを得なかったらしい。ただ「お客さんが今までと同様に利用しやすくする為にはどうすれば良いか」を熟考した結果、可能な限り原価を下げるしかないと判断して卸業者に頭を下げまくったとの事。 店主によるお客さんに対する新たな気遣いについて知った娘は改めて卸業者の者が配達してきた荷物を確認した、どうやら氷で満たされていた発泡スチロールの容器には先程メラルークが捌いていた鮭以外にも入っていた様で・・・。ピューア「お父さん、これ鮭じゃ無くて鰆じゃないの?しかももう既に切っているみたいだけど。」 容器に入っていた鰆の切り身にはもう既に味付けがされていたので焼けばすぐに提供できる状態だった、ただ卸業者と直接話していたはずの父親からの返答は意外な物だった。メラルーク「鰆だって?!ピュー、すまんがちょっとこっちで見せてくれるか?」 店に入荷した時点で全ての商品を確認していたはずだと思われていたマーマンからの意外な返答に目を丸くするニクシーは切り身の入っていた容器を持って店主の元へと向かった、そして父親のすぐ近くに荷物を置いて一言。ピューア「ほらお父さん、これ鰆でしょ?」メラルーク「あらま、確かに西京味噌焼みたいだな。どれどれ・・・、伝票伝票っと。」 メラルークが荷物と一緒に卸業者の者から受け取った伝票を改めて確認するとそこには確かに「

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    -390 全否定する- 開店直前の超忙しいタイミングに電話をして来た「娘の彼氏」により父(メラルーク)は怪訝な表情をして来た、「同じ飲食業で働く者」として仕込みとこの時間がどれだけ大切かが理解出来ていないのではないかと疑いの目を持ってしまったのかも知れない。言葉は悪いが正直言って「新店で出す料理の監修」の件を受け入れた側からすれば普段以上に余計な仕事がプラスされてしまったからそれ以上の迷惑を掛けられたくはないと思ってしまった様だ、長女(ピューア)はイャンダをいつ紹介すべきか悩んでいた。メラルーク「ピューには申し訳ないけど、その人はこの店の状況という物を分かっていない様だな。ハッキリ言って「今は紹介されても会いたいとは思わない」というのが俺個人としての意見かな、まぁ誠意次第ではこの意見を良い意味で曲げても良いかなとも思うけどね。おっと・・・、卸しの人が来た。」 新店の副店長として、いや恋人として誰よりもイャンダの苦労を知っている娘が父親を全否定する事が出来るだろうかと自らに疑念を抱く中で店主の手には何故か大量の魚が。ピューア「ただただタイミングが合わなかっただけよ、元々24時間営業の店で働いていたもんだから仕込みも営業中に行っていた事があったからじゃないかな。と言うか、それ何?」メラルーク「これに関しては後で分かるって、それよりも一番大切な仕込みをそんな片手間で行っていたというのか?その店ってあんまり人気じゃ無かったんじゃ無いのか?」 今の流れで父親が彼氏の事を全否定するのは致し方ない事なのかも知れない、しかし娘は自分の恋人が決して仕込みを片手間で行っている訳では無い事を誰よりも知っていた。ピューア「味の決め手となるスープは店の代表者が各店舗に持って来るのよ、やっぱり何処の店でも変わらない味を提供しなきゃいけないっていう強い理念があるからね。」 何故か直前になって卸しの者が持って来た魚を捌き始めた父親は娘の発言が少し引っ掛かっていた様で、手に持っていた包丁を一旦その場に降ろして考え込んだ。メラルーク「ん?ちょっと待てよ・・・、「何処の店でも変わらない味」か・・・。ピュー、1つ聞いても良いか?」ピューア「別に良いけど、今は忙しいんでしょ?大丈夫な訳?というか、その魚は何?」 店主を勤める身として今は手を止めるべきでは無いという事を誰よりも理解して

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